横浜市依存症対策地域支援計画(仮称) 素案 令和3年3月 横浜市 目次 第1章 計画の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (1)国及び神奈川県における取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (2)本市における取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2 用語の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 3 計画策定の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 (1)計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 (2)計画策定の流れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 4 計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 5 計画で取り扱う依存対象 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第2章 本市における依存症に関連する状況と課題 ・・・・・・・・・・9 1 本市の依存症に関する状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 (1)各依存症に関連する状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 (2)市民の認知度や地域の特徴など ・・・・・・・・・・・・・・・・28 2 本市及び関係機関、民間支援団体等における取組と状況 ・・・・・・33 (1)身近な支援者の取組と状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 (2)医療機関の取組と状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 (3)民間支援団体等の取組と状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・42 (4)本市における取組と状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 3 計画課題の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 (1)課題導出の流れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 (2)本市の依存症対策における課題の設定 ・・・・・・・・・・・・・54 (3)課題の具体的内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 第3章 計画の目指すもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84 1 基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84 2 基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 (1)基本方針の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 (2)基本方針の実現に向けた取組体制 ・・・・・・・・・・・・・・・88 第4章 取り組むべき施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89 1 本計画における取り組むべき施策の整理 ・・・・・・・・・・・・・89 2 一次支援にかかる重点施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91  重点施策1 予防に資する普及啓発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・91  (1)総合的な依存症対策の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91  (2)アルコール依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・92  (3)薬物依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93  (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・93  重点施策2 依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 ・・94  (1)総合的な依存症対策の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94 3 二次支援にかかる重点施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95  重点施策3 相談につながるための普及啓発 ・・・・・・・・・・・・・・・95  (1)総合的な依存症対策の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95  (2)アルコール依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・96  (3)薬物依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97  (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・97  重点施策4 身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組 ・・・・・98  (1)総合的な依存症対策の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98  (2)アルコール依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・101  (3)薬物依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101  (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・102 4 三次支援にかかる重点施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103  重点施策5 専門的な支援者による回復支援の取組 ・・・・・・・・・・・・103  (1) 総合的な依存症対策の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103  重点施策6 地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 ・・106  (1) 総合的な依存症対策の取組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 第5章 計画の推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 1 関係主体に期待される役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 (1)身近な支援者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 (2)民間支援団体等(回復支援施設、自助グループ・家族会) ・・・・109 (3)専門的な医療機関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109 (4)行政(依存症関連施策の実施者として) ・・・・・・・・・・・・110 2 計画の進行管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112 (1)PDCAサイクルの考え方に基づく進行管理 ・・・・・・・・・・・112 (2)進行管理に向けたモニタリング指標の設定 ・・・・・・・・・・・113 (3)指標の検証のための取組の方向性 ・・・・・・・・・・・・・・・114 第1章 計画の概要 1 計画策定の趣旨 (1)国及び神奈川県における取組  アルコールや薬物、ギャンブル等(脚注1)の依存症は、本人の健康状態や社会生活等が悪化するだけでなく、家族等の周囲の人へも影響を及ぼします。  また、依存症は、適切な治療やサポートにより十分に回復が可能であるという側面を有していながらも、本人や家族等の依存症に対する情報不足などのために相談につながることができなかったり、周囲の偏見などのために回復が妨げられたりする事例も散見されます。  さらに、依存症の背景には複合的な課題が存在している事例も多く、医療・福祉・司法など、様々な領域の専門家が連携して支援を行うことが求められます。しかしながら、必ずしも個々の領域の支援者が依存症の問題に精通しているとは言い難い面もあり、一次相談の段階から回復段階にかけて包括的で切れ目のない支援が行いづらい状況にあります。  こうした問題に対応し、依存症の本人、または依存症が疑われる人及びその家族等を適切に支援していく体制を整備するため、国において平成26年6月の「アルコール健康障害対策基本法」の施行を皮切りに、平成28年5月に「アルコール健康障害対策推進基本計画」が策定され、平成28年6月には「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」が施行されました。さらに、平成28年12月には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」の附帯決議において、「ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。(中略)カジノにとどまらず、他のギャンブル・遊戯等に起因する依存症を含め、(中略)関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること」が決議されました。平成30年10月には「ギャンブル等依存症対策基本法」、平成31年4月に「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」が閣議決定され、アルコール・薬物・ギャンブル等の各依存症に関する支援体制の制度が整えられてきました。  また、平成29年4月には、都道府県と政令指定都市が行うアルコール健康障害対策・薬物依存症対策・ギャンブル等依存症対策等の総合的な依存症対策に関する指針を定めた国の「依存症対策総合支援事業実施要綱」(以下「実施要綱」という。)が適用となり、神奈川県でもアルコール健康障害対策推進基本計画に沿った形で平成30年度から令和4年度までを計画期間とする「神奈川県アルコール健康障害対策推進計画」が策定され、ギャンブル等依存症対策推進基本計画に沿った形で「神奈川県ギャンブル等依存症対策推進計画(仮称)」の策定が進められています(令和3年3月策定予定)。 (脚注1)ギャンブル等依存症対策基本法では、ギャンブル等を「法律の定めるところにより行われる公営競技(競馬・競輪・オートレース・モーターボート競走)、ぱちんこ屋にかかる遊技その他の射幸行為」と定義しています。 (2)本市における取組  本市においては、従来から各区役所での精神保健福祉相談の中で依存症に関する相談対応などを行ってきました。こころの健康相談センター(精神保健福祉センター)では、平成15年に薬物依存症家族教室を開始するなど、依存症対策に特化した施策に取り組み、平成29年からアルコール依存症・ギャンブル等依存症にも対象を拡大し、「依存症家族教室」として現在に至っています。  また、平成29年5月からはこころの健康相談センターで依存症相談窓口を開始するなど、依存症の本人や家族等に対する相談対応や依存症に関する普及啓発、回復支援、依存症に関する支援者の育成等の事業を展開しています。  さらに、実施要綱を踏まえ、平成30年から本市の附属機関である横浜市精神保健福祉審議会の中に依存症対策検討部会(以下「検討部会」という。)を設置し、依存症対策に必要な施策等に関する検討を進めてきました。  加えて、令和2年3月には、こころの健康相談センターを実施要綱に定められた「依存症相談拠点」と位置付け、依存症支援の充実を図っています。  一方で、これまで市内ではアルコール・薬物・ギャンブル等の各依存症当事者の支援に、長きにわたって、多数の民間支援団体等が活動してきました。また、施策を通じて関係者とコミュニケーションを図る中で、本市における依存症対策の課題等も把握してきました。本市においても、国や県と同様に、依存症に対する理解不足や偏見を解消する取組や複合的な問題に対して重層的な支援を行うことが求められています。さらに、依存症対策の推進を図るためには、本人や家族等に着目した取組が重要であることが見えてきました。  そこで、本市の依存症対策の取組と、民間支援団体等が積み上げてきた活動を結びつけ、依存症の本人や家族等の支援の充実につなげるため、支援の方向性を打ち出し、関係者と共有することで包括的な支援の提供を目指す「横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)」(以下「本計画」という。)を策定しました。 (コラムここから) コラム・民間支援団体等の活動と依存症回復支援の経緯  本市における依存症の支援の歴史を見ると、昭和38年4月に開設された「せりがや園」(現:神奈川県立精神医療センター)が、全国に先駆けて麻薬中毒患者専門医療施設として収容治療を開始しました。また、同年7月には、県内で「国立療養所久里浜病院」(現:独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)が、日本で初めてアルコール依存症専門病棟を設立し、本市における専門的な依存症治療体制の基礎が築かれていきました。その後、平成3年には、依存症専門のクリニックとして「大石クリニック」が開設し、平成5年に民間病院として「誠心会神奈川病院」がアルコール依存症の病棟を開設しました。  神奈川県内でのこうした動きに加えて、依存症の自助グループの活動や回復支援施設の開設が見られるようになりました。  市内では、昭和44年に横浜断酒新生会が結成され、昭和54年にはアルコホーリクス・アノニマス(AA)のミーティングが開始されました。昭和59年には横浜マックが開設、平成2年には横浜ダルク・ケア・センターが全国3番目のダルクとして開設、平成4年には寿アルクが開設されました。その後、平成12年には全国初のギャンブル依存症の回復支援施設として「ワンデーポート」が開設され、平成16年にはギャンブル等依存症者の家族を支援する全国初の施設「ギャンブル依存ファミリーセンターホープヒル」が開設、平成19年には、全国初の女性のギャンブル等依存症者を対象とした「デイケアぬじゅみ」が開設されました。  現在では、アルコール依存症・薬物依存症・ギャンブル等依存症、それぞれの自助グループや回復支援施設が市内にあります。本人の回復過程は様々であり、それを多種多様な社会資源がそれぞれの強みを生かして支え続けています。  このように本市では、先進的・意欲的な医療機関や民間支援団体等が当事者支援の取組を積極的に進め、長年にわたって依存症対策に関する取組が進んできた経緯があります。 (コラムここまで)   2 用語の定義 本計画では、検討部会での意見等を踏まえ、以下のように用語の定義を行いました。 図表1-1:本計画における用語の定義 (表ここから) 用語:依存症 定義:●アルコールや薬物などの物質の使用や、ギャンブル等やゲームなどの行為を繰り返すことによって脳の状態が変化し、日常生活や健康に問題が生じているにもかかわらず、「やめたいと思わない」、「やめたくても、やめられない」、「コントロールできない」状態である ●国際疾病分類(ICD-11)では、物質使用及び嗜癖行動による障害に位置付けられている ●本人の意志の弱さや家族等の周囲の人の努力不足によるものではなく、様々な生きづらさや孤独を抱えるなど、原因や背景は多様であり、適切な医療や支援につながることで回復できる 用語:回復 定義:●依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、より自分らしく健康的な暮らしに向かって進んでいけること、自分らしく健康的な暮らしを続けること 用語:身近な支援者 定義:●依存症支援を専門としていないものの、一次相談対応や早期発見、地域の中での回復支援などの面で重要な役割を担う行政・福祉・医療・司法・学校といった幅広い領域の相談・支援者 用語:民間支援団体等 定義:●依存症の支援を専門とする回復支援施設、家族会を含む自助グループ等 用語:専門医療機関 定義:●実施要綱に基づき、神奈川県とともに選定する依存症専門医療機関及び依存症治療拠点機関 用語:専門的な支援者 定義:●上記、民間支援団体等の支援者、専門医療機関、依存症の治療・支援を行う医療機関、こころの健康相談センター、区役所の精神保健福祉相談などの依存症相談・支援を行う窓口及び機関 (表ここまで) (コラムここから) コラム・「依存症」の定義について  依存症の定義に関しては、支援者間でも様々な議論がなされており、確定的な定義を示すことは簡単ではありません。検討部会においても、依存症の定義をめぐって様々な議論がなされ、以下のような意見が聞かれました。  まず、特にギャンブル等依存症について、状態像は幅広く、自力で回復できる人や自然回復する人もいるため、「脳の病気であり、相談・治療しないと回復できない」といったイメージを与える定義は避けるべきとの意見が聞かれました。また、「依存症は病気である」、「脳の病気」というと恐怖心等を抱いてしまう場合があるとの意見も聞かれました。  一方で、依存症が「病気」であるということを理解すると、本人も家族も回復に向かって前向きになり、勉強をしていこうというきっかけになるという意見、依存症が病気であるから医療の対象になり、障害であるから福祉的支援の対象になるということを押さえておく必要がある、という意見が聞かれました。  定義の幅についても、自然回復できるような人から対象とすべきという意見から本当に困っている重症の人に対象を絞るべきという意見までありました。  さらに、自然回復できる/できないという話については、依存症からの回復者として、アルコール依存症から回復したとしても、完全に「治った」といえる状況は想定されにくく、「治ったから、また飲める」という誤解を与えてしまうのでは、という危惧も示されました。依存症からの回復に関しては、支援につながれば直ちに回復につながる場合ばかりではなく、数年以上の長期にわたって、本人に粘り強く寄り添っていく必要があるとの意見も聞かれました。  このように、依存症は、疾患としての病態が非常に多様で幅広い状態像を包含するものであり、回復についても様々な経過や形があるとの議論がなされました。 (コラムここまで) 3 計画策定の位置付け (1)計画の位置付け  本計画は国の実施要綱において定められた、地域支援計画として策定するものです。地域支援計画は、依存症の状況、地域の社会資源や支援の実施状況に関する情報収集とそれらの評価に努め、計画内に反映させることが求められており、これらの情報については、本計画の第2章に記載しています。  また、計画に記載した施策等については、国や神奈川県の関連計画及び本市における医療・福祉領域の関連計画との整合を図りながら策定しました。 図表1-2:本計画の位置付け ※図表の表記ができません (2)計画策定の流れ 本計画については、以下の取組を通じ、依存症問題に関する有識者、民間支援団体等や身近な支援者等の関係者、市民などの意見を広く取り入れながら策定を進めました。 ◆「横浜市精神保健福祉審議会 依存症対策検討部会」での議論  依存症問題に精通する学識経験者や医療関係者、司法関係者、民間支援団体等の関係者などから構成される依存症対策検討部会を平成30年度から開催し、そこでの議論を通じて計画の全体像や計画に盛り込むべき課題及び対応策の検討などを進めました。 ◆「横浜市依存症関連機関連携会議」(以下「連携会議」という。)での議論  回復支援施設や自助グループ等の民間支援団体等、行政、医療・福祉、司法等の関係機関等の幅広い関係者で構成する連携会議の場において、計画の検討状況を積極的に情報提供し、現場の意見をうかがいながら検討を進めました。 ◆関係機関等に対する各種調査の実施  本市では、計画の策定に向けて回復支援施設を利用する依存症の本人をはじめ、民間支援団体等や身近な支援者などを対象とした様々な定量的・定性的な調査やヒアリングを行いました。  これらの調査結果を踏まえ、本人の状態や支援ニーズ、民間支援団体等のニーズ、本市の社会資源の現状などを把握するとともに、依存症対策における課題の抽出・検討を行いました。 4 計画の期間  本計画の計画期間は、計画策定後の令和3年度〜令和7年度の5年間とします。 図表1-3:本計画の計画期間 (表ここから) 横浜市依存症対策地域支援計画(仮称):計画機関:令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度 令和7年度 (表ここまで) 5 計画で取り扱う依存対象  本計画は、アルコール・薬物・ギャンブル等依存症の3つを主たる施策の対象としつつ、ゲーム障害といった新しい依存症など、その他の依存症も含む依存症全般を視野に入れた内容として策定しています。 (コラムここから) コラム・その他の依存症について  依存症は、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル等依存症の3種類にとどまらず、その種類は多様です。全ての種類の依存症を網羅することは難しいですが、これまでに確認されている依存症は、大きく「特定の物質に対する依存症」、「特定の行動に対する依存症」の2つに分類できるとされています。  まず「特定の物質に対する依存症」には、アルコールや薬物(合法の薬剤含む)のほか、たばこ(ニコチン)などの嗜好品への依存などが見られます。また、「特定の行動に対する依存症」には、ギャンブル等のほか、買い物、インターネット利用、性行為、窃盗などへの依存が見られます。いずれも、依存することによって日常生活や健康に問題が生じているにもかかわらず、自らコントロールできない状態に陥っている点が共通しています。  「特定の行動に対する依存症」の中で、近年注目が集まっているものが、ゲームに対する依存症、いわゆる「ゲーム障害」です。ゲームに熱中して生活リズムが乱れてしまう、学校や職場でもゲームをしてしまう、といった日常生活上の問題のほか、オンラインゲーム等で過度の課金を行ってしまうといった経済的な問題等も合わせて発生する場合もあることがゲーム障害の特徴として指摘されています。こうしたことから、令和元年5月に、WHO(世界保健機関)はゲーム障害を精神疾患の一つとして位置付け、我が国においても厚生労働省を中心として令和2年2月に「ゲーム依存症対策関係者連絡会議」が開催されるなど、対策に向けた取組が進められています。 (コラムここまで) 第2章 本市における依存症に関連する状況と課題 1 本市の依存症に関する状況 (1) 各依存症に関連する状況 ア:アルコール依存症に関連する状況 (ア)アルコール依存症者の割合  平成30年度に実施された厚生労働科学研究の研究結果に基づく推計によると、アルコール依存症の生涯経験者の割合は男性の0.8%、女性の0.2%となっています(脚注2)。  この結果に基づいて、本市におけるアルコール依存症の生涯経験者数を推計すると、男性は約12,000人、女性は約3,000人となります。 図表2-1:アルコール依存症者の割合(推計値) (表ここから) 項目:アルコール依存症の生涯経験者の割合(推計)(脚注3) 本市におけるアルコール依存症の生涯経験者推計数 性別 割合 生涯経験者数 男性:0.8%(0.5%〜1.2%) 約12,000人 女性:0.2%(0.0%〜0.4%) 約3,000人 (表ここまで) 出典:「2018年わが国の成人の飲酒行動に関する全国調査」(厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業) 分担研究平成30年度報告書)(研究分担者:金城文、尾崎米厚、桑原祐樹、樋口進) 注:推計にあたっては、「住民基本台帳・性別・年齢階級別人口」(2017年9月30日)より、20歳以上の人口を用いた (脚注2)「2018年わが国の成人の飲酒行動に関する全国調査」(厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業) 分担研究平成30年度報告書)(研究分担者:金城文、尾崎米厚、桑原祐樹、樋口進) (脚注3)( )内の値は、男女ともに標本調査の結果に基づく区間推定(95%信頼区間)の値である。これは同じ母集団から同数の標本を抽出して100回の調査を実施した場合、アルコール依存症の生涯経験者の割合が、95回程度は( )内の数値の範囲内に収まることを指す。 (イ)飲酒を取り巻く状況  本市の1世帯あたりの、1か月の家庭内での酒類消費金額(年平均額)の推移を見ると、平成27年以降、3,000〜3,500円程度であり、家計支出全体の1.0%前後の水準で推移しています。 図表2-2:世帯あたりの、1か月の家庭内での酒類消費金額の推移(二人以上の世帯、横浜市) (表ここから) 年度:平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 支出金額(支出全体に占める比率):3,526円(1.1%) 3,175円(1.0%) 3,583円(1.1%) 3,197円(1.1%) 2,911円(0.9%) (表ここまで) 出典:総務省「家計調査」 注:家庭内で消費された酒類に限られており、飲食店等での酒類消費は含まれていない  また、本市が平成27年に市内の小学5年生・中学2年生に対して実施した調査によると、小学5年生の31.4%、中学2年生の44.3%が、「酒を飲みたいと思ったことがある」と回答しています。 図表2-3:「酒を飲みたいと思ったことがある」と回答した児童・生徒の割合 (表ここから) 児童・生徒(n=調査数) 飲みたいと思ったことがある 飲みたいと思ったことがない 無回答 小学5年生(n=830) 31.4% 68.4% 0.1% 中学2年生(n=971) 44.3% 55.4% 0.3% (表ここまで) 出典:横浜市「薬物、たばこ、酒に対する意識等調査報告書」(平成27年) (ウ)生活習慣病のリスクを高める量の飲酒に関する状況  厚生労働省「健康日本21《第2次》」によれば、男性の場合1日あたり40g(脚注4)以上、女性の場合1日あたり20g(脚注5)以上の純アルコール量を摂取すると、生活習慣病のリスクが高まるとされています。本市が実施した「平成28年度 健康に関する市民意識調査」の結果を見ると、回答者のうち男性は19.6%、女性は15.6%が「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」に該当していました。また、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」の割合を年齢別に見ると、男性は50歳代が、女性は40歳代が最も高くなっています。  なお、国の「国民健康・栄養調査」によれば、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、男性15.0%、女性8.7%となっており、本市の水準は全国よりやや高くなっています。また、平成22年から平成30年にかけて、生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている女性の割合が、1.2%ポイント上昇しています(脚注6)。 脚注4:ビールロング缶2本(1リットル)に含まれるアルコール量に相当する。 脚注5:ビールロング缶1本(500ミリリットル)に含まれるアルコール量に相当する。 脚注6:厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」(平成22年・平成30年) 図表2-4:生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合(横浜市) (表ここから) 男性年齢(n=調査数) 割合 20歳代(n=361) 6.6% 30歳代(n=988) 14.5% 40歳代(n=2,486) 19.8% 50歳代(n=2,514) 23.4% 60歳代(n=606) 18.8% 全体(n=6,955) 19.6% 女性年齢(n=調査数) 割合 20歳代(n=847) 11.5% 30歳代(n=1,471) 13.9% 40歳代(n=1,834) 20.3% 50歳代(n=1,155) 17.7% 60歳代(n=700) 8.7% 全体(n=6,007) 15.6% (表ここまで) 出展:横浜市「平成28年度 健康に関する市民意識調査」 図表2-5:生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合(全国) (表ここから) 性別 割合(年度) 男性 15.3%(平成22年) 15.0%(平成30年) 女性 7.5%(平成22年) 8.7%(平成30年) (表ここまで) 出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成22年・平成30年) (エ)アルコールに関する相談状況 本市におけるアルコールに関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、平成29年5月より依存症相談窓口(依存症専門相談)を開設し、平成30年度以降は年間のべ400件程度のアルコールに関する相談を受け付けています。 また、区役所では年間のべ1,100〜1,900件程度のアルコールに関する相談を受け付けています。 図表2-6:こころの健康相談センターにおけるアルコールに関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成27年度 電話43件 面接24件 総数67 平成28年度 電話54件 面接33件 総数87 平成29年度 電話108件 面接68件 総数176 平成30年度 電話298件 面接136件 総数434 令和元年度 電話329件 面接91件 総数420 ※相談窓口開設平成29年度以降 (表ここまで) 出典:本市資料 図表2-7:区役所におけるアルコールに関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成27年度 面接相談113件 訪問相談122件 電話相談855件 その他2件 総数1,092件 平成28年度 面接相談230件 訪問相談122件 電話相談865件 その他0件 総数1,217件 平成29年度 面接相談314件 訪問相談113件 電話相談1,177件 その他0件 総数1,604件 平成30年度 面接相談343件 訪問相談165件 電話相談1,360件 その他17件 総数1,885件 令和元年度 面接相談369件 訪問相談175件 電話相談1,147件 その他11件 総数1,702件 (表ここまで) 出典:本市資料 イ:薬物依存症に関連する状況 (ア)薬物使用者の割合  令和元年度に実施された国立精神・神経医療研究センターの「薬物使用に関する全国住民調査」の結果によると、生涯で1度でも薬物(有機溶剤、大麻、覚醒剤、MDMA、コカイン、ヘロイン、危険ドラッグ、LSDのうちいずれかの薬物)の使用を経験した人の割合は、2.5%となっています。 この結果に基づいて、本市における薬物使用の生涯経験者数を推計すると、約59,000人となります。 図表2-8:薬物使用者の割合(推計) (表ここから) 生涯で薬物をしようした人の割合(脚注7) 2.5%(2.0%〜3.1%) 本市における薬物使用の生涯経験者推計数 約59,000人 (表ここまで) 出典:国立精神・神経医療研究センター「薬物使用に関する全国住民調査(2019年)<第13回飲酒・喫煙・くすりの使用についての全国調査>」(令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告書)(分担研究者:嶋根卓也、研究協力者:猪浦智史・邱冬梅・和田清) 注:推計にあたっては、「住民基本台帳・年齢階級別人口」(2019年9月30日)より、本市15歳以上65歳未満の人口を用いた 脚注7:( )内の値は、標本調査の結果に基づく区間推定(95%信頼区間)の値である。これは同じ母集団から同数の標本を抽出して100回の調査を実施した場合、薬物の生涯経験者の割合が、95回程度は( )内の数値の範囲内に収まることを指す。 (イ)薬物を取り巻く状況  本市が平成27年に市内の小学5年生・中学2年生に対して実施した調査によると、小学5年生の70.6%、中学2年生の84.9%が、脱法ハーブや危険ドラッグが「簡単に手に入ると思う」または「少し苦労するが、何とか手に入ると思う」と回答しています。 図表2-9:「脱法ハーブや危険ドラッグを手に入れようとした場合、すぐに手に入ると思う」と回答した児童・生徒の割合 (表ここから) 児童・生徒(n=調査数) 割合 小学5年生(n=830) 簡単に手に入ると思う36.0% 少し苦労するが、何とか手に入ると思う34.6% ほとんど不可能だと思う17.7% ぜったい不可能だと思う10.2% 無回答1.4% 中学2年生(n=971) 簡単に手に入ると思う35.3% 少し苦労するが、何とか手に入ると思う49.6% ほとんど不可能だと思う10.4% ぜったい不可能だと思う4.0% 無回答0.6% (表ここまで) 出典:横浜市「薬物、たばこ、酒に対する意識等調査報告書」(平成27年) (ウ)薬物乱用の状況  本市における麻薬・覚醒剤使用による検挙者数を見ると、毎年400〜500人程度で推移しています。  また、薬物事件で少年保護事件の対象となった少年の数は、平成29年以降増加傾向にあり、令和元年は58人が薬物事件で少年保護事件の対象となっています。 図表2-10:麻薬・覚醒剤使用による検挙者数(横浜市) (表ここから) 年度 検挙人数 平成27年 麻薬143人 覚醒剤416人 総数559人 平成28年 麻薬142人 覚醒剤380人 総数522人 平成29年 麻薬144人 覚醒剤360人 総数504人 平成30年 麻薬188人 覚醒剤316人 総数504人 令和元年 麻薬172人 覚醒剤216人 総数388人 (表ここまで) 出典:横浜市統計書 図表2-11:薬物事件で少年保護事件の対象となった少年の数(横浜市) (表ここから) 年度 人数 平成27年 麻薬及び向精神薬取締法等11人 覚醒剤取締法5人 総数16人 平成28年 麻薬及び向精神薬取締法等12人 覚醒剤取締法2人 総数14人 平成29年 麻薬及び向精神薬取締法等18人 覚醒剤取締法5人 総数23人 平成30年 麻薬及び向精神薬取締法等32人 覚醒剤取締法10人 総数42人 令和元年 麻薬及び向精神薬取締法等48人 覚醒剤取締法10人 総数58人 (表ここまで) 出典:横浜市統計書  国立精神・神経医療研究センターが実施した調査(脚注8)によると、薬物乱用の対象となっている薬物の種類・内容は、覚醒剤が66.1%と最も多く、以下、揮発性溶剤、大麻が続いています。また、睡眠薬・抗不安薬などの処方薬や市販薬についても、一定の割合で乱用の対象となっています。 図表2-12:各種薬物の生涯使用経験(複数選択)(n=2,609) (表ここから) 生涯使用経験のある薬物 経験人数 割合 覚醒剤 1,725 66.1% 揮発性溶剤 928 35.6% 大麻 791 30.3% コカイン 238 9.1% ヘロイン 70 2.7% MDMA 250 9.6% MDMA以外の幻覚剤 207 7.9% 危険ドラッグ 386 14.8% 睡眠薬・抗不安剤 777 29.8% 鎮痛剤(処方非オピオイド系) 74 2.8% 鎮痛剤(処方オピオイド系:弱オピオイド含む) 37 1.4% 市販薬 303 11.6% ADHD治療薬 58 2.2% その他 76 2.9% (表ここまで) 出典:「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」(平成30年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業:H29−医薬一般−001)分担研究報告書)(研究分担者:松本俊彦、研究協力者:宇佐美貴士・船田大輔・村上真紀・谷渕由布子) 注:表中の値は、2018年9月1日から10月31日までの2か月間に調査対象施設において、入院あるいは外来で診察を受けた「アルコール以外の精神作用物質使用による薬物関連精神障害患者」による生涯使用経験である 注:処方薬・医薬品については、治療目的以外の不適切な使用が対象 脚注8:「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」(平成30年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業:H29−医薬一般−001)分担研究報告書)(研究分担者:松本俊彦) (エ)薬物に関する相談状況  本市における薬物に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、平成29年5月より依存症相談窓口(依存症専門相談)を開設し、平成29年度以降は年間のべ100件以上の薬物に関する相談を受け付けています。また、区役所では年間のべ250〜600件程度の薬物に関する相談を受け付けています。 図表2-13:こころの健康相談センターにおける薬物に関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成27年度 電話22件 面接4件 総数26件 平成28年度 電話20件 面接8件 総数28件 平成29年度 電話80件 面接36件 総数116件 平成30年度 電話82件 面接38件 総数120件 令和元年度 電話138件 面接39件 総数177件 ※相談窓口開設平成29年度以降 (表ここまで) 出典:本市資料 図表2-14:区役所における薬物に関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成27年度 面接相談46件 訪問相談69件 電話相談131件 総数246件 平成28年度 面接相談24件 訪問相談59件 電話相談419件 総数502件 平成29年度 面接相談57件 訪問相談27件 電話相談235件 その他2件 総数321件 平成30年度 面接相談139件 訪問相談71件 電話相談366件 総数576件 令和元年度 面接相談84件 訪問相談35件 電話相談391件 その他3件 総数513件 (表ここまで) 出典:本市資料 ウ:ギャンブル等依存症に関連する状況 (ア)ギャンブル等依存症者の割合  本市が令和元年12月〜令和2年3月にかけて実施した「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」(以下「横浜市娯楽と生活習慣に関する調査」という。)の結果によると、過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人の割合の推計値は成人の0.5%、生涯でギャンブル等依存症が疑われる人の割合の推計値は成人の2.2%(脚注9)となっていました。  この結果に基づいて、本市におけるギャンブル等依存症者数を推計すると、過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人は約16,000人、生涯でギャンブル等依存症が疑われる人は約70,000人となります。  なお、国の調査(脚注10)、本市の調査いずれにおいても、ギャンブル等依存症が疑われる人が最もよくお金を使ったギャンブル等として、「パチンコ・パチスロ」との回答が最も多くなっています。 図表2-15:ギャンブル等依存症が疑われる人の割合(推計値) (表ここから) 分類 割合(脚注11) の推計人数 過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人 0.5%(0.3%〜1.1%) 約16,000人 生涯でギャンブル等依存症が疑われる人 2.2%(1.5%〜3.4%) 約70,000人 (表ここまで) 出典:横浜市「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」(令和元年度) 注:ここでの「ギャンブル等」とは、パチンコ・パチスロや、ゲームセンターのスロットマシン、ポーカーマシン等のメダルや景品が当たるゲーム機、海外のカジノ、宝くじ、ナンバーズ、サッカーくじ、証券の信用取引または先物取引市場への投資なども含まれている 注:本調査は、「住民基本台帳・年齢階級別人口」(2019年9月30日現在)に記載のある18歳以上75歳未満の人を対象とし、ギャンブル等依存症が疑われる人の推計人数の算出にあたっては、18歳以上の人口を用いた 脚注9:この2.2%の中には、調査時点で過去1年以上ギャンブル等を行っていない者が一定数含まれており、例えば10年以上前のギャンブル等の経験について評価されている場合があることに留意する必要がある。 脚注10:「平成29年度 国内のギャンブル等依存症に関する疫学調査(全国調査結果の中間とりまとめ)」(ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究 障害者対策総合研究開発事業(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)) 脚注11:( )内の値は、標本調査の結果に基づく区間推定(95%信頼区間)の値である。これは同じ母集団から同数の標本を抽出して100回の調査を実施した場合、ギャンブル等依存症が疑われる人の割合が、95回程度は( )内の数値の範囲内に収まることを指す。 数の算出にあたっては、18歳以上の人口を用いた。 (イ)ギャンブル等を取り巻く状況  本市における既存の公営競技・遊技場等の施設・店舗数は以下の通りです。  本市におけるパチンコ店の店舗数は、平成27年以降、減少傾向にあります。 図表2-16:本市における公営競技場等の状況(令和元年12月末現在) (表ここから) 種類 店舗数・施設数 出典 中央競馬 0場(※場外3場) 日本中央競馬会ウェブサイト 地方競馬 0場(※場外1場) 地方競馬全国協会ウェブサイト 競輪 0場(※場外1場) 公益財団法人JKAウェブサイト 競艇 0場(※場外1場) 日本モーターボート競走会ウェブサイト オ―トレース 0場(※場外1場) 公益財団法人JKAウェブサイト (表ここまで) 図表2-17:本市におけるパチンコ店の店舗数の推移 (表ここから) 年度 店舗数 平成27年度 235店 平成28年度 225店 平成29年度 211店 平成30年度 200店 令和元年度 193店 (表ここまで) 出展:神奈川県警資料 (コラムここから) コラム・統合型リゾート(IR)について 「特定複合観光施設区域整備法」(平成30年7月制定、以下「IR整備法」という。)に基づき、観光の振興・地域経済の振興・財政の改善に貢献することを目的に、国内で3か所を上限に統合型リゾート(以下「IR」という。)を設置することとしています。 IRとは、国際会議場施設、展示等施設、日本の文化や伝統、食などの魅力的なコンテンツを発信・提供する魅力増進施設、送客施設、宿泊施設等の観光振興に寄与する施設とカジノ施設から構成される一群の施設であって、民間事業者により一体として設置・運営されるものです。 本市では、このIRの実現に向けた検討・準備を進めています。IRを構成する施設の一つであるカジノに起因する依存症対策としては、入場回数制限、自己・家族による入場制限、広告・勧誘規制など、IR整備法に基づく対策に加え、事業者に対してはギャンブル等依存症に関する相談体制の整備、市、県、国、関係機関等と連携・協力した取組の推進などを求めていきます。また、先進事例に学ぶとともに、横浜の実情を踏まえ、最適な対応策を検討・実施し、市、事業者、関係機関等が一体となって「安全・安心対策の横浜モデル」を構築します。 (コラムここまで) (ウ)ギャンブル等の実施に関する状況  「横浜市娯楽と生活習慣に関する調査」の結果によると、初めてギャンブル等をした年齢は、20歳未満が15.2%、20歳代が28.4%となっており、回答者の4割以上が20歳代までにギャンブル等を始めています。 図表2-18:初めてギャンブル等をした年齢(n=1,263) (表ここから) 年齢 割合 20歳未満 15.2% 20歳代 28.4% 30歳代 5.4% 40歳代 2.5% 50歳代 1.3% 経験なし 47.2% 無回答 0.1% (表ここまで) 出展:横浜市「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」(令和元年度) (エ) ギャンブル等に関する相談状況  本市におけるギャンブル等に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、平成29年5月より依存症相談窓口(依存症専門相談)を開設し、平成29年度以降は年間のべ100〜200件程度のギャンブル等に関する相談を受け付けています。  また、区役所では年間のべ110〜170件程度のギャンブル等に関する相談を受け付けています。 図表2-19:こころの健康相談センターにおけるギャンブル等に関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成27年度 0件 平成28年度 電話相談4件 面接相談1件 総数5件 平成29年度 電話相談71件 面接相談52件 総数123件 平成30年度 電話相談118件 面接相談63件 総数181件 令和元年度 電話相談173件 面接相談42件 総数215件 ※相談窓口開設平成29年度以降 (表ここまで) 出典:本市資料 図表2-20:区役所におけるギャンブル等に関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成27年度 面接相談19件 訪問相談21件 電話相談67件 総数107件 平成28年度 面接相談15件 訪問相談22件 電話相談79件 総数116件 平成29年度 面接相談45件 訪問相談19件 電話相談104件 総数168件 平成30年度 面接相談38件 訪問相談3件 電話相談76件 総数117件 令和元年度 面接相談32件 訪問相談8件 電話相談79件 総数119件 (表ここまで) 出典:本市資料 エ:その他の依存症に関連する状況 (ア) ゲーム利用に関する状況  「横浜市娯楽と生活習慣に関する調査」の結果によると、年齢が若いほど1日の平均ゲーム利用時間が長くなる傾向が見られます。 図表2-21:現在の年齢と、1日の平均ゲーム利用時間の関係 (表ここから) 現在の年齢(n=調査数) 1日の平均ゲーム利用時間 18〜19歳(n=33) 4時間以上18.2% 2時間以上~4時間未満33.3% 2時間未満36.4& 全くしない12.1% 20〜29歳(n=121) 4時間以上10.7% 2時間以上~4時間未満21.5% 2時間未満47.1% 全くしない20.7% 30〜39歳(n=199) 4時間以上4.5% 2時間以上~4時間未満12.5% 2時間未満41.7% 全くしない41.2% 40〜49歳(n=267) 4時間以上1.9% 2時間以上~4時間未満6.7% 2時間未満45.3% 全くしない46.1% 50〜59歳(n=261) 4時間以上1.5% 2時間以上~4時間未満3.5% 2時間未満28.0% 全くしない67.0% 60〜69歳(n=237) 2時間以上~4時間未満3.3% 2時間未満21.1% 全くしない75.5% 70〜79歳(n=145) 2時間以上~4時間未満3.5% 2時間未満8.3% 全くしない87.6% 無回答0.7% (表ここまで) 出典:横浜市「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」(令和元年度) 注:ゲームには、パソコン、ゲーム機、スマートフォン、携帯電話など使用するすべてを含む  また、国立病院機構久里浜医療センターが令和元年に実施した調査によれば、平日のゲーム使用時間が長い人ほど、身体に不調が現れてもゲームを続ける傾向が見られます。 図表2-22:ゲームが腰痛、目の痛み、頭痛、関節や筋肉痛などといった体の問題を引き起こしていても、ゲームを続ける人の割合 (表ここから) 男女別(n=調査数) 平日のゲーム使用時間 男性(n=2,546) 1時間未満4.4% 1時間以上2時間未満8.8% 2時間以上3時間未満14.5% 3時間以上4時間未満17.5% 4時間以上5時間未満23.7% 5時間以上6時間未満27.2% 6時間以上36.8% 女性(n=2,550) 1時間未満4.2% 1時間以上2時間未満5.0% 2時間以上3時間未満17.2% 3時間以上4時間未満29.5% 4時間以上5時間未満26.8% 5時間以上6時間未満19.4% 6時間以上50.0% (表ここまで) 出典:国立病院機構久里浜医療センター「ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート」(令和元年) (イ)ネット利用に関する状況  「横浜市娯楽と生活習慣に関する調査」の結果によると、18〜19歳の人の21.2%、20〜29歳の人の14.9%が、1日に4時間以上、娯楽としてネットを利用していると回答しています。 なお、本市が平成30年度に実施した調査によると、18歳〜20歳代の人の49.0%が「SNSのない自分の生活は考えられない」との設問に対して「そう思う」と回答しています。 図表2-23:現在の年齢と、1日の平均ネット利用時間の関係 (表ここから) 現在の年齢(n=調査数) 1日の平均ネット利用時間 18〜19歳(n=33) 4時間以上21.2% 3時間以上~4時間未満9.1% 2時間以上3時間未満21.2& 1時間以上2時間未満36.4% 1時間未満6.1% 全くしない6.1% 20〜29歳(n=121) 4時間以上14.9% 3時間以上~4時間未満9.9% 2時間以上3時間未満18.2& 1時間以上2時間未満29.8% 1時間未満14.9% 全くしない12.4% 30〜39歳(n=199) 4時間以上5.5% 3時間以上~4時間未満5.5% 2時間以上3時間未満13.6& 1時間以上2時間未満22.6% 1時間未満32.2% 全くしない20.6% 40〜49歳(n=267) 4時間以上3.0% 3時間以上~4時間未満3.0% 2時間以上3時間未満7.9& 1時間以上2時間未満25.5% 1時間未満34.5% 全くしない25.8% 無回答0.4 50〜59歳(n=261) 4時間以上1.9% 3時間以上~4時間未満2.3% 2時間以上3時間未満2.3& 1時間以上2時間未満15.3% 1時間未満38.3% 全くしない39.5% 無回答0.4 60〜69歳(n=237) 4時間以上0.8% 3時間以上~4時間未満1.3% 2時間以上3時間未満6.3& 1時間以上2時間未満7.6% 1時間未満28.3% 全くしない55.7% 70〜79歳(n=145) 3時間以上~4時間未満0.7% 2時間以上3時間未満0.7& 1時間以上2時間未満17.9%全くしない74.5% (表ここまで) 出典:横浜市「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」(令和元年度) 注:ここでいう「ネット利用」は、娯楽として、SNSや動画サイト、ウェブサイト等の閲覧を行うことを指す 図表2-24:「SNSのない自分の生活は考えられない」に「そう思う」と回答した割合 (表ここから) 年代(n=調査数) 割合 18歳〜20歳代(n=204) 49.0% 30歳代(n=255) 17.3% 40歳代(n=374) 13.6% 50歳代(n=401) 12.2% 60歳代(n=375) 9.3% 70歳代以上(n=451) 6.2% (表ここまで) 出典:横浜市「日常生活の中での活動に関する調査」(平成30年度) (ウ)その他の依存症に関する相談状況  本市におけるゲーム障害を含むその他の依存症に関する相談状況を見ると、こころの健康相談センターでは、令和元年度において年間のべ200件程度のその他の依存症に関する相談を受け付けています。 また、区役所では令和元年度においてのべ35件の相談を受け付けています。 図表2-25:こころの健康相談センターにおけるその他の依存症に関する相談のべ件数 (表ここから) 年度 件数 平成29年度 電話相談52件 面接相談15件 総数67件 平成30年度 電話相談90件 面接相談64件 総数154件 令和元年度 電話相談159件 面接相談57件 総数216件 (表ここまで) 出典:本市資料 図表2-26:区役所におけるその他の依存症に関する相談のべ件数(横浜市) (表ここから) 年度 件数 平成29年度 0件 平成30年度 面接相談25件 訪問相談3件 電話相談56件 総数154件 令和元年度 面接相談12件 訪問相談4件 電話相談19件 総数35件 (表ここまで) 出典:本市資料 (2) 市民の認知度や地域の特徴など ア:依存症に関する認知度  本市が令和2年に実施した「ヨコハマeアンケート」(脚注12) (以下、「eアンケート」という。)の結果によれば、回答者の95%以上が、アルコール依存症・薬物依存症・ギャンブル等依存症について知っており、依存症に対する認知度は高いことがうかがえます。  他方で、「依存症になるのは自業自得だと思う」の質問については38.8%が、「治療しても依存症が回復することはない」の質問については24.2%が「そう思う」または「ややそう思う」と回答しており、依存症に関する正しい知識が浸透していないことがうかがえます。 図表2-27:知っている依存症 (表ここから)n=1,264 依存症 割合 アルコール依存症 98.7% 薬物依存症 95.8% ギャンブル依存症 96.6% いずれも知らない 0.7% その他 13.8% (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) 図表2-28:依存症に対する認識 (表ここから) 認識 割合 依存症になるのは自業自得だと思う そう思わない10.2% あまりそう思わない12.9% どちらともいえない35.0% ややそう思う27.2% そう思う11.6% わからない2.1% 無回答0.9% 治療しても依存症が回復することはない そう思わない19.0% あまりそう思わない25.7% どちらともいえない26.8% ややそう思う17.7% そう思う6.5% わからない3.2% 無回答1.0% (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) 脚注12「ヨコハマeアンケート」調査数:3,175人、回答:1,264人(回答率:39.8%)、期間:令和2年7月31日〜8月14日、方法:市内在住の15歳以上の登録メンバーによるインターネット調査 イ:地域別の人口の特徴 本市における地域別(注)の特徴についてまとめると、以下のようになります。 ● 東部においては、人口の増加が顕著に見られます。一方、世帯の特徴を見ると、独居世帯の割合が高く、被保護世帯数や外国人人口についても他の地域に比べると相対的に多いことがうかがえます。 ● 北部においては、人口が増加しているほか、人口に占める15歳未満の割合が他の地域に比べて高く、15歳未満の人口が比較的多いという特徴が挙げられます。一方で、一部の区において、自治会・町内会への加入率が相対的に低いという課題も見られます。 ● 南部については、人口が減少している中、人口に占める高齢者(65歳以上、以下同様)の割合、及び高齢者の独居世帯の割合が高い地域であるといえます。一方で、自治会・町内会への加入率が他地域に比べて高いことがわかります。 ● 西部については、南部と同様に高齢者の割合、及び高齢者の独居世帯の割合が他地域に比べて高いことがうかがえます。 (注)エリア別の区分は以下の通りです。 ・東部:鶴見区、神奈川区、西区、中区、南区 ・北部:港北区、緑区、青葉区、都筑区 ・南部:港南区、磯子区、金沢区、栄区 ・西部:保土ケ谷区、旭区、戸塚区、泉区、瀬谷区 図表2-29:地域別の人口等に関するデータ (表ここから) 区域 人口(令和2年1月1日現在) 人口増減率(平成28年1月1日現在→令和2年1月1日現在) 全人口に占める15歳未満の割合(令和2年1月1日現在) 全人口に占める高齢者の割合(令和2年1月1日現在) 横浜市全体 3,749,929人 0.7% 11.9% 24.6% 東部鶴見区 292,975人 2.7% 12.7% 21.1% 東部神奈川区 245,036人 2.4% 11.1% 21.6% 東部西区 103,985人 5.5% 11.0% 19.1% 東部中区 149,910人 0.8% 10.1% 23.7% 東部南区 195,482人 0.5% 10.0% 26.5% 北部港北区 353,620人 2.7% 12.2% 19.7% 北部緑区 182,495人 1.1% 12.7% 24.4% 北部青葉区 310,387人 0.2% 12.7% 21.8% 北部都筑区 212,642人 0.2% 15.2% 18.1% 南部港南区 213,751人 ▲0.8% 11.1% 28.5% 南部磯子区 166,347人 0.0% 11.8% 27.4% 南部金沢区 198,054人 ▲1.8% 11.1% 29.3% 南部栄区 119,612人 ▲2.0% 11.4% 31.2% 西武保土ケ谷区 205,939人 0.3% 10.8% 26.3% 西武旭区 245,127人 ▲0.8% 11.5% 29.9% 西武戸塚区 280,733人 2.0% 13.0% 25.6% 西武泉区 151,830人 ▲1.4% 11.8% 29.1% 西武瀬谷区 122,004人 ▲2.0% 11.9% 28.2% (表ここまで) 出展:横浜市「市・区の年齢別人口」 図表2-30:地域別の人口等に関するデータ:つづき (表ここから) 区域 世帯数(令和2年3月末現在) 全世帯数に占める独居世帯の割合(令和2年3月末現在) 全世帯に占める高齢者独居世帯の割合(令和2年3月末現在) 横浜市全体 1,813,405世帯 42.6% 15.2% 東部鶴見区 149,115世帯 48.2% 14.4% 東部神奈川区 127,338世帯 51.5% 13.9% 東部西区 58,282世帯 56.1% 13.1% 東部中区 87,100世帯 57.4% 18.5% 東部南区 109,088世帯 53.2% 18.5% 北部港北区 173,033世帯 45.4% 11.8% 北部緑区 82,538世帯 37.0% 13.8% 北部青葉区 136,038世帯 34.0% 12.4% 北部都筑区 87,993世帯 30.7% 11.0% 南部港南区 101,124世帯 38.2% 16.7% 南部磯子区 82,053世帯 42.8% 17.6% 南部金沢区 92,974世帯 38.5% 16.8% 南部栄区 55,644世帯 36.3% 17.1% 西武保土ケ谷区 101,965世帯 45.1% 16.5% 西武旭区 116,131世帯 39.1% 17.8% 西武戸塚区 127,018世帯 35.7% 15.0% 西武泉区 69,590世帯 35.5% 16.8% 西武瀬谷区 56,441世帯 37.3% 17.1% (表ここまで) 出典:横浜市「世帯人員別の世帯数」 図表2-31:地域別の人口等に関するデータ:つづき (表ここから) 区域 被保護世帯数(令和2年3月末現在) 自治会・町内会加入状況(加入率)(平成31年4月1日現在) 外国人人口(令和2年3月末現在) 横浜市全体 54,111世帯 72.4% 105,287人 東部鶴見区 5,228世帯 74.3% 14,002人 東部神奈川区 3,016世帯 68.6% 7,638人 東部西区 1,477世帯 64.3% 5,244人 東部中区 8,345世帯 63.2% 17,467人 東部南区 6,065世帯 76.3% 10,937人 北部港北区 2,835世帯 66.3% 7,086人 北部緑区 2,113世帯 73.7% 4,350人 北部青葉区 1,872世帯 72.4% 4,504人 北部都筑区 1,189世帯 61.4% 3,701人 南部港南区 2,345世帯 75.4% 2,839人 南部磯子区 2,295世帯 73.7% 5,172人 南部金沢区 1.678世帯 80.8% 3,110人 南部栄区 1,261世帯 81.6% 1,176人 西武保土ケ谷区 2,968世帯 75.0% 5,862人 西武旭区 3,544世帯 78.0% 3,248人 西武戸塚区 2,810世帯 71.7% 4,433人 西武泉区 2,393世帯 76.5% 2,516人 西武瀬谷区 2,677世帯 77.2% 2,002人 (表ここまで) 出典:横浜市「横浜市統計書」、横浜市「自治会町内会調査結果」、横浜市「外国人の人口」 2 本市及び関係機関、民間支援団体等における取組と状況 (1) 身近な支援者の取組と状況 ア:身近な支援者の分類 本市においては、依存症の本人や依存症が疑われる人、またはその家族等にとって身近な支援者となる様々な機関・団体が活動をしています。 こうした身近な支援者が依存症問題に対する理解と対応力を高め、専門的な支援者との連携を強化していくことが、効果的な依存症の予防・早期発見・早期支援に向けて極めて重要だと考えられます。 図表2-32:本市における身近な支援者(例) (表ここから) 分類 具体的な機関・団体 依存症に対する関わり 行政 保健所・区役所(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課など)、児童相談所、消費生活総合センターなど ●貧困や虐待、DV、多重債務、健康問題等に関する行政の相談窓口として、一次相談から専門的な相談まで幅広く対応しています。 ●相談内容の背景に依存症の問題があった場合には、専門的な支援者へのつなぎを行っています。 福祉 精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター、地域ケアプラザ、発達障害者支援センター など。指定特定相談支援事業者、障害福祉サービス事業所など。居宅介護支援などの介護事業所。生活困窮者支援を行う事業者、保育所など ●要介護者や障害者、生活困窮者、子どもなどが地域生活を送る上で必要なケアやサポート、福祉サービスを提供しています。 ●サービスを提供する中で、支援対象者等が依存症の問題を抱えている場合には、専門的な支援者に関する情報提供などを行っています。 司法 法テラスや法律事務所、司法書士事務所、保護観察所、更生保護施設など。 ●法律相談等に対応する中で、依存症に起因する多重債務等の問題を抱える人へ、相談窓口の提供などを行っています。 ●また、保護観察所や更生保護施設は、薬物使用等で検挙された人が再び犯罪を繰り返すことのないよう、支援を行っています。 (表ここまで) 図表2-33:本市における身近な支援者(例):つづき (表ここから) 分類 具体的な機関・団体 依存症に対する関わり 医療(一般医療機関) 依存症の治療を標榜していない医療機関(内科、婦人科、精神科など) ●患者に依存症の問題が疑われる場合に、専門的な支援者に関する情報の提供やつなぎを行います。 ●また、疾病などを抱えながら依存症の回復に臨む患者に対し、専門的な医療機関や他の支援者と連携しながら各診療科の専門性を踏まえた医療を提供しています。 学校 小中学校や高等学校、専門学校、大学など。 ●各学校・教育機関の教育活動の中で、依存症の予防と正しい理解の促進に向けた教育・指導などを行っています。 ●様々な課題を抱える子どもに対し、保護者や他の支援者と連携しながらサポートを提供しています。 (表ここまで) イ:身近な支援者による依存症への相談対応の状況 (ア)地域ケアプラザ等におけるアルコール関連問題の相談対応の状況  身近な支援者による依存症関連の相談状況について、例えば、身近な支援者(地域ケアプラザ、精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター等)を対象として実施したアンケート(以下、「身近な支援者アンケート」という。)では、回答した124施設中116施設(93.5%)がアルコール関連問題の相談があったと回答しており、アルコール関連問題はこれらの一次相談支援機関に寄せられる相談の内容として珍しくない状況にあります。  また、同アンケートによれば、アルコール関連問題の相談において、相談者への他の社会資源に関する情報提供や外部機関との連携、内部でのカンファレンスを通じた対応策の検討などの取組が行われています。  他方、アルコール関連問題は、他の問題が併存するなど、相対的に支援における困難度が高いと感じる支援者が多い状況です。また、家族等からの相談が多いといった傾向が見られ、専門的な支援者への受診・相談勧奨を拒否する当事者も少なくない状況にあります。その結果、身近な支援者から専門機関へのつなぎを困難に感じる支援者が多い状況です。 表2-34:身近な支援者におけるアルコールの問題に関する相談の有無(n=124) あった(93.5%) なかった(6.5%) 出典:身近な支援者(地域ケアプラザ、精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター等)を対象とするアンケートより 図表2-35:相談対応にあたって困ること(複数回答・n=116) (表ここから) 困る事柄 割合 助言方法がわからない 21.6% 相談内容が不明瞭 13.8% 接触ができない 26.7% 関係が築きづらい 29.3% 受診勧奨がうまくいかない 51.7% 問題を否認する 8.6% 相談者・利用者とトラブルがある 2.6% 断酒が継続しない 39.7% 繰り返し相談が持ち込まれる 8.6% トラブル処理に追われる 12.9% 相談員の精神的負担が多い 28.4% 依存問題の話題を拒む 19.0% その他 19.0% (表ここまで) 出典:身近な支援者(地域ケアプラザ、精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター等)を対象とするアンケートより (イ)区役所のこども家庭支援課における薬物・ギャンブル等問題の相談対応の状況  市内18区のこども家庭支援課虐待対応チームを対象として実施したアンケート(以下、「こども家庭支援課アンケート」という。)によれば、回答した13区のうち約8割の区が子ども、あるいは家族等がギャンブル等の問題を抱えている事例に対応した経験があり、また、約9割の区が薬物の問題を抱えている事例に対応した経験があるとの結果が見られました(結果の詳細は本章第3節68ページ 図表2-61参照)。  また、薬物やギャンブル等の問題がある場合において、対応時に困ったこととして、本人の治療が継続しないこととの回答が多く挙げられています。 図表2-36:薬物やギャンブル等の問題があった際に対応に困ったこと(複数回答・n=12) (表ここから) 回答項目 回答数 回答割合 子どもとコンタクトがとりづらい 4 33.3% 子どもの生活状況が把握しづらい 7 58.3% 養育者とコンタクトがとりづらい 8 66.7% 相談できる支援者がいない 3 25.0% 治療が継続しない 11 91.7% 相談先がわからない 1 8.3% その他 3 25.0% (表ここまで) 出典:市内18区のこども家庭支援課虐待対応チームを対象とするアンケートより 注:回答を得られた13区のうち、保護者が薬物やギャンブル等の問題を抱えている事例に対応した経験がある12区の回答結果を集計 (2) 医療機関の取組と状況 ア:専門医療機関の現状  依存症の本人への支援においては、専門医療機関が大きな役割を果たしています。  専門医療機関とは、依存症にかかる所定の研修を修了した医師等が配置され、依存症に特化した専門プログラムを行うなど、依存症に関する専門的な医療を提供できる医療機関のことです。本市では、神奈川県とともに実施要綱に基づいて以下の6か所の医療機関を選定しています(うち市内3か所)。  これらの専門医療機関の中には、アルコール・薬物・ギャンブル等以外にも幅広い依存症の治療に対応している医療機関もあり、依存症に合併する精神疾患への対応や障害福祉サービス等と連携した支援なども行われています。 図表2-37:県内に立地する専門医療機関 (表ここから) 医療機関名 所在地 診療対象の依存症 地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立精神医療センター 横浜市港南区 アルコール健康障害/薬物/ギャンブル等 医療法人誠心会 神奈川病院 横浜市旭区 アルコール健康障害 医療法人社団祐和会 大石クリニック 横浜市中区 アルコール健康障害/薬物/ギャンブル等 学校法人北里研究所 北里大学病院 相模原市南区 アルコール健康障害/薬物/ギャンブル等 独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 横須賀市 アルコール健康障害 みくるべ病院 秦野市 アルコール健康障害/薬物 (表ここまで) 出典:神奈川県ホームページを一部改変 イ:依存症治療を行う医療機関における取組  本市が実施した「平成28年度調査」からは、専門医療機関以外にも依存症の治療・支援を行う医療機関が複数存在することがわかっています。診察内容等を見てみると、アルコールを中心として外来で対応をする医療機関が多い状況です。  外来対応を行う医療機関で提供されている依存症対応プログラムについては、「集団療法」(脚注13)、「個別療法」(脚注14)、「家族向け集団教育」(脚注15)、「コ・メディカルスタッフ(脚注16)相談」などが行われています。このうち、いずれの依存症においても「個別療法」が最も多く提供されており、その内容としては、「SMARPP」(脚注17)、「条件反射制御法」(脚注18)、「内観療法」(脚注19)などが挙げられます。  関係機関への紹介・連携の状況を見ると、「専門病院・専門クリニック」、「自助グループ」、「回復支援施設」、「弁護士」などが紹介・連携先として比較的多くなっています。  なお、紹介・連携先については、依存症の種類によりやや違いが見られ、アルコールの場合は、専門病院・専門クリニックが最も多く、薬物とギャンブル等での紹介先は、自助グループが最も多くなっています。 (脚注13)治療者と複数の患者が一緒に治療を行う方法。 (脚注14)治療者と患者が1対1で治療を行う方法。 (脚注15)病院・診療所が企画実施する、依存症者理解のための家族が参加する勉強会(家族教室)や、分かち合い。 (脚注16)医師以外の医療関係職種のこと。看護師や精神保健福祉士、理学療法士等のリハビリテーション専門職など。 (脚注17)SMARPP(スマープSerigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program:せりがや覚醒剤依存再発防止プログラム)とは、旧せりがや病院で開発され、全国に普及した薬物再使用防止プログラムのこと。 (脚注18)不適切な行動の根源となる欲求、好まない感情や感覚、パターン化された業務における不注意等を制御あるいは予防する治療方法。 (脚注19)世話になったこと、世話をして返したこと、迷惑をかけたことなどを思い出し、自らの態度や行動を観察、分析していく治療方法。 図表2-38:依存症の治療・支援を行う医療機関で提供されているプログラムの内容 (表ここから) プログラム 依存症の種類:アルコール(n=28)/薬物(n=16)/ギャンブル(n=15) 集団療法 25.0%/18,8%/13.3% 個別療法 60.7%/68.8%/73.3% 家族向け集団教育 14.3%/12.5%/13.3% コ・メディカルスタッフ相談 42.9%/50.0%/53.3% その他 39.3%/25.0%/20.0% (表ここまで) 出典:横浜市「平成28年度 横浜市における依存症対策の現状調査」 ※下記表は棒グラフの各数値が未記入なので表記不能 図表2-39:依存症の治療・支援を行う医療機関の紹介・連携先(依存症の種類別) (表ここから) 医療機関の紹介・連携先 依存症の種類:アルコール(n=31)/薬物(n=20)/ギャンブル(n=15) 専門病院・専門クリニック 自助グループ 回復支援施設 カウンセリング機関 保健所・福祉事務所 精神保健福祉センター 法テラス 弁護士 司法書士 保健観察所 その他 連携なし (表ここまで) 出典:横浜市「平成28年度 横浜市における依存症対策の現状調査」 ウ:その他の医療機関(一般医療機関)  ア及びイに記載した専門医療機関や依存症の治療・支援を行う医療機関以外にも、市内には多くの精神科や身体科の医療機関が立地しており、本市が公開している「横浜市内の病院・一般診療所・歯科診療所名簿」(令和2年10月1日現在)によれば、市内には病院が133か所、一般診療所が3,091か所あります。  このうち、依存症や物質への依存等により生じた健康障害の治療と関連性が強いと考えられる医療機関を見てみると、精神科を標榜している医療機関が356件(うち一般診療所297件)、内科を標榜している医療機関が2,078件(うち一般診療所1,956件)となっています。  これらの医療機関は専門医療機関や依存症の治療・支援を行う医療機関と比較して数が多く、日々の通院などを通じて依存症の自覚がない人などとも接する機会が少なくないものと推察されます。そのため、依存症の早期発見と専門医療機関をはじめとする専門的な支援者へのつなぎに向けた重要な役割を担っているものと考えられます。  また、アルコールや薬物の多量摂取等による救急搬送患者への対応を担う救急外来のある医療機関についても、回復の過程において専門的な支援者へとつなぐ役割が期待されます。  その一方、専門医療機関や依存症の治療・支援を行う医療機関以外の医療関係者においては、依存症に関する情報不足などから、必ずしも依存症の専門的な支援者等との連携が十分になされていないとの意見も聞かれます。例えば、本市が市内の救命救急センターに対して行ったヒアリングでは、搬送から退院までの短期間で本人への動機づけを行うことの難しさ、本人等が抱える生活困窮の問題、関係者の不在などの要因から、専門治療や支援へつなぐことが困難な様子がうかがえ、こうした問題への対応策としてスタッフへの研修の必要性が挙げられていました。 (3)民間支援団体等の取組と状況 ア:民間支援団体等の現状 (ア)回復支援施設の概況と活動内容について  回復支援施設とは、回復施設、リハビリ施設とも呼ばれ、施設ごとに様々なプログラムや支援メニューを実施し、依存症等からの回復を支援する施設のことを指します。  これらの施設のスタッフについては、依存症からの回復者が携わっていることも多く、回復者が施設長を務める施設も多くあります。  また、運営体制は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業所としての報酬を受けて運営する施設、本市が独自に助成している地域活動支援センターとして運営する施設、法人として独自の財源により運営している施設など多岐にわたり、依存症の本人が入所して共同生活を営む施設、通所によるプログラムを提供する施設など様々な支援が提供されています。  各回復支援施設の支援対象については、アルコール・薬物・ギャンブル等のいずれかの依存症に特化して支援を行う施設、複数の依存症や依存症全般に対応する施設があります。  本市が実施した依存症社会資源調査によれば、他の自治体と比較して市内には社会資源が相対的に多く集積しています。加えて、全国的に珍しい女性専用の回復支援施設も本市において活動しています。駅周辺など市内の比較的アクセスのよい場所で活動している団体も多く、施設数・活動の多様性・支援対象の広がり・アクセスのしやすさなどの総合的な観点から見て、本市の回復支援施設は当事者にとって利用しやすく、多様な選択肢を提供している状況にあると考えられます。  なお、各施設の分布を見ると、特に市内のうち東部や相模鉄道本線沿線に多く立地しています。 図表2-40:市内回復支援施設一覧 (表ここから) 団体名 施設名 対応する依存症(※)(アルコール/薬物/ギャンブル等/その他) 団体所在地 NPO法人RDP RDP横浜 アルコール◎/薬物◎/ギャンブル等◎/その他◎ 横浜市神奈川区松本町4‐28‐16 弘津ビル2F NPO法人あんだんて 女性サポートセンターIndah(インダー) アルコール◎/薬物◎/その他◯ 横浜市瀬谷区瀬谷4‐11‐16足立ビル1階 NPO法人ギャンブル依存ファミリーセンターホープヒル ホープヒル アルコール◯/薬物◯/ギャンブル等◎/その他◯ 横浜市旭区東希望が丘133-1第3コーポラスC棟508号室 NPO法人市民の会 寿アルク 第1アルク・デイケア・センター松影、アルク・ハマポート作業所、アルク翁、第2アルク生活訓練センター、第2アルク地域活動支援センター、アルク・ヒューマンサポートセンター アルコール◎/薬物◯/ギャンブル等◯ 横浜市中区松影町3-11-2三和物産松影町ビル2F NPO法人ステラポラリス ステラポラリス アルコール◎/薬物◯/ギャンブル等◎/その他◯ 横浜市保土ケ谷区宮田町1-4-6 カメヤビル2F NPO法人ダルクウィリングハウス ダルクウィリングハウス 薬物◎/その他◯ 住所は非公開 NPO法人日本ダルク神奈川 日本ダルク神奈川 アルコール◯/薬物◎/ギャンブル等◯/その他◯ 横浜市中区北方町1-21 NPO法人ヌジュミ デイケアぬじゅみ アルコール◯/ギャンブル等◎/その他◯ 横浜市保土ケ谷区西谷4丁目1番6号 西谷産業ビル1階 NPO法人BB 地域活動支援センターBB アルコール◎/薬物◯/ギャンブル等◎/その他◯ 横浜市南区東蒔田町15-3YTCビル1階 一般社団法人ブルースター横浜 ブルースター横浜 ギャンブル等◎/その他◯ 横浜市金沢区能見台通3-1アサヒビル201号室 NPO法人横浜依存症回復擁護ネットワーク(Y−ARAN) YRC横浜 アルコール◎/薬物◎/ギャンブル等◎/その他◎ 横浜市磯子区下町12-14 NPO法人横浜ダルク・ケア・センター 横浜ダルク・ケア・センター アルコール◯/薬物◎/ギャンブル等◯/その他◯ 横浜市南区宿町2-44-5 NPO法人横浜マック 横浜マック デイケアセンター アルコール◎/薬物◎/ギャンブル等◯ 横浜市旭区本宿町91-6 株式会社わくわくワーク大石 わくわくワーク大石 アルコール◎/薬物◎/ギャンブル等◎/その他◯ NPO法人ワンデーポート ワンデーポート ギャンブル等◎/その他◯ 横浜市瀬谷区相沢4-10-1 (表ここまで) ※主たる支援対象とする依存症は◎、それ以外に対応している依存症については○を記載 ※下記図表はマップ図なので表記不能 図表2-41:市内回復支援施設の分布状況 ※所在地が公表されている団体のみ掲載 (イ)自助グループの概況と活動内容について  自助グループとは、なんらかの障害、問題、悩みなどを抱えた人たち同士が出会い、ミーティングや情報交換を通じ、相互に援助しあうことで、その問題からの回復を目指すことを目的とした集まりを指します。また、自助グループの中には、互いに実名を伏せて匿名で関わりあうものもあり、匿名グループ(Anonymousアノニマス)という言い方がなされることもあります。  これらの自助グループは、アルコール・薬物・ギャンブル等それぞれの依存症ごとに存在しており、依存症の本人を対象とする団体のほか、その家族を対象とする団体もあります。  平成28年度調査によれば、市内では9団体の自助グループが活動しています。また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえ、一部ではテレビ・Web会議システムを活用したオンラインによるミーティングを開催している団体もあります。  こうした市内の団体の中には、AA(エーエー)やアラノンといった海外で設立されたグループの日本版や、全国規模の団体の横浜支部などもあり、それぞれの団体の活動理念を踏まえた、独自のミーティング手法を用いた自助活動が進められています。 図表2-42:市内自助グループ一覧 (表ここから) 依存症区別 団体名 対象(本人/家族) 団体情報(本部所在地等) アルコール依存症 AA(エーエー)(アルコホーリクス・アノニマス) 本人 AA日本ゼネラルサービス:東京都豊島区池袋4-17-10土屋ビル3F/AA関東甲信越セントラルオフィス:東京都豊島区南大塚3-34-16 オータニビル3F アルコール依存症 アラノン(NPO法人アラノン・ジャパン) 家族 アラノン・ジャパン:横浜市神奈川区白幡上町19-13 アルコール依存症 横浜断酒新生会(一般社団法人神奈川断酒連合会) 本人/家族 公益社団法人全日本断酒連盟:東京都千代田区/一般社団法人 神奈川県断酒連合会:横浜市港南区 薬物依存症 NA(エヌエー)(ナルコティクス アノニマス) 本人 NA日本リージョン・セントラル・オフィス:東京都北区赤羽 1-51-3-301 薬物依存症 ナラノン(NPO法人ナラノンジャパンナショナルサービス) 家族 ナラノンファミリーグループジャパン・ナショナルサービスオフィス:東京都豊島区西池袋2-1-2 島幸目白ピソ2-C 薬物依存症 NPO法人横浜ひまわり家族会 家族 横浜市港北区鳥山町1752 障害者スポーツ文化センター 横浜ラポール3階 ギャンブル等依存 GA(ジーエー)(ギャンブラーズ・アノニマス) 本人 GA日本インフォメーションセンター:神奈川県大和市大和東3-14-6-101 ギャンブル等依存 ギャマノン(一般社団法人ギャマノン日本サービスオフィス) 家族 ギャマノン日本サービスオフィス:東京都豊島区東池袋2-62-8 BIGオフィスプラザ池袋501号 ギャンブル等依存 NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会 家族 東京都新宿区矢来町131番地 (表ここまで) (4)本市における取組と状況  本市においては、実施要綱に基づく依存症相談拠点であるこころの健康相談センターと各区役所の精神保健福祉相談を中心に、依存症の本人や家族等の個々の状況に合わせ、関係機関と連携して支援をしています。また、依存症の本人等に対する支援においては、個別支援での連携だけではなく、教育・青少年、生活困窮、保健・医療、消費経済など、様々な関係部署と連携し、啓発や相談体制の充実を図りながら依存症対策に向けた全庁的な取組を展開しています。 図表2-43:本市における依存症対策の取組体制 (図表ここから) 依存症対策に向けた全庁的な取組 こころの健康相談センター ・依存症専門相談拠点 ・市内関連機関とのネットワークづくり ・調査研究 区役所 精神保健福祉相談 ・相談支援 ・地域との連携 依存症にかんれんする施策を実施する部署 身近な支援者(行政) (図表ここまで) ア:こころの健康相談センターによる取組  本市こころの健康相談センター(精神保健福祉センター)は、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、調査研究、並びに複雑困難な相談指導事業を行うとともに、各区福祉保健センターをはじめ、他の精神保健福祉関係機関に対し、技術援助を行う機関であり、本市における精神保健及び精神障害者の福祉に関する総合的技術センターとして、地域精神保健福祉活動の拠点となる機関です。  こころの健康相談センターでは、地域の関係機関と連携しながら、依存症に悩む本人や家族等が必要な支援につながる包括的な支援に向けて、依存症相談窓口として個別相談を実施するとともに、回復プログラムや家族教室、依存症に関する普及啓発や研修等の事業を展開しています。  令和2年3月には、実施要綱に基づく依存症相談拠点に指定されました。 図表2-44:こころの健康相談センターの依存症対策事業の実施内容 (表ここから) 事業の種類 事業内容 依存症相談窓口 ●専門の相談員が依存症の本人や家族、身近な人からの相談に対応。 回復プログラム ●依存症からの回復を目指す人を対象に、回復プログラムを提供。依存症のメカニズムや再発のサイン・対処法について依存症の本人と考えるとともに、回復へのきっかけづくりの支援や地域の民間支援団体等の相談先を紹介 家族教室 ●家族が依存症について学び、家族の対応方法・回復について考える機会を提供。●市内の医療機関、回復支援施設などの民間支援団体等の情報を提供。 普及啓発 ●依存症に関する正しい知識を広め、偏見・差別を解消するために啓発活動を実施。●啓発週間に合わせ、広報よこはまでの周知、市民向けセミナーの開催、リーフレットの作成・配布などを実施。 支援者研修 ●依存症の本人や家族の相談・支援にあたる地域の支援者を対象に研修を実施。 連携会議 ●行政、医療、福祉・保健、司法などの関係機関と連携会議を開催し、依存症対策に関する情報や課題の共有を実施。 民間団体支援 ●市内で依存症に関する問題に取り組む民間支援団体等に、相談活動や講演会などの事業にかかる費用の一部を補助。 その他 ●社会資源に関する実態調査や国の行う研究事業等への協力。 (表ここまで) (コラムここから) コラム・依存症相談拠点について  実施要綱においては、全国の都道府県及び指定都市にアルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症に関する相談の拠点を設置し、専門の相談窓口の開設及び関係機関との連携などを進めることが求められています。  本市においては、これまで依存症対策において中心的な役割を担ってきたこころの健康相談センターを、令和2年3月に依存症相談拠点とし、地域の関係機関との連携のさらなる強化を図り、また、図表2-44に記載した事業を通じ、依存症に関する包括的な支援の提供を進めています。 (コラムここまで) イ:区役所 精神保健福祉相談による取組 各区役所の高齢・障害支援課の精神保健福祉相談では、精神面の不調や疾患は全年齢層で起こり得ることから、学齢期、思春期から高齢者まで幅広い対象者へ支援を行っています。また、支援対象は、依存症の本人や家族等といった個別支援だけではなく、当事者や家族などへの集団援助、地域のネットワークの構築といった地域支援等があります。個別支援については、即応が求められる危機介入、地域生活を支えるサービス利用に関する支援、就労を目指す人への支援等の様々な業務を行っています。 また、依存症対策の取組例としては、家族支援のための取組(アディクション家族教室など)、酒害相談員を対象とした研修への参加、一般の市民を対象とした講演会・講座などそれぞれの区の状況に応じた取組を実施しています。 さらに、依存症に起因すると考えられる福祉課題への取組を進めている区内の関係課とも、連携して複合的な問題に対応しています。 図表2-45:区役所 精神保健福祉相談による取組(実績は令和2年3月時点) (表ここから) 取組の種類 取組例 アディクション 家族教室 ●家族同士の近況報告と、講師活用による学習会と区からの情報提供を行う。計13区で実施(複数区での合同開催含む) 酒害相談員研修会への参加 ●各地区で開催されている酒害相談員研修会に区職員が参加(13区で実施) 講演会・講座の開催 ●飲酒と心身の健康に関する講座の開催 回復支援施設との連携 ●区内にある回復支援施設が開催する研修会・講座や運営委員会に参加 (表ここまで) ウ:区役所のその他の部署による取組  区役所では関係各課(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課等)において、日々の業務の中で依存症に起因すると考えられる福祉課題への対応を行っています。  例えば、複数区の生活支援課へのヒアリングやこども家庭支援課アンケートによれば、生活保護受給者や子どもへの虐待が疑われる事例において、支援対象者や保護者が依存症の問題を抱えていると疑われる場合が少なくないという結果が出ています。  そうした依存症に起因すると考えられる福祉課題を含む複合的な問題について、区内の複数部署が連携して対応しています。 エ:依存症関連施策を実施する部署での取組 依存症関連施策を実施する部署では、主に以下のような取組を実施しています。 図表2-46:依存症関連施策を実施する部署における依存症関連の取組 (表ここから) 部署 対象 実施内容 健康福祉局 生活支援課 アルコール、薬物、ギャンブル等 ●生活保護受給者や生活困窮者に対する相談支援、リーフレットの配布等 健康福祉局 医療安全課 薬物 ●薬物乱用防止キャンペーンin横濱 市民(特に若者)に対する薬物乱用防止啓発を目的として、薬物に関する正しい知識と危険性を発信する啓発イベント等を実施 ●薬物乱用防止指導者研修会 青少年に対する薬物乱用防止啓発の推進を目的として、薬物乱用防止啓発を担当する教諭向けの研修会を実施 健康福祉局 保健事業課 アルコール ●生活習慣改善相談 ●重症化予防事業(個別支援、集団支援) ●区民まつりや健康づくり関連イベントなどでの普及啓発 健康福祉局 保険年金課 薬物 ●国民健康保険加入の被保険者で重複頻回受診者に対して、文書通知等にて適正受診の指導 こども青少年局 青少年育成課 薬物、ゲーム ●(公財)よこはまユースにより、子ども・若者を取り巻く課題(薬物、インターネット等)解決に向けた取組を促すため、地域で開催される講座に講師を派遣する「子ども・若者どこでも講座」を実施 教育委員会事務局 健康教育課 アルコール、薬物 ●薬物乱用防止教室 ●薬物乱用防止キャンペーンin横濱(健康福祉局医療安全課主催) ●薬物乱用防止指導者研修会(健康福祉局医療安全課と共催) ●学習指導要領に基づき保健学習において、小学6年、中学3年、高校1年もしくは2年で薬物、飲酒、喫煙の影響等について学習 (表ここまで) 図表2-47:依存症関連施策を実施する部署における依存症関連の取組(つづき) 部署 対象 実施内容 政策局 男女共同参画推進課 アルコール、薬物、ギャンブル等 ●男女共同参画センターによる心とからだと生き方の総合相談の実施 * 男女共同参画センターによる自助グループ支援 経済局消費経済課 ギャンブル等 ●ホームページに消費者庁作成のギャンブル等依存症に関する情報を掲載 ●ギャンブル等依存症対策に関する啓発ポスターの掲示 総務局 職員健康課 アルコール ●市職員のアルコール依存症に関する相談対応 ●責任職向けテキストによる周知 3 計画課題の整理 (1)課題導出の流れ 本計画では、関係者が取り組むべき施策の方向性を検討するため、以下のア〜ウを実施し、一次支援から三次支援における課題を抽出・整理しました。 なお、ここでいう一次支援・二次支援・三次支援の定義は以下の通りです。 (囲みここから) ●一次支援:依存症の予防に向けた普及啓発や偏見解消に向けた理解促進の取組をいう。 ●二次支援:依存症の早期発見・早期支援に向けた取組、依存症の支援につながっていない人、他の支援を受けている人で依存問題を抱えている人への支援に向けた取組などをいう。 ●三次支援:依存症の本人やその家族等の回復を支えていくための取組をいう。また、民間支援団体等や医療機関の活動支援なども含む。 (囲みここまで) (イメージ図ここから)ピラミッド図 頂点:三次支援(回復支援)/対象:依存症からの回復段階にある人 中段:二次支援(早期発見・早期支援)/対象:依存症の本人・家族等、依存症の疑いがありつつも支援につながっていない人 底辺:一次支援(予防・普及啓発)/対象:市民全体+依存症リスクの高い人 (イメージ図ここまで) ※一般的に予防医学等で、一次「予防」、二次「予防」、三次「予防」という用語が用いられます。今回用いている一次「支援」、二次「支援」、三次「支援」もほぼ同じ意味で使用していますが、回復のために努力を続けている本人や家族等へ、より肯定的な表現となるよう、「支援」という用語を使用しています。 ア:依存症に関連する課題や社会資源状況の把握に向けた各種実態調査の実施  本市における専門的な支援者や身近な支援者の取組の現状や課題を把握することを目的として、以下の調査を実施しました。 (囲みここから) (ア)関係者へのヒアリング等 ●市内回復支援施設ヒアリング ●市内18区のこども家庭支援課虐待対応チームを対象とするアンケート(こども家庭支援課アンケート) ●身近な支援者(地域ケアプラザ、精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター等)を対象とするアンケート(身近な支援者アンケート) ●横浜市立大学附属市民総合医療センター、区役所の生活保護受給者を担当するケースワーカーを対象とするヒアリング (イ)各種実態調査等 ●本市及びその周辺地域を対象として、依存症対策に関係する社会資源の所在・活動内容等について調査した「平成28年度 横浜市における依存症対策の現状調査」(平成28年度調査) ●全国の民間支援団体等を対象として、活動内容や課題について調査した「依存症社会資源調査」(令和元年度) ●市内の回復支援施設の利用経験者及びスタッフ等、計43名に対しインタビュー調査を実施した「令和2年度 依存症回復支援施設利用者の実態調査」(回復支援施設利用者調査)(横浜市立大学へ委託) ●市内在住の15歳以上の登録メンバーを対象に、依存症に対するイメージや知識について尋ねた「ヨコハマeアンケート」(令和2年度) (囲みここまで)  また、上記に加え、都市整備局が令和元年度に実施した「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」の結果についても再分析を行い、課題導出のために活用しました。 イ:有識者や民間支援団体等の関係者による検討部会・連携会議の開催  依存症領域における学識経験者や、依存症の本人への支援等を行っている団体・家族会の関係者などから構成される検討部会及び連携会議(回復支援施設や自助グループ等の民間支援団体等、行政、医療・福祉、司法等の関係機関等の幅広い関係者で構成される会議)における意見・指摘事項などから、課題の収集を行いました。 ウ:国や県による調査や政策資料に関する情報収集の実施  国や神奈川県における依存症に関する調査研究や政策資料、他自治体の関連計画などを対象として、本計画で解決に取り組むべき課題に関する情報収集を実施しました。 図表2-48:課題抽出・整理プロセス (図ここから) 各種実態調査/検討部会・連携会議/国や県によるちょうさや制作資料に関する情報収集 → 本計画における課題の抽出・整理 (図ここまで) (2)本市の依存症対策における課題の設定 (1)に記載したプロセスを通じ、一次支援から三次支援における計画課題を整理し、12の「課題」を設定しました。12の課題については、以下の通りです。 図表2-49:本市の依存症対策における課題 (表ここから) フェーズ 課題 一次支援 1.ライフステージに合わせた切れ目ない依存症に関する情報提供・啓発 2.特に依存症のリスクが高まる時期に重点化した普及啓発 3.依存症に関する基本知識の普及啓発 二次支援 4.依存症の本人や家族等が早期に適切な支援につながるための普及啓発 5.依存症の複合的な背景を踏まえた重層的な早期支援体制の構築 6.身近な支援者等から専門的な支援者へ円滑につなぐ取組 7.専門的な支援者や家族等への支援 三次支援 8.支援団体ごとの特色を生かし、多様なニーズに対応するための情報共有 9.支援者によるアセスメント力向上 10.専門的な支援者等が継続的に活動するための支援 11.様々な支援ニーズに取り組む民間支援団体等の運営面等の課題への対応 12.回復段階において新たに顕在化する課題への対応 (表ここまで) (3)課題の具体的内容 ア:一次支援における課題 @ライフステージに合わせた切れ目ない依存症に関する情報提供・啓発 (囲みここから) 課題の具体的内容】 ●早い時期(学齢期)からの普及啓発 ●幅広い年齢層(成人、高齢者含む)への普及啓発 ●幅広い支援者と連携した啓発の取組 ●ゲーム障害を含む、依存対象と出会う時期に応じた正しい知識の普及啓発 (囲みここまで) 【早い時期(学齢期)からの普及啓発】 【幅広い年齢層(成人、高齢者含む)への普及啓発】  飲酒による身体的な悪影響が大きい未成年者への飲酒防止教育を始め、学齢期からアルコール・薬物・ギャンブル等の総合的な依存症に関する普及啓発を行い、心身に及ぼす影響を正しく認識する必要があります。  また、eアンケートでは、「依存症になるのは自業自得だと思う」という質問に対し、「そう思う」、「ややそう思う」と回答した人が38.8%であり、依存症についての誤解や偏見が一定程度あると考えられ、社会全体に正しい理解を浸透させることで、必要な人が適切な支援につながりやすくするためにも、学齢期から普及啓発していくことが必要です。  アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症は、決して特定の世代だけが直面する特殊な問題ではありません。子どもから高齢者まで、誰もが直面する可能性のある問題です。  予防を進めていくためには、幼年期・児童期・青年期・壮年期・老年期といったライフステージにある様々な世代に対し、適切な情報提供や普及啓発を切れ目なく行うことが必要と考えられます。 図表2-50:依存症に対する認識(再掲) (表ここから) 認識 割合 依存症になるのは自業自得だと思う そう思わない10.2% あまりそう思わない12.9% どちらともいえない35.0% ややそう思う27.2% そう思う11.6% わからない2.1% 無回答0.9% 治療しても依存症が回復することはない そう思わない19.0% あまりそう思わない25.7% どちらともいえない26.8% ややそう思う17.7% そう思う6.5% わからない3.2% 無回答1.0% (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) 【幅広い支援者と連携した啓発の取組】  ライフステージの移行に伴い、周りの環境も変化することがあります。  そのため、ライフステージの移行に応じた切れ目ない依存症啓発を進めていく上では、小中学校、高等学校、大学などの教育機関、地域の大人や団体、職場、介護や障害福祉の相談支援機関、かかりつけ医をはじめとする一般医療機関といった、様々な団体・機関と連携した取組が求められます。 【ゲーム障害を含む、依存対象と出会う時期に応じた正しい知識の普及啓発】  アルコールや薬物、ギャンブル等の依存症については、それぞれ依存対象と出会う時期に違いが見られます。例えば、アルコールやギャンブル等については就職や大学入学などを迎える18歳〜20歳前後に出会い、未成年飲酒等につながる可能性が高く、大学や職場と連携した普及啓発を行うことが考えられます。  また、近年関心の高まっているゲーム障害では、就学前や学齢期などの早い段階で依存対象に出会うため、小中学生などを対象とした啓発が求められます。  依存症の予防に向けては、こうした依存対象ごとのリスクが高まる時期の違いなどを踏まえ、情報提供の媒体あるいは提供する情報の内容を変化させていくなど、効果的な啓発活動が求められます。 A特に依存症のリスクが高まる時期に重点化した普及啓発 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●ライフイベントの発生に合わせた正しい知識の普及啓発 (囲みここまで) 【ライフイベントの発生に合わせた正しい知識の普及啓発】  アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症となる原因には様々なものがあります。依存症からの回復段階にある人を対象として実施したヒアリング調査(以下、「回復支援施設利用者調査」という。)によれば、依存症になったきっかけとして、保護者の早逝、離婚などのライフイベントや精神疾患の発症(うつ病等)などが挙げられていました。  また、eアンケートによれば、「依存症は誰でもかかる病気である」という項目について、81.6%が「そうだと思う」と回答している一方、「あなたは今後、ご自身に「アルコール」の問題(依存症)が起こるかもしれないと心配になることはありますか」という設問項目について「非常に心配だ」と「やや心配だ」とする回答者は9.1%となっており、同様の設問項目について、薬物は2.9%、ギャンブル等は3.4%となっています。  依存症の予防においては、上記の調査結果で示されているようなライフイベントに起因するなど、誰もが依存症になる可能性がある点を踏まえ、当該ライフイベントの手続きや相談に関わる機関・団体と連携しつつ、依存症を自分自身の問題として捉えるための正しい知識の普及啓発を進めていくことが求められます。 図表2-51:依存症との関係が推察されるライフイベント(例) (表ここから) * 保護者の早逝 * 離婚 * 精神疾患の発症(うつ病等) (表ここまで) 出典:横浜市「回復支援施設利用者調査」(令和2年度) 図表2-52:依存症に対して回答者自身がそうだと思う項目について (表ここから) 項目 割合 依存症は誰でもかかる可能性がある病気である 81.6% お酒を長年にわたって多量に飲む生活を続けると眠りの質は悪化する 47.8% 医師から処方される薬や市販薬でも依存症になる可能性がある 53.7% ギャンブル等の問題を抱える人の多くがうつ状態になっている 28.8% 依存症の結果生じたトラブル(借金・仕事の欠勤など)は家族が対処すべきである 15.3% 医療機関や家族会などでは本人が居なくても依存症のことを相談することができる 58.2% ※n=1.264 (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) 図表2-53:自身の依存症の問題に対する心配の有無 (表ここから) 依存症区別 心配の有無(%) アルコール 非常に心配だ(1.3%) アルコール やや心配だ(7.8%) アルコール どちらともいえない(7.7%) アルコール あまり心配でない(22.4%) アルコール 全く心配していない(59.7%) アルコール すでに起きている(0.2%) アルコール 回答したくない(0.5%) アルコール 無回答(0.4%) 薬物 非常に心配だ(1.0%) 薬物 やや心配だ(1.9%) 薬物 どちらともいえない(4.2%) 薬物 あまり心配でない(21.4%) 薬物 全く心配していない(70.4%) 薬物 すでに起きている(0.2%) 薬物 回答したくない(0.5%) 薬物 無回答(0.4%) ギャンブル等 非常に心配だ(1.3%) ギャンブル等 やや心配だ(2.1%) ギャンブル等 どちらともいえない(4.7%) ギャンブル等 あまり心配でない(22.5%) ギャンブル等 全く心配していない(68.5%) ギャンブル等 回答したくない(0.5%) ギャンブル等 無回答(0.4%) ※n=1,264 (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) (コラムここから) コラム・新型コロナウイルス感染症の依存症への影響  世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)は、我が国においても多くの人々の生活に大きな影響を及ぼしました。新型コロナがもたらした影響の中には、外出自粛に伴う景気の悪化、企業等の業績不振に伴う失業の増大、他者と触れ合う機会の減少など様々なものが挙げられます。  現在、新型コロナと依存症との関連性に関するエビデンス等は示されていませんが、計画素案の作成プロセスにおいては、これまで活発に社会生活を営んでいた人たちが、依存症になる事例が増えてくるのではないかとの意見が医療関係者から聞かれました。  具体的には、様々なリスク要因を持つ人が、失職などにより生活が激変し、様々な苦境にさらされる中で、飲酒量が増えるなどして、数年かけて依存問題が出てくるのではないかとの指摘です。  上記の意見を踏まえれば、新型コロナの感染拡大による依存症への影響は、時間をかけて顕在化してくることが予想されます。 (コラムここまで) B依存症に関する基本知識の普及啓発 【課題の具体的内容】 ●依存症の発症リスクが高い生活習慣等についての啓発 ●依存症に対する誤解・偏見の解消に向けた普及啓発 ●一般市民に対する専門的な医療機関や民間支援団体等の活動内容の周知 【依存症の発症リスクが高い生活習慣等についての啓発】 回復支援施設利用者調査によれば、家族や身近な人に依存症の問題があった場合など、特に依存症の発症リスクが高まる環境について、一定の傾向が見られました。 また、一般に男性と比較して女性は、習慣的な飲酒からアルコール依存症に至るまでの期間が短く、男性の場合約20〜30年かかるのに対し、女性の場合はその半分程度の期間であるとされています(脚注20)。本市では、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている女性の割合が全国と比較しても高い状況にあります。  依存症の予防を効果的に行っていくためには、こうした発症リスクが相対的に高い人に届くよう、重点的な情報提供や普及啓発などを行うことが必要と考えられます。 脚注20:厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」 図表2-54:依存症との関係が推察される環境(例) (表ここから) * 家庭環境(家族にアルコールの問題のある人や、ギャンブル等をしていた人がいた等) * 生育歴(虐待や育児放棄を受けた経験、保護者への不信感や恨み、コンプレックス等) * 保護者や配偶者との共依存関係 (表ここまで) 出典:横浜市「回復支援施設利用者調査」(令和2年度) 【依存症に対する誤解・偏見の解消に向けた普及啓発】 【一般市民に対する専門的な医療機関や民間支援団体等の活動内容の周知】  eアンケートでは、アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症については、95%以上の認知度はあるものの、その特徴について十分に理解されていない点も見受けられました。依存症に対する理解が進んでいないことで、社会全体から依存症への偏見や差別意識に基づく否定的な考え方・接し方、いわゆる「スティグマ」が生じ、依存症からの回復の大きな障害となります。周囲からのスティグマにさらされ続けることは、自己肯定感や自尊感情を損ねる恐れがあり、依存症からの回復を阻害するリスクがあると考えられます。また、依存症の本人が依存症に対する誤解や偏見を持っている(セルフスティグマ)と、必要な相談・支援につながることや回復への障害にもなる可能性も推察されるため、依存症に対する正しい知識の普及啓発を進めて、誤解や偏見の解消を図ることが必要です。  また、eアンケートによれば、「もし身近に依存症の人や依存症ではないかと思う人がいたり、あなた自身に『アルコール』・『薬物』・『ギャンブル等』の問題が起こった場合、誰か(どこか)に相談しようと思いますか」という質問に「相談しようと思う」と回答した人のうち、「どの機関に相談しようと思いますか」という質問への回答として、「依存症の支援を行っている民間の施設」は14.3%、「自助グループ」は10.5%と低くなっています。また、民間支援団体等に対するヒアリングでは、主催する市民向け講座において参加者の確保に苦慮しているとの意見が見られました。  この調査結果から、市民における依存症に対する理解や民間支援団体等の活動内容に対する理解が十分に進んでいないものと考えられます。  他方、同じくeアンケートでは、依存症について「自助グループの集まり」や「当事者の体験談」、「家族会」、「専門家」から情報を得たり参加したことがあると回答した人は、「テレビ番組」、「本・新聞・インターネット」、「広報物」から情報を得ていると回答した人に比べ、「依存症になるのは自業自得だと思わない」「あまり思わない」とする回答の割合が高くなっています(図表2-55の破線部参照)。  これらの調査結果を踏まえれば、スティグマを防ぎ、依存症の本人等が必要な支援につながることを促進するため、依存症の支援者や当事者による講演などを通じた、市民全体を対象とした依存症そのものの理解や民間支援団体等の活動内容の理解に向けた啓発活動が必要だと考えられます。   さらに、eアンケートの結果からは、依存症について悩んだ時の相談先として「医療機関(かかりつけの医師・内科)」と回答した人が52.5%となったほか、「地域ケアプラザ」は7.0%、「精神障害者生活支援センター」は6.2%となっており、身近な支援者への依存症に関する普及啓発も必要であると考えられます。また、精神保健福祉相談を有する「区役所」を相談先として選択した回答は14.8%にとどまっており、相談先としての区役所の役割を積極的に啓発していくことも必要であると考えられます。 図表2-55:依存症に関する情報源と自身の「依存症になるのは自業自得だと思う」という考え方との関係(クロス集計結果) (表ここから) Q2 アルコール・薬物・ギャンブル等の依存症について、あなたが情報を得たり、参加したことがあるものを選択してください。(複数回答可) Q14 「依存症になるのは自業自得だと思う」という考えについて、あなたはどう思いますか。(単一選択) 情報収集・参加グループ等 依存症に対する考え 自助グループ(依存症の当事者による自主運営グループ)の集まり)n=90 依存症になるのは自業自得だと思わない(23.3%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(13.3%) どちらともいえない(33.3%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(22.2%) 依存症になるのは自業自得だと思う(6.7%) わからない(1.1%) 無回答(0.0%) 当事者の体験談を聞く講演会(n=74) 依存症になるのは自業自得だと思わない(20.3%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(17.6%) どちらともいえない(28.4%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(25.7%) 依存症になるのは自業自得だと思う(8.1%) わからない(0.0%) 無回答(0.0%) 家族会(n=58) 依存症になるのは自業自得だと思わない(27.6%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(12.1%) どちらともいえない(32.8%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(22.4%) 依存症になるのは自業自得だと思う(5.2%) わからない(0.0%) 無回答(0.0%) 専門家の講義や講演会(n=121) 依存症になるのは自業自得だと思わない(23.1%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(14.0%) どちらともいえない(31.4%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(19.8%) 依存症になるのは自業自得だと思う(9.1%) わからない(2.5%) 無回答(0.0%) 依存症について特集したテレビ番組(n=720) 依存症になるのは自業自得だと思わない(10.8%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(13.1%) どちらともいえない(36.4%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(26.4%) 依存症になるのは自業自得だと思う(11.0%) わからない(1.7%) 無回答(0.7%) 本・新聞・インターネットなどの記事(n=845) 依存症になるのは自業自得だと思わない(9.3%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(13.5%) どちらともいえない(35.3%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(27.2%) 依存症になるのは自業自得だと思う(12.5%) わからない(1.4%) 無回答(0.7%) 広報よこはまやリーフレット等の横浜市が発行する広報物(n=211) 依存症になるのは自業自得だと思わない(11.8%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(10.9%) どちらともいえない(35.1%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(27.5%) 依存症になるのは自業自得だと思う(11.4%) わからない(2.4%) 無回答(0.9%) その他(n=59) 依存症になるのは自業自得だと思わない(16.9%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(8.5%) どちらともいえない(23.7%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(35.6%) 依存症になるのは自業自得だと思う(13.6%) わからない(1.7%) 無回答(0.0%) 無回答(n=117) 依存症になるのは自業自得だと思わない(6.8%) 依存症になるのは自業自得だとあまり思わない(13.7%) どちらともいえない(36.8%) 依存症になるのは自業自得だとやや思う(25.6%) 依存症になるのは自業自得だと思う(11.1%) わからない(3.4%) 無回答(2.6%) (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) 図表2-56:依存症に悩んだとき、相談しようと思う機関 (表ここから) 機関 割合 医療機関(精神科・心療内科) 60.0% 医療機関(かかりつけの医師・内科) 52.5% こころの健康相談センター(精神保健福祉センター) 40.7% 区役所 14.8% 依存症の支援を行っている民間の施設 14.3% 自助グループ 10.5% 地域ケアプラザ 7.0% 精神障害者生活支援センター 6.2% 警察署 5.3% 基幹相談支援センター 2.1% 民生委員 2.1% 弁護士・司法書士 1.1% 学校 0.3% わからない 6.3% (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) (コラムここから) コラム・依存症に関する普及啓発について  これまで依存症の普及啓発においては、様々な媒体や表現が用いられてきました。中でも、特に多くの人々の目に触れたものとして、薬物問題に関して過去に一般社団法人日本民間放送連盟が放映していた「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」という標語を用いたテレビコマーシャルがありました。こうした強い表現を用いた普及啓発活動は、依存症の本人の人格を否定するものであり、社会全体における依存症者に対する「スティグマ」や依存症の本人による「セルフスティグマ」を強化し、結果的に依存症の本人が回復につながることを難しくしてしまう可能性があります。  また、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターによる「ダメ。ゼッタイ。」といった標語を用いた各種の普及啓発活動については、一般市民を対象にわかりやすく薬物の危険性を伝え、予防の促進を図る上では非常に大きな効果があるものと考えられます。一方で、回復支援の観点からは情報の不足により誤解を招く恐れがあります。  こうした点を踏まえ、依存症の回復支援に向けた普及啓発では、依存症に関する正しい理解を促進し、また、回復につなげていくようなメッセージを発信していくことが重要になると考えられます。 (コラムここまで) イ:二次支援における課題 C依存症の本人や家族等が早期に適切な支援につながるための普及啓発 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●相談に至るための相談支援機関や支援策等の情報提供・周知 ●家族等が相談をする場の必要性 ●職場での普及啓発 ●回復イメージが具体的に認識できる情報提供、回復プロセスの周知・啓発 ●情報の受け手が必要な情報を得やすい情報提供の検討 (囲みここまで) 【相談に至るための相談支援機関や支援策等の情報提供・周知】  回復支援施設利用者調査では、回復支援施設の存在自体を知らなかったといった意見や、専門的な医療機関等について、より広く伝わってほしいといった意見が散見されます。  また、eアンケートによれば、身近な人に依存症の問題が起きたときに、「相談しようと思わない」、「相談できない」と回答した人のうち、「相談先を知らないから」と回答した人が27.0%となりました。  身近な支援者や専門的な医療機関、専門的な支援者等への相談が、回復に向けた第一歩であると考えられ、依存症の本人や家族等に対し、相談窓口や支援に関する情報提供・周知を進めていくことが必要と考えられます。 図表2-57:依存症や回復支援施設に関する周知の必要性(例) (表ここから) ●回復支援施設の存在自体を知らなかった。最後に困ってどこかにつながろうと思ったとき、施設の情報を知っていることは大事だと思う。 ●自分はインターネットで調べて近くに専門的な医療機関があることを知ったが、もう少し医療機関等の情報が広く伝わるような形になればよいと思う。 ●ギャンブル等で苦しんでいるとき、回復支援施設があるということがもっと広く知ってもらえればよいと感じていた。回復を支援する場所があるということを知っているだけでも、本人にとっては大きな違いだと思う。 (表ここまで) 出典:横浜市「回復支援施設利用者調査」(令和2年度) 図表2-58:自身や身近な人に依存症が疑われる場合、あるいは依存症の問題が起こった場合に誰かに「相談しようと思わない」、「相談できない」とする理由 (表ここから) 理由 割合 相談を必要と感じないから・(家族や周囲の人の場合)本人が問題と思っていないから 40.4% 相談先を知らないから 27.0% 周囲の人に知られたくないから 22.2% どのような対応をしてもらえるか不安・回復するというイメージが持てないから 19.6% (家族や周囲の人の場合)本人が拒否するから 14.8% 依存症だと認めたくないから 13.9% 相談に行く時間がない・時間が間に合わないから 4.3% 相談すると逮捕されてしまうと思い心配だから 2.2% その他 10.0% (表ここまで) 出典:ヨコハマeアンケート「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」(令和2年度) 【家族等が相談をする場の必要性】  依存症は、本人にその自覚がないものの家族等がその可能性に気付く事例も見られます。また、借金により家族等が大きな影響を受けることや、時にはDVや虐待の被害者になる事例も少なくありません。  さらに、保護者等が依存症であることで、子どもが、いわゆる「ヤングケアラー」として、家事や家族等の世話を行うことにより、年齢や成長に見合わない責任や負担を負い、成長や教育に影響を及ぼすこともあります。  このように依存症は、本人だけでなく家族等にも深刻な影響を及ぼす問題です。しかしながら、検討部会での議論では、本人に依存症の自覚がない状況で、家族等が医療機関などに相談した場合、相談先によっては「本人の自覚や治療に対するモチベーションがないと対処が難しい」との理由で対応を断られることもあるとの指摘が聞かれました。  依存症による家族等への影響を踏まえ、本人のみならず、家族等が相談やSOSを発信できる場の周知や整備、家族等のサポートを行うための支援についても検討を進めていくことが求められます。 図表2-59:検討部会における家族等が相談をする際の課題(抜粋) (表ここから) ●病院に電話をしても「ご本人に治療する気がないなら対応できない」といった反応をされてしまい、家族が遠慮してしまう傾向がある。本人が依存症であることを否認している事例が多いため、病院につながる初めの部分について周知・啓発する取組もあるとよい。 (表ここまで) 【職場での普及啓発】  企業等で働いている人々の中にも、依存症の本人や依存症になるリスクが高い人が、一定数存在しているものと考えられます。  企業等で働いている人々は職場で過ごす時間が長く、周囲の上司や同僚等が、日々の業務での発言や行動から、依存症の問題に気付く事例もあると推察されます。  そこで、本人や家族等に加え、職場における依存症問題に関する普及啓発についても検討を進めていく必要があります。 【回復イメージが具体的に認識できる情報提供、回復プロセスの周知・啓発】  専門的な医療機関や回復支援施設、自助グループ等の活動内容に関する理解が進んでいないこともあり、依存症の本人や家族等にとって、こうした団体・機関に支援を求めた後、どのように回復していくのか、そのプロセスについてのイメージが湧きづらいものと考えられます。  その結果、支援に向けた第一歩を踏み出すことに躊躇してしまったり、せっかく支援団体等につながったにもかかわらず、自身が想定していた回復のイメージとの違いから、医療機関や民間支援団体等の利用を中断してしまったりといった問題が生じることが懸念されます。  こうした問題に対し、実際の回復事例や民間支援団体等を利用する当事者の経験談などの情報提供等を進め、依存症からの回復プロセスを具体的に認識できるような啓発活動を行うことが求められます。依存症は回復可能であること、また、どのような回復プロセスをたどるのか、といったことを当事者や家族等が理解できれば、相談や医療機関・民間支援団体等の継続利用に向けた心理的なハードルが下がるものと期待されます。 【情報の受け手が必要な情報を得やすい情報提供の検討】  国、県、本市など、それぞれの主体において、依存症に関する様々な情報提供が行われています。また、情報提供の媒体・手法も、ホームページへの掲載、公共施設等での啓発資料の配布、公共交通機関における啓発広告の放映、行政職員や医療関係者、民間支援団体等のスタッフによる講演会・セミナーなど多岐にわたります。  こうした既存の情報提供については、本人や家族等が必要な支援につながるために一定の役割を果たしているものと考えられます。しかし、多くは一方向的な情報提供であり、情報の受け手が能動的に取捨選択しないと、必要な情報を入手できないとの指摘が検討部会でなされました。  多くの人に届きやすく、また、情報の受け手が必要な情報を得やすいインターネットを活用した情報提供についても検討していくことが求められます。 図表2-60:検討部会における現在の情報提供方法に関する指摘(抜粋) (表ここから) ●一方向的に情報を提供するWebサイトはあるが、SNS等を活用して気軽に市民が相談できる、双方向的なオンライン相談窓口がまだ普及していないのではないか。 (表ここまで) D依存症の複合的な背景を踏まえた重層的な早期支援体制の構築 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●行政、専門的な医療機関、身近な支援者、民間支援団体等による、長期にわたる継続的な支援体制の構築 ●生活困窮や虐待等の依存症関連問題への対応 ●未成年あるいは高齢、身体や認知機能の障害等のため民間支援団体等での支援が困難な事例への対応 ●依存症自体の支援より他の生活に関する支援を必要とする人への対応 (囲みここまで) 【行政、専門的な医療機関、身近な支援者、民間支援団体等による、長期にわたる継続的な支援体制の構築】 【生活困窮や虐待等の依存症関連問題への対応】  こども家庭支援課アンケートによれば、回答した13区のうち約8割の区が、保護者がギャンブル等の問題を抱えている事例に対応した経験があり、また、約9割の区が薬物の問題を抱えている事例に対応した経験がありました。  また、「厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト」によれば、アルコール依存症はうつ病と合併する頻度が高く、併せて、アルコールと自殺との間にも関連性があるとの研究結果が示されています。  このように依存症の本人は、依存症に至る背景に様々な問題を抱えている事例や、依存症に起因して社会生活や家庭生活に様々な問題が生じている事例が散見されます。連携会議においても、依存症の本人は多重債務、DV、自殺などの差し迫った危機に直面している場合も多く、そうした危機回避をしっかりと行わなければ、その後の回復プロセスがうまく進まないという問題点が指摘されています。  そのため、生活困窮や虐待など他の生活課題による相談事例でも、背景に依存症の問題を抱えている可能性があることに気付く必要性や、反対に依存症の回復支援に対応する際も、背景にある課題についても包括的にサポートしていく必要があります。  こうした支援ニーズに対応していくため、行政や専門的な医療機関、民間支援団体等のみならず、身近な支援者など、多様な機関・団体が連携し、長期的・包括的なサポートを行う体制を構築していくことが求められます。 図表2-61:市内18区のこども家庭支援課が対応した事例のうち、 子どもあるいは家族等にギャンブル等あるいは薬物の問題が見られた事例(直近2年間)(複数回答・n=13) (表ここから) 回答項目 回答数 回答割合 ギャンブルの事例があった 11 84.6% 薬物の事例があった 12 92.3% (いずれの事例も)なかった 1 7.7% (表ここまで) 出典:市内18区のこども家庭支援課虐待対応チームを対象とするアンケートより 図表2-62:連携会議における回復初期段階の「危機回避」の重要性 (表ここから) ●早期発見・早期回復というが、依存症の本人は自殺やDV、多重債務問題など差し迫った危機に直面している。こうした危機・危険を回避しなければ、二次支援・三次支援における回復支援がうまく進まない。 (表ここまで) 【未成年あるいは高齢、身体や認知機能の障害等のため民間支援団体等での支援が困難な事例への対応】  依存症の本人が抱えている問題や置かれている状況には様々なものがありますが、本人が未成年のために教育機関や児童福祉施設と連携した支援が必要な事例や、高齢、身体や認知機能の障害等のために介護を必要とする事例も見られます。  しかし、このような課題を抱える依存症の本人への支援は、児童福祉や介護などの専門知識が必要となり、連携体制が構築されていない場合には対応が困難になることもあります。  こうした点を踏まえ、未成年あるいは高齢、身体や認知機能の障害等により民間支援団体等の支援が困難となっている事例に対応するための取組が求められます。また、介護事業者において、比較的軽度の依存症の本人への支援が可能となる情報提供や研修の機会が求められます。 図表2-63:回復支援施設ヒアリングにおける支援困難事例に関する意見(例) (表ここから) ●スリーミーティングが基本だが、困難な利用者がいる。生活の基本的支援(金銭・服薬管理、受診・買い物同行)のほか、緊急対応、通院同行などの支援も必要になっている。 ●更生施設入所者は障害福祉サービスが使えないため、利用先が限定されてしまう。 ●高齢化や介護的支援のニーズを伴う利用者も増えてきた中で、社会資源利用の制限や看取りのニーズといった課題も抱えている。 (表ここまで) 出典:市内回復支援施設ヒアリングより 【依存症自体の支援より他の生活に関する支援を必要とする人への対応】  依存症の本人の中には、専門的な医療機関や民間支援団体等における依存症の回復支援に加え、日常生活上の支援が必要な人や金銭管理等に焦点を当てた部分的な支援を行うことで問題が解決に向かう人など、他の生活に関する支援が必要な事例もあると推察されます。  このような事例における、適切な支援機関・団体の見極めや支援機関・団体へのつなぎ、回復プロセスにおける連携のあり方などについて、検討を進めていく必要があると考えられます。 図表2-64:施設のよさ、回復に有益だったこと、回復の支え(例) (表ここから) ●生活面・経済面での支援を受けることで回復に集中できた ●生活保護が受給できなければ、回復できなかったかもしれない。生活保護を受給できたことで、1年半くらい仕事をせず、回復に専念する時間を確保できた。 ●生活支援や金銭管理をしてもらったことで助かった ●回復のペースが崩れてしまったとき、施設でお金を管理してもらっておけば、使い込む心配がなく、またやり直すことができる。 ●日常生活のサポートをしてもらえたことがよかった。買い物、金銭管理、洗濯、掃除など、生活上のことを相談できる人がいてくれて助かった。 (表ここまで) 出典:横浜市「回復支援施設利用者調査」(令和2年度) E身近な支援者等から専門的な支援者へ円滑につなぐ取組 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●身近な支援者における依存症の疑いのある人の発見とつなぎへの対応 ●身近な支援者への支援情報・知識の提供 (囲みここまで) 【身近な支援者における依存症の疑いのある人の発見とつなぎへの対応】 【身近な支援者への支援情報・知識の提供】  市が地域ケアプラザや精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センターを対象に実施したアンケートによれば、アルコールの問題は、一次相談支援機関に寄せられる相談の内容として珍しくない状況にあります。他方、身近な支援者から専門的な支援者へのつなぎがうまくいかず、必要な支援に結びつかない事例もあります。  また、検討部会でも、委員から、一次相談支援機関において依存症が疑われる人から相談を受けた場合の標準的な対応方法やフローの明確化の必要性について指摘がなされました。  こうした現状や指摘を踏まえ、一次相談支援機関やその他の身近な支援者が依存症の疑いのある人から相談を受けた場合に、適切な支援者につなぐことができるよう、相談窓口への情報・知識の提供やガイドラインの整備について検討を進めていくことが求められます。  さらに、本市が実施した各種のヒアリングや検討部会での議論によれば、身近な支援者、一般医療機関や救急医療機関、司法関係者などにおいて、依存症にかかる専門的な支援者の活動内容、依存症の本人を対象とした支援策などが、十分に認知されていない現状があります。  加えて、依存症に関する基本的な知識や情報などについても浸透しておらず、研修等を求める声も聞かれます。  身近な支援者と専門的な支援者との連携促進に向けて、支援情報や知識向上のための身近な支援者を対象とする研修や情報交換などの取組を進めていく必要があります。 図表2-65:検討部会における身近な支援者からのつなぎに関する指摘(抜粋) (表ここから) ●司法書士としてギャンブル等により借金を抱えた人の債務整理の相談にも対応するが、例えばギャンブル等に関する相談者の中にも、依存症の人もいれば、そうでない人もいて、その判断をするのは難しい。依存症かどうか、ある程度把握することができれば、他の専門的な相談窓口につなげることができるため、研修で依存症について知ることが大事だと思う。 ●相談者が「依存症ではないか」と思った時、行政への紹介や啓発リーフレットを手渡すというだけでよいのかという問題がある。リーフレットを手渡すのに加えて、紹介後にどのような経過をたどるのかを知っておくことができれば、ある程度の動機づけをしやすいのではないかと思う。そのためには、我々も依存症について学ぶことが重要である。 ●弁護士として薬物の使用で逮捕された人と接する機会があるが、そうした人は刑事事件の公判を控えているため、治療へのモチベーションが非常に高い。そういう人を支援施設につなげたいと考えた時に、実際には特定の回復施設や特定のクリニックにつなげるとか、そのくらいの知識しか持ち合わせていない現状がある。支援を必要とする人に出会ったにもかかわらず、十分に支援につなげられないというジレンマを抱えている。 ●身近な支援者に対する研修も重要だが、対応ガイドラインを作成していくということが対策としては早いのではないか。 (表ここまで) F専門的な支援者や家族等への支援 (表ここから) 【課題の具体的内容】 ●民間支援団体等や医療機関等が継続的な支援を行う上での課題への対応 ●家族等に対する支援 (表ここまで) 【民間支援団体等や医療機関等が継続的な支援を行う上での課題への対応】  民間支援団体等や専門的な医療機関等による支援の提供にあたって、回復支援につながっても、本人の判断により回復に向けた治療やプログラムを中断してしまう事例が見られます。  回復支援施設利用者調査では、こうした問題の背景には、本人の意向と支援団体・機関における支援方針・内容のミスマッチなどが、理由として挙げられています。一方で、専門的な医療機関等で診断を受けたり、依存症の説明を受けたりすることで、その後の民間支援団体等の利用につながった事例も聞かれます。  そのため、本人への動機づけや本人の意向と支援内容のマッチングのあり方、中断後のフォローのあり方などについて検討・情報共有を行う場を設けるなど、専門的な支援者が、継続的な支援を行うために必要な施策を講じることが求められます。 図表2-66:回復支援施設等の継続利用に至らなかった理由(例) (表ここから) ●周囲とうまくいかなかった、なじめなかった ●専門的な医療機関へ入院した際に自助グループを紹介されたが、周囲は年配の男性ばかりで、自分とは何か違うという感じがあった。 ●価値観が違った、共感できなかった ●国籍や性別の違いなどから、施設の仲間とは価値観等が異なると感じていた。 ●施設に不満があった ●朝昼晩と12ステップのミーティングばかりで、運動が月1回くらいしかできないこともストレスだった。 ●施設のプログラムが段階制になっていて、周りの賛意が得られないと次の段階に進めないため、周りを気にしながら生活しており、自由な時間がなかった。 (表ここまで) 出典:横浜市「回復支援施設利用者調査」(令和2年度) 【家族等に対する支援】  二次支援から三次支援にかけて、家族等が本人の最も身近な立場で回復プロセスを見守ることもあります。  家族等が安定した状態で回復プロセスを見守ることが、本人の回復において重要です。しかし、順調に回復が進む事例だけではないため、家族等は常に本人の中途退院・退所や再乱用、自殺等への不安や悩みを抱えながら見守っている事例も少なくありません。  検討部会においては、家族等と本人との関係の取り方に関する情報提供や家族等の不安・負担を軽減するための支援が不足しているとの指摘がありました。回復プロセスに重要な役割を担う家族等への支援の充実に向けた取組を進めていくことが必要と考えられます。 図表2-67:検討部会における家族等への支援に関する指摘(抜粋) (表ここから) ●薬物依存症者と家族は一体である。家族等が健康になると本人の回復に結びつく事例が経験上多い。計画の中では、もう少し、家族の支援を考えてもらえるとよい。 ●三次支援の段階においても、本人の回復が始まったとしても、行ったり来たりしている状態のため、家族等の支援を継続して行うネットワークや、施設と医療機関の横のつながりの強化が必要である。 (表ここまで) ウ:三次支援における課題 G支援団体ごとの特色を生かし、多様なニーズに対応するための情報共有 H支援者によるアセスメント力向上 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●対象者像や支援内容等の施設ごとの特色を生かした、ニーズに合う支援提供 ●支援者によるアセスメント(その人に合った支援を見極めること) ●女性への回復支援の課題解決 (囲みここまで) 【対象者像や支援内容等の施設ごとの特色を生かした、ニーズに合う支援提供】 【支援者によるアセスメント(その人に合った支援を見極めること)】  依存症の問題を抱える背景には、性別や成育歴、家族関係、障害の有無など、様々な状況があり、こうした個々の状況や依存対象を踏まえて支援を提供することが重要になります。  また、依存症社会資源調査や回復支援施設ヒアリングでは、市内で活動している民間支援団体等はその支援方針や支援内容などが多彩であり、他の自治体と比較して本人にとって多くの回復の選択肢が存在していることが示されています。  回復支援施設利用者調査では、仮に自身のニーズ等に合わない医療機関や回復支援施設を利用すると、回復プロセスの途上で中途退院・退所してしまう可能性があるとの意見がありました。回復プロセスを円滑に進めていくためには、アセスメントを通じて当事者のニーズや状況を評価し、本人に合った支援の内容を見極め、同時に支援団体の特色を踏まえて両者のマッチングを行うことが重要になります。  そのため、依存症の本人が自身のニーズに合った専門的な支援者につながる機会の充実を進めていくことが求められます。また、つながった支援者が合わなかった際には、改めて本人に合った適切な支援者につながるために、支援者間の連携体制が求められます。 【女性への回復支援の課題解決】  回復支援施設ヒアリングによれば、男性と比較して女性は摂食障害との重複や統合失調症などの他の精神疾患を抱える利用者も多く、加えて、DV・性被害など、女性が被害者となることの多い課題と依存症の問題が重なっており、支援が難しい事例が少なくありません。  これまでの研究(脚注21)によれば、女性の依存症は、多問題性(身体的・心理社会的な問題を多く抱え、複合的な支援ニーズに応える必要性)や問題領域の広範さ(生活福祉や女性相談、児童福祉、医療、更生保護、教育などの広範な関係機関との連携が必要)など、様々な特性が見られる点が指摘されています。  さらに、家事や出産・子育て等が回復支援施設や自助グループの利用しづらさや中断の要因にもなるといった問題から、症状が悪化してから支援につながることが比較的多いものと推察されます。  「本人に合った支援を提供する」という観点からすれば、こうした女性の依存症の特性を踏まえた回復支援が求められますが、女性の特性に配慮したサポートの必要性は広く認識されていません。  また、DV・性被害等を男性の前で語りにくいことから支援スタッフを女性に限定する必要がある場合がありますが、女性専用の回復支援施設においては、女性人材の確保に苦労しており、支援内容を抑制せざるを得ない場合もあります。  このような女性の依存症の回復支援が直面する課題の解決に向けた、方策を検討していくことが必要です。 脚注21:特定非営利活動法人ダルク女性ハウス『依存症者に対する地域支援、家族支援のあり方についての調査とサービス類型の提示』(厚生労働省 平成22年度障害者総合福祉推進事業) I専門的な支援者等が継続的に活動するための支援 J様々な支援ニーズに取り組む民間支援団体等の運営面等の課題への対応 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●民間支援団体等における、制度と支援ニーズの不一致解消に向けた検討 ●他の生活に関する支援への負担の対応検討 ●施設の安全管理・危機管理 ●新型コロナの感染拡大防止に向けた「新しい生活様式」を踏まえた活動の検討 ●専門的な支援者間、身近な支援者間で情報共有などを行う場の必要性、横のつながりがある環境 ●継続した勤務に向けた、民間支援団体等スタッフの人材育成、ケア (囲みここまで) 【民間支援団体等における、制度と支援ニーズの不一致解消に向けた検討】 【他の生活に関する支援への負担の対応検討】  依存症の支援は、生活全般の支援や通院等への同行など、様々なサポートが必要になります。特定の曜日や時間帯だけでなく、24時間365日の支援が必要となる場合もあります。  また、依存症の中には、依存症の回復支援そのものよりも、生活課題に対する支援が必要な場合や金銭管理等の支援を行うことで問題が解消に向かう場合もあり、回復に向けて幅広い支援が求められる現状があります。  現在、多くの民間支援団体等では、障害者総合支援法などの制度に基づくサービスによる支援を行っていますが、こうしたサービスは提供量に上限が設けられていたり、利用可能な対象者が限定されていたりすることが一般的です。そのため、回復支援施設ヒアリングでは、理念に即した支援を全ての当事者に十分に提供することが難しいとの意見が見られます。  加えて、利用者の高齢化などのために介護や看取りのニーズなども増加しているとの意見も見られ、支援のベースとなっている制度と支援ニーズの不一致が生じつつあります。  こうした問題に対応していくため、制度と支援ニーズのギャップを埋めるような活動支援のあり方、団体の負担軽減に向けた方策について検討を進めていくことが求められます。 【施設の安全管理・危機管理】  回復支援施設ヒアリングによれば、DVやストーカー被害を受けている人が利用する場合などもあり、施設の安全管理や危機管理に対する不安が聞かれました。  さらに、近年、風水害や地震等により、福祉施設が被災する事例も多く、特に入所施設において災害発生時の避難などをいかに行うかといった問題も顕在化してきています。  各施設が安全管理や危機管理の対策を講じる上で必要な支援が求められます。 【新型コロナの感染拡大防止に向けた「新しい生活様式」を踏まえた活動の検討】  新型コロナにおいては、感染拡大の防止に向けて、いわゆる「3密」(脚注22)の状態を回避することが重視されています。そのため、これまで対面により開催されてきた面談や自助グループによるミーティングなどが延期・中止となったり、人数・会場が制限されたりする場合も出てきています。  自助グループ等が行うミーティングは、本人の回復や家族等の分かち合いと精神的な負担の軽減において重要な役割を果たしており、こうした場が開催されないことによる影響が懸念されています。  一部では、テレビ・Web会議システムを活用したオンラインミーティングが開催されており、これまで時間の都合等で参加できなかった依存症の本人や家族等が自助グループに参加できるようになったといったプラスの側面も出てきています。対面のミーティングの持つ意義や重要性は引き続き重視しつつ、それと同時に「新しい生活様式」の下での民間支援団体等の活動のあり方、相談対応のあり方を模索していくことが求められます。 脚注22:新型コロナの集団発生のリスクが高いとされる、「換気の悪い密閉空間」、「多数が集まる密集場所」、「間近で会話や発声をする密接場面」といった3つの条件を言い表すため、厚生労働省等が掲げている標語のこと。 図表2-68:検討部会における新型コロナ感染拡大による支援活動への影響に関する指摘 (表ここから) * 新型コロナの影響は、しばらく続いていくのではないか。そういった社会環境で、何が我々(支援者)にできるかというのを考えていく必要がある。色々な施設がつながるということに関して、「とりあえず不十分ながらもやってみる、まず取組から始めてみる」ということも必要ではないか。 * 新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言下では、断酒会の夜間の例会ができなくなった。 * 市内では、自助グループのミーティングが様々な場所で毎日のように開かれており、例会に出席することで断酒を継続させる例が多い。しかしながら、今は開催することができない。オンラインでも話はできるが、仲間が集まる会場には、特別に醸し出される雰囲気みたいなものがあり、「1人ではない。1人ではやめられないけれども、皆の力でやめ続けよう」という姿勢が生まれる。 (表ここまで) 図表2-69:連携会議におけるオンラインミーティング等の利点に関する意見 (表ここから) * オンラインを活用することで、通勤時間等に縛られずミーティングをすることができた。 * いても立ってもいられない、つながらないではいられないという人たちが、赤ちゃんを抱えながら、あるいは本当は行きたいのに出られないという人たちも含めて、5分でも10分でもオンラインでつながることができたという前進した面もあった。 (表ここまで) 【専門的な支援者間、身近な支援者間で情報共有などを行う場の必要性、横のつながりがある環境】  回復支援施設ヒアリングでは、グループワークによる他の施設のスタッフの話を聞ける実践的な研修を希望する意見や、事例検討などを施設横断的に行う場を求める意見などが聞かれました。  また、区役所の生活支援課や障害福祉サービス事業所などの身近な支援者との関係づくりを求める意見も聞かれます。  身近な支援者においても、各種実態調査から依存症の本人への対応に苦慮している様子が見受けられ、また、民間支援団体等の活動内容への理解についてもさらに深めていく余地があるものと考えられます。  こうした支援者のニーズを踏まえ、本市では連携会議を開催し、地域の依存症対策に関する情報や課題の共有を進めています。今後、専門的な支援者間、身近な支援者間、専門的な支援者と身近な支援者間での情報共有などを行う場を創出し、支援者全体のさらなるネットワーク化を進めていくことが求められます。 図表2-70:回復支援施設における支援者間の横のつながりに関する意見(例) (表ここから) * グループワークなどで他の施設のスタッフの話を聞けるような、実践的な研修があるとよい。 * 精神医学に関する一般知識の習得や事例報告等の場があれば参加したい。 * 新任スタッフが、他の回復支援施設のスタッフの取組について話を聞くような研修は有用だと思う。 * 区役所の生活支援課と個別支援で連携を図りたい。お互いに情報共有をすることで、よりよい支援ができるのではないか。 * 援助者のためのセミナー(経験して勉強する必要性、グループセラピーの進め方)などが大切と感じる。 * 弁護士や司法書士の中にはギャンブル等の問題に理解のない人も多いため、啓発を希望する。 (表ここまで) 出典:市内回復支援施設ヒアリングより 【継続した勤務に向けた、民間支援団体等スタッフの人材育成、ケア】  民間支援団体等のスタッフは、回復に向けた本人の気持ちに共感できることや支援内容の専門性・特殊性から、依存症からの回復者などがそのまま施設で支援者として働く事例が多く見られ、他の福祉施設のように一般に募集しての採用が難しい状況にあります。そのため、支援人材の定期的な確保や計画的な育成が難しく、人材が不足しやすい状況にあります。  また、回復支援施設ヒアリングによれば、女性の回復支援を専門とする施設において、スタッフが女性に限られるため、出産や育児休暇などにより継続的に関わることが難しく、より人材確保面での課題が顕在化しているものと考えられます。  さらに、依存症の本人は様々な課題を抱えていることがあり、生活面のサポートや様々な関係機関との調整など、業務量が増大する中で、スタッフは「燃え尽き症候群」(バーンアウト)のリスクに晒されている可能性が高いと推察されます。  こうした問題を踏まえ、継続的な人材確保のために、スタッフを対象とした研修や支援者のネットワークによる情報交換の促進、バーンアウトの防止に向けた取組などを進めていくことは、団体の活動の継続に向けて極めて重要と考えられます。 図表2-71:回復支援施設ヒアリングにおける職員の確保等に関する意見(例) (表ここから) * 特定の疾患のある利用者が顕在化し、ミーティングの参加が難しい。職員はバーンアウトになりやすい。 * 女性のみという時点で、スタッフ候補の人数がそもそも少ない。スタッフの不足により、実施したい支援ができないこともある。 * 回復者自体がそもそも少ないが、女性の回復者は出産や育休などがあり、施設の運営等に継続的に関わることが難しい。 (表ここまで) 出典:市内回復支援施設ヒアリングより K回復段階において新たに顕在化する課題への対応 (囲みここから) 【課題の具体的内容】 ●就労への移行についての課題解決に向けた検討 ●医療機関との連携 ●地域で生活していくための支援 ●矯正施設等から地域移行をした後の孤立を防ぐための継続した支援 ●依存症以外に重複した問題や障害のある人に対する支援課題への対応 ●依存症のスティグマによる民間支援団体等の運営課題への対応 ●回復期における家族等の負担の大きさと家族等への継続的な支援 (囲みここまで) 【就労への移行についての課題解決に向けた検討】  本人に障害がある場合、障害福祉サービスの枠組みにおいては、就労移行支援や就労継続支援など、就労への移行をサポートする様々なサービスが提供されています。しかし、依存症に対応したサービスを提供する事業所は必ずしも十分に確保されていません。  また、本人の依存症やその他の精神疾患等の状況を理解し、適切な合理的配慮を提供することのできる職場環境の実現も求められます。  依存症からの回復過程にある人が、自分らしく働くことができる職場を見つけ、働き続けることができるようにするため、関係主体と検討を進めていくことが重要と考えられます。 【医療機関との連携】  依存症の本人の回復を継続的に支援していく上では、医療機関と民間支援団体等が緊密に連携し、本人に適した支援を行っていく必要があります。  しかしながら、依存症治療に対応できる精神科の病院や診療所は必ずしも十分な数が確保されておらず、福祉分野の支援者との連携も十分でない場合があります。また、検討部会の議論では、複数の依存症や重複障害のある事例において、医療機関同士の連携が十分に取れていない場合があるとの指摘もなされています。  こうした状況を踏まえると、医療・福祉の両面から専門職が依存症の本人の状態像を共有し、適切な回復支援を行うための医療機関間及び医療機関と民間支援団体等との連携体制が必要だと考えられます。 図表2-72:検討部会における医療機関との連携に関する指摘 (表ここから) * 「発達障害ではこの医療機関、薬物依存ならこちら」など、重複障害に対するたらい回し的な現状をどうしたらよいかという問題がある。 * 医療機関同士の連携ネットワークがあり、「この患者さんは我々が診るけれども、何かあったらアドバイスをください」といった関係性ができれば、様々な疾患を持っている人にも対応ができていくのではないか。 (表ここまで) 図表2-73:行政・横浜市への要望(医療・福祉・行政の連携の必要性) (表ここから) * クロスアディクション(2つ以上の依存が合併していること)の人への支援では、医療の力を借りることは多い。 * もともと統合失調症があり、そこにアルコール依存症が併発しているパターンの場合、医療機関のケースワーカーと連携を取りながら支援をしている。また、双極性障害の人だと、状態をこまめに伝えることくらいしかできない。このあたりの連携がもっとうまくできればと思う。 * いろいろな精神障害が重複している人が多いため、医療機関と連携しないと安心して支援ができない。 * 重複障害と依存症のどちらの治療を優先すべきかの判断は難しく、医療機関と適切に連携をしていく必要がある。 * トラウマを抱えていたり、発達障害との重複障害の人達が、依存症の治療と並行してカウンセリングなどの治療に通える環境が整えばよいと思う。 (表ここまで) 出典:横浜市「回復支援施設利用者調査」(令和2年度) 【地域で生活していくための支援】 【矯正施設等から地域移行をした後の孤立を防ぐための継続した支援】  依存症からの回復過程において、民間支援団体等の入所施設から地域での生活に移行していく際には、住まい等の生活基盤を確保した上で、当事者が自立した生活を送るための支援を提供する必要があります。  しかしながら、検討部会での議論では、依存症に対する偏見等から、住まいを確保する上で大きなハードルがあるとの実態が指摘されています。また、それまで支援者や他の当事者と共同生活を送っていた人が地域に移行すると、周囲からのサポートが大きく減少し、施設の仲間との関係が薄れ、孤立してしまう可能性も懸念されます。  また、「横浜市再犯防止推進計画」によると、平成30年において、神奈川県に所在する刑務所から出所した人の約3割が、出所時に帰住先がない状況となっており、矯正施設から出所した人が孤立した状況に置かれやすいことがうかがえます。  検討部会においては、特に再犯率の高い薬物依存症の人に対して、矯正施設出所後の継続的なサポートが必要であるとの意見が聞かれました。  地域での生活に移行することで、支援から切り離され、回復が阻害されることのないように、継続的に本人へのサポートを行い、孤立や再犯を防ぐ体制を構築していくことが求められます。 図表2-74:検討部会における地域生活を送る上での課題等に関する指摘 (表ここから) * 依存症で民間支援団体等につながった後、クリーンの状態が続いて回復しても、重複障害があると民間支援団体等でもサポートのしようがない場合がある。そういう場合においては、退寮して社会に出ても、生きづらさを抱えているために一般の精神科に行って薬を処方してもらおうとするが、薬物依存歴のことを言うと「うちでは診られない」と断られてしまう。 * 「住まい」の問題もある。グループホームは、一般の精神障害のみであれば受け入れてくれるが、薬物依存となると途端に受け入れてくれなくなる。「たらい回し」が始まって、本当に限られた所でしか生きていけないという現状がある。せっかく薬物依存からの回復を日々重ねていっても、つないで支援していかないと、本人はつまずいてしまう。社会の中で見守っていかないと、彼らは生きていけないと思う。 (表ここまで) 図表2-75:刑務所出所時に帰住先がない人の割合(神奈川県) (表ここから) 年 割合 平成26年 35.0% 平成27年 32.9% 平成28年 33.9% 平成29年 27.0% 平成30年 29.4% (表ここまで) 出典:横浜市「横浜市再犯防止推進計画」 【依存症以外に重複した問題や障害のある人に対する支援課題への対応】  検討部会の議論では、依存症の本人は、特定の依存対象のみならず、複数の対象への依存や、他の精神疾患、障害等を抱える場合もあり、一つの施設だけでは十分な支援を行うことができない場合があることが指摘されました。  単独の医療機関や回復支援施設では対応が難しいクロスアディクションや重複障害の人の回復支援に向けて、専門的な医療機関や民間支援団体等、身近な支援者が連携し、支援を進めていくための関係団体・機関間の協働の体制を構築していくことが必要と考えられます。 【依存症のスティグマによる民間支援団体等の運営課題への対応】  一次支援で述べたように、地域社会や職場において、依存症に対する正しい知識が十分に普及していないことから、スティグマが存在しており、施設運営における難しさもあります。  依存症の本人が地域で生活するためには、依存症に対する正しい知識の周知を進めて、偏見の解消を図るとともに、民間支援団体等が地域の中で活動しやすい環境を整えていくことが求められます。 【回復期における家族等の負担の大きさと家族等への継続的な支援】  検討部会では、回復期においても再発の可能性があるといった依存症の特性上、寄り添い続ける家族等の負担が極めて大きいとの指摘がなされました。  依存症の回復過程が直線的なものではなく、一進一退を繰り返すものであるという特性を十分に踏まえた上で、本人の長期的な回復過程とともにある家族等の負担を理解し、総合的にサポートする取組が求められます。 第3章 計画の目指すもの 1 基本理念 (1)各依存症に関連する状況 (囲みここから) 基本理念 依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、 より自分らしく健康的な暮らしに向かって進み続けるようにできること (囲みここまで)  依存症の本人は、もともと何らかの生きづらさや孤独を抱えていて依存症に至った場合も少なくないと言われています。また、日常生活や健康に様々な困難を抱えている場合や、依存症により本人だけでなく、その家族等の生活も大きな影響を受け、家族等が苦しんでいる場合も多くあります。加えて、依存症について周囲から正しく理解されないこと等により、そうした困難が増長されていることもあります。  そのため、困難を抱える本人や家族等に対して、自分らしく健康的な暮らしに向かって回復を続けていくための支援を提供することが必要であると考えられます。  以上を踏まえ、本計画では、「依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、より自分らしく健康的な暮らしに向かって進み続けるようにできること」を基本理念とします。 2 基本方針 (1)基本方針の考え方  先に掲げた基本理念を達成するため、本計画では、「依存症の予防及び依存症の本人や家族等が自分らしく健康的に暮らすための支援に向け、関係者がそれぞれの強みを生かしながら、連携して施策を推進すること」を基本方針とします。  本計画は、依存症の本人や家族等への支援に着目し、依存症者支援における課題を整理するとともに、その解決に向けて行うべき施策を検討し、「一次支援・二次支援・三次支援」という3つのフェーズごとに各依存症の予防及び回復支援に軸足を置いた重点施策を取りまとめました。  一次支援から三次支援の各施策において、関係者がそれぞれの強みを生かしながら、連携しつつ、効果的な支援を行うことが必要であると考えられます。  基本方針に則した、支援の段階ごとの施策対象と考え方は、下表の通りです。また、この基本方針に沿って次ページのように施策体系を設定します。 図表3-1:本計画の基本方針と支援の段階ごとの考え方 (囲みここから) 基本方針 依存症の予防及び依存症の本人や家族等が自分らしく健康的に 暮らすための支援に向け、関係者がそれぞれの強みを生かしながら、連携して施策を推進すること (囲みここまで) (表ここから) 支援の段階 主な施策の対象 考え方 一次支援(予防・普及啓発) ●市民全般を対象としつつ、依存症のリスクの高い人も特に対象とします ●依存症の予防に資する効果的な普及啓発を実施します。●依存症に関する誤解や偏見は多く、支援につながる妨げとなっていることから、適切な治療や支援により回復可能であること等の正しい理解を普及するための啓発を実施します 二次支援(早期発見、早期支援) ●依存症の本人・家族等や、依存症の疑いがありつつも支援につながっていない人を対象とします。●本人や家族等が依存症であるという認識を持ちにくいことや相談先がわからないことが、相談・支援への障壁となるため、早期に適切な支援につながることができるよう、普及啓発の取組を実施します。●相談に至った人を、早期に適切な支援につなぐことができるよう、支援者間の情報共有・連携推進を実施します 三次支援(回復支援) ●依存症からの回復段階にある人を対象とします。●支援につながった人が回復し、自分らしく健康的な生活を送ることができるよう、依存症者の回復支援を行っている専門的な支援者による支援や、医療機関等との連携などの活動支援を推進します。●依存症からの回復を続け、地域で生活するための支援に向けた取組を行います (表ここまで) 図表3-2:本計画の施策体系 (図表ここから) 基本理念 依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、より自分らしく健康的に暮らしに向かって進み続けるようにできること ↓ 基本方針 依存症の予防及び依存症の本人や家族等が自分らしく健康的に暮らすための支援に向け、関係者がそれぞれの強みを生かしながら、連携して施策を推進すること ↓ 一次支援(予防・普及啓発) 【重点施策1】予防に資する普及啓発/【重点施策2】依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 二次支援(早期発見・早期支援) 【重点施策3】相談につながるための普及啓発/【重点施策4】身近に支援者等から依存症支援につなげるための取組 三次支援(回復支援) 【重点施策5】専門的な支援者による回復支援の取組/【重点施策6】地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 (図表ここまで) (図表ここから) 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 それぞれの年齢に適した普及啓発・予防教育の実施 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 大学生への啓発 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 身近な支援者等による啓発 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) アルコール依存症に特化した取組 多量飲酒等の帽子(適量な飲酒)への取組 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) アルコール依存症に特化した取組 未成年飲酒防止・不適切な誘引防止の取組 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) アルコール依存症に特化した取組 女性特有の課題に応じた飲酒の防止の取組 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) 薬物依存症に特化した取組 教職員等向け研修 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) 薬物依存症に特化した取組 薬物乱用防止への取組 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) ギャンブル等依存症に特化した取組 高等学校の保健体育におけるギャンブル等依存症の教育 一次支援 重点施策1(予防に資する普及啓発) ギャンブル等依存症に特化した取組 場外馬券売り場などでの普及啓発 一次支援 重点施策2(依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 総合的な依存症対策の取組 依存症について関心を持ち正しい理解を促進する普及啓発 一次支援 重点施策2(依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 総合的な依存症対策の取組 依存症の正しい知識の普及啓発 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 依存症の本人や家族等が相談につながる普及開発 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 幅広く身近な場所での普及開発 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 家族等向けの啓発 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 民間支援団体等による講演会等の開催 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) 総合的な依存症対策の取組 インターネットを活用した情報提供 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) アルコール依存症に特化した取組 産業保健分野による普及啓発 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) 薬物依存症に特化した取組 重複処方の人へのお知らせ 二次支援 重点施策3(相談につながるための普及啓発) ギャンブル依存症に特化した取組 ギャンブル等依存症の本人等が相談につながる普及啓発 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 連携会議による支援情報の収集と共有等 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などの幅広い支援者のネットワーク、顔の見える関係の構築 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 支援ガイドラインの作成及び支援者向けの研修の実施 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 身近な支援者から専門的な支援者へつなぐ取組 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 身近な支援者と連携した取組 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 福祉サービス提供事業者等への情報提供や研修の実施 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 市内の支援者情報をまとめた情報ツールの整備 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 救急医療機関との連携 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 かかりつけ医研修 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 区役所の関係各課が連携した相談等への対応 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 総合的な依存症対策の取組 医療機関者による支援者向け研修 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) アルコール依存症に特化した取組 ないか等での気付きとつなぎ 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) 薬物依存症に特化取組 保護観察所との密な連携と情報共有 二次支援 重点施策4(身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組) ギャンブル等依存症に特化した取組 消費生活総合センターから専門的な支援者へのつなぎ及び啓発 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 行政における相談支援 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 回復プログラム・家族教室の実施 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 民間支援団体等による依存症本人や家族等への支援 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 利用者ニーズに合った制度の検討 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 民間支援団体等への活動支援 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 施設の危機管理体制充実に向けた支援 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 スタッフの人材育成・セルフケアのための取組 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 連携会議による情報共有 三次支援 重点施策5(専門的な支援者による回復支援の取組) 総合的な依存症対策の取組 専門的な医療機関の充実に向けた研修等の実施 三次支援 重点施策6(地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組) 総合的な依存症対策の取組 連携会議によるサポート体制の構築 三次支援 重点施策6(地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組) 総合的な依存症対策の取組 地域における依存症の支援 三次支援 重点施策6(地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組) 総合的な依存症対策の取組 回復や支援に関する情報共有 三次支援 重点施策6(地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組) 総合的な依存症対策の取組 更生保護と一体となったサポート 三次支援 重点施策6(地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組) 総合的な依存症対策の取組 就労の支援 三次支援 重点施策6(地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組) 総合的な依存症対策の取組 自立後の住まいの確保 (表ここまで) (2)基本方針の実現に向けた取組体制  基本方針の実現に向けて、本市こころの健康相談センター、区役所の精神保健福祉相談、さらには専門的な医療機関、民間支援団体等、身近な支援者(行政)、身近な支援者(行政以外)、依存症に関連する施策を行う本市関係部署が連携し、関係者が一体となって依存症対策の取組を進めます。 図表3-3:基本方針の実現に向けた取組体制 (表ここから) 関係者が一体となった依存症対策の取組 専門的な支援者 専門的な医療機関/こころの健康相談センター/区役所・精神保健福祉相談/民間支援団体 身近な支援者等 依存症に関連する施策を行う本市関係部署/身近な支援者(行政以外)/身近な支援者(行政) (表ここまで) 第4章 取り組むべき施策 1 本計画における取り組むべき施策の整理  本計画においては、第2章に記載した課題に対応し、第3章で示した計画の基本理念の実現に向けて、一次支援・二次支援・三次支援の領域ごとに全体で6つの重点施策を設定しました。  本章では、各重点施策に位置付けられる具体的な取組の方向性を整理するとともに、施策の詳細な内容や具体的な取組等について記載していきます。 なお、各重点施策と第2章において提示した計画課題との対応関係は、下記の通りです。 図表4-1:一次支援の領域における課題と重点施策の対応 (表ここから) 【課題】 @ライフステージに合わせた切れ目ない依存症に関する情報提供・啓発 A特に依存症のリスクが高まる時期に重点化した普及啓発 B依存症に関する基本知識の普及啓発 ↓ ◆重点施策1 予防に資する普及啓発 ◆重点施策2 依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 (表ここまで) 図表4-2:二次支援の領域における課題と重点施策の対応 (表ここから) 【課題】 C依存症の本人や家族等が早期に適切な支援につながるための普及啓発 D依存症の複合的な背景を踏まえた重層的な早期支援体制の構築 E身近な支援者等から専門的な支援者へ円滑につなぐ取組 F専門的な支援者や家族等への支援 ↓ ◆重点施策3 相談につながるための普及啓発 ◆重点施策4 身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組 (表ここまで) 図表4-3:三次支援の領域における課題と重点施策の対応 (表ここから) 【課題】 G支援団体ごとの特色を生かし、多様なニーズに対応するための情報共有 H支援者によるアセスメント力向上 I専門的な支援者等が継続的に活動するための支援 J様々な支援ニーズに取り組む民間支援団体等の運営面等の課題への対応 K回復段階において新たに顕在化する課題への対応 ↓ ◆重点施策5 専門的な支援者による回復支援の取組 ◆重点施策6 地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 (表ここまで) 2 一次支援にかかる重点施策  一次支援については、「ライフステージに合わせた切れ目ない依存症に関する情報提供・啓発」、「特に依存症のリスクが高まる時期に重点化した普及啓発」、「依存症に関する基本知識の普及啓発」という課題に対応するため、2つの重点施策を設定しました。  施策の主な対象は市民全般を想定していますが、特に依存症になるリスクの高い状況にある人やその周辺の人に向けて効果的な啓発活動をすることも必要と考えられます。  また、正しい理解を普及し、依存症に対する誤解や偏見をなくすことを目的とした啓発も実施していきます。 (囲みここから) 重点施策1 予防に資する普及啓発  依存症の予防に向けて、様々な年齢の人を対象として、様々な場所で普及啓発・予防教育を展開していきます。 (囲みここまで) (1)総合的な依存症対策の取組 ア:若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 ○依存症の予防及び依存症についての正しい理解を普及するため、児童・生徒を対象としたリーフレットの配布などの教育・啓発を実施するほか、ホームページ等で広く青少年・若者向けの効果的な広報や教育、啓発を実施します。 ○子どもの健全育成に大きな役割を担う教員・保護者・地域の大人や団体・区役所などの相談支援者等を対象とした、依存症予防に関する知識の提供を進めていきます。 ○ゲーム障害に関して、ゲームを開始する年齢に合わせた正しい理解と適切な付き合い方について、小中学校等と連携して普及啓発を実施します。 イ:それぞれの年齢に適した普及啓発・予防教育の実施 ○就職・結婚・出産等のライフイベントや定年退職等による生活の変化は、依存症のきっかけとなることもあるため、リスクが高い時期を踏まえ、様々な身近な支援者と連携を図りながら、それぞれの年齢・世代・性別等に応じた内容・手法による普及啓発・予防教育を進めていきます。 ウ:大学生への啓発 ○横浜市立大学において、健康診断時に啓発チラシを配布するとともに、アルコール摂取についての問診や保健相談を実施します。 ○市内にキャンパスを有する大学等に対して、本市が作成する若年層向けの普及啓発資料の提供や相談窓口の周知を図るなど、個々の大学等における啓発活動を支援していきます。 エ:身近な支援者等による啓発 ○ライフステージの中で何らかの問題に直面した際に、その問題を起因として依存症となることを防止するため、身近な支援者におけるリーフレットの配架・配布などを通じ、依存症に関する啓発や予防に向けた情報提供などを進めていきます。 ○精神疾患や精神障害、発達障害と依存症を併発する事例も見られます。依存症の予防に向け、区役所の精神保健福祉相談や精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター、発達障害者支援センター等における啓発や情報提供の取組を進めていきます。 (2)アルコール依存症に特化した取組 ア:多量飲酒等の防止(適量な飲酒)への取組 ○多量飲酒等による健康状態の悪化や急性アルコール中毒の予防、多量飲酒等を継続することによるアルコール依存症の発症などを予防するため、生活習慣病改善相談や健康づくり関連イベントなどの普及啓発の中で、多量飲酒等の防止に向けた啓発等の取組を実施します。 ○「よこはま企業健康マガジン」(メール配信)による市内企業へのアルコール問題に関する記事の配信などを通じ、市内で働く人たちに多量飲酒等の防止の重要性を啓発していきます。 イ:未成年飲酒防止・不適切な誘引防止の取組 ○学習指導要領に基づく保健学習において、未成年者の飲酒の防止に向けた教育等を進めていきます。 ○周囲の大人が未成年者に対して不適切な飲酒を誘引することのないよう、啓発活動を実施します。 ウ:女性特有の課題に応じた飲酒の防止の取組 ○依存症への進行の早さ、妊娠中の胎児への影響の危険性など、特有の課題が生じる女性のアルコール依存症の予防のため、リーフレット等の配布などを通して、依存症に関する情報提供や普及啓発を実施します。 (3)薬物依存症に特化した取組 ア:教職員等向け研修 ○青少年の薬物の乱用を防止するため、薬物乱用による心身への影響や依存症などについて教職員等を対象として研修を行い、小中・高等学校における啓発教育の質の向上を図ります。 イ:薬物乱用防止への取組 ○あらゆる年代における薬物乱用の防止に向けて、現在実施している不正大麻・けし撲滅運動や講習会、啓発の充実を図るとともに、薬物乱用防止庁内連絡会を通じた関係機関との連携・情報共有を引き続き推進していきます。 (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 ア:高等学校の保健体育におけるギャンブル等依存症の教育 ○平成30年に公示された高等学校の学習指導要領において、保健体育の科目内で精神疾患について取り上げることとなりました。また、高等学校学習指導要領解説では、アルコール、薬物等の物質への依存症に加えて、ギャンブル等依存症についても取り上げることとされました。 こうした国の動きを踏まえ、高等学校で行われる保健体育の授業において、ギャンブル等依存症についても取り上げていきます。 イ:場外券売り場などでの普及啓発 ○ギャンブル等依存症に特化した普及啓発を行うため、競馬や競輪、競艇、オートレースなどの公営競技の場外券売り場において、リーフレットの配架・配布など、ギャンブル等依存症に関する普及啓発を実施します。 (囲みここから) 重点施策2 依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発  依存症に対する偏見の解消やその前提となる正しい理解の促進に向けて、市民全体を対象とした普及啓発の取組を進めていきます。 (囲みここまで) (1)総合的な依存症対策の取組 ア:依存症について関心を持ち正しい理解を促進する普及啓発 ○多くの市民が依存症の問題に関心を持ち、依存症に関する正しい理解が進むよう、メディアやインターネットを活用した情報発信など、多くの人の目に触れる手段・方法による情報の提供・発信を行います。 ○依存症理解促進のための市民向け講座を開催していきます。 イ:依存症の正しい知識の普及啓発 ○依存症は誰もが直面しうる問題であり、適切な支援を受けることで回復できるという正しい知識の普及啓発に向けて、セミナー・講演会の開催、リーフレット等の配布を行います。 ○民間支援団体等において、当事者による語りを含むセミナー・講演会などを実施し、こころの健康相談センターや区役所においてその支援を行います。 3 二次支援にかかる重点施策  二次支援については、「依存症の本人や家族等が早期に適切な支援につながるための普及啓発」、「依存症の複合的な背景を踏まえた重層的な早期支援体制の構築」、「身近な支援者等から専門的な支援者へ円滑につなぐ取組」、「専門的な支援者や家族等への支援」といった課題に対応するため、2つの重点施策を設定しました。  施策の主な対象者は、依存症の本人や依存症が疑われる人及びその家族等のほか、身近な支援者や民間支援団体等や医療機関とします。 (囲みここから) 重点施策3 相談につながるための普及啓発  依存症の本人や家族等が適切な相談支援機関につながれるよう、相談先に関する情報の提供や依存症に関する正しい知識の啓発を進めていきます。また、啓発に向けた取組は、必要な情報が「多くの人の目に触れること」及び「ハイリスクの人の目に触れること」の両面を重視して実施していきます。 (囲みここまで) (1)総合的な依存症対策の取組 ア:依存症の本人や家族等が相談につながる普及啓発 ○依存症の本人、その家族や友人・知人などが相談支援機関について情報を入手し、相談につながることができるよう、メディアやインターネットを活用した情報発信など、多くの人の目に触れる手段・方法により相談支援機関に関する情報の提供・発信を行います。 ○厚生労働省が定める依存対象ごとの啓発週間に合わせて、相談勧奨や市民向けセミナー等の普及啓発を行います。(アルコール関連問題啓発週間:11月10日〜11月16日、ギャンブル等依存症問題啓発週間:5月14日〜5月20日) イ:幅広く身近な場所での普及啓発 ○重複障害、多重債務や生活困窮、DV・虐待等の問題を抱える依存症の本人や依存症が疑われる人に相談支援機関に関する情報が効果的に伝わるよう、訪れる可能性が高い区役所の関係各課(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課等)の窓口などにおいて、チラシの配架・配布など、相談支援機関や専門的な支援者に関する情報の普及啓発を行います。 ○他の障害が重複する人に相談支援機関の情報を効率的・効果的に提供するため、精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター、発達障害者支援センター、相談支援事業所等の身近な支援機関・団体における普及啓発の取組を推進します。 ウ:家族等向けの啓発 ○依存症の本人や依存症が疑われる人の抱える問題などについて、区役所の関係各課などに相談に来た家族等に対し、リーフレットの配布などを通じて相談支援機関や専門的な支援者に関する情報の提供などを行います。 ○専門的な医療機関への依存症に関する相談については、依存症の本人だけでなく、その家族等でも行うことが可能な場合もあります。家族等からの一次相談に基づき早期発見・早期支援につなげていくために、家族等や身近な支援機関の職員などに、受診できる医療機関の周知を進めていきます。 エ:民間支援団体等による講演会等の開催 ○依存症の回復を支援している民間支援団体等において、依存症の本人や家族等に対する相談や回復支援に関する情報提供のため、講演会等を開催します。また、本市において、開催の周知支援などを行います。 オ:インターネットを活用した情報提供 ○こころの健康相談センターがホームページ上で提供する依存症に関する情報発信の充実を図るため、Web上でできるチェックリストの提供や、チェック結果を踏まえて本人等のニーズに合った相談・支援・医療機関の検索ができるWebサイトの作成などを進めていきます。 (2)アルコール依存症に特化した取組 ア:産業保健分野による普及啓発 ○産業保健総合支援センターなどと連携しながら、市内企業等の従業員に向けたアルコール依存症の問題に関する情報提供を行うとともに、アルコール依存症が疑われる人に対して受診・相談勧奨を行う取組の支援について、検討を進めていきます。 ○市職員に向けて、健康管理医・保健師等から飲酒による健康問題に関する講義、アルコール依存症に関する相談対応等を実施します。 (3)薬物依存症に特化した取組 ア:重複処方の人へのお知らせ ○医療機関への重複受診及び重複・多剤処方が見られる人に対し、文書等の送付により処方薬を対象とした薬物依存の問題に関する注意喚起を行います。 ○重複処方の人の中には、実際に依存症の状態になっている人も含まれると考えられることから、注意喚起に加え、専門的な支援者などの情報も提供します。 (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 ア:ギャンブル等依存症の本人等が相談につながる普及啓発 ○場外券売り場や借金・多重債務問題の相談、法律相談などといった依存症の本人等の目に触れる機会や場を捉え、リーフレットの配架・配布など、相談支援機関に関する普及啓発、情報提供を進めていきます。 (コラムここから) コラム・ぱちんこ事業者や公営競技事業者による依存症対策  ぱちんこ事業者や公営競技事業者においては、ギャンブル等依存症の対策に向けた様々な取組を進めています。  例えば、全国のぱちんこ事業者からなる「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」では、ぱちんこ依存問題について無料電話相談を受け付けている非営利相談機関「リカバリーサポート・ネットワーク」への支援・寄付を行っています。  また、全国の競馬・競輪・モーターボート競走等の施行事業者からなる全国公営競技施行者連絡協議会においても、「公営競技ギャンブル依存症カウンセリングセンター」を設置し、ギャンブルへの依存に不安を抱える本人や家族等から、電話及びメールで相談を受け付ける体制を整えています。  このほか、ぱちんこ事業者や公営競技事業者においては、本人や家族等の申告に基づく入場制限、場内におけるATMの撤去等など、様々な角度からの取組を進めています。  上記の取組と合わせて、ギャンブル等依存症の本人や家族等が相談や適切な支援につながることを促進するため、ギャンブル等が行われる場所での行政等が作成した広報物の配架・配布等による普及啓発への協力や、支援に関して行政等の関係機関と情報共有していくことが考えられます。  国が策定したギャンブル等依存症対策基本計画では、取り組むべき具体的な施策として、各地域における包括的な連携協力体制の構築が示されており、本市においても今後同計画との整合性を図っていく必要があります。 (コラムここまで) (囲みここから) 重点施策4 身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組  身近な支援者等による依存問題を抱える人の発見と、専門的な支援者への円滑なつなぎに向けた取組を推進していきます。また、依存症以外に様々な生活面等での問題を抱える当事者に対し、身近な支援者が効果的に地域生活支援を提供していくために必要な取組を展開していきます。 (囲みここまで) (1)総合的な依存症対策の取組 ア:連携会議による支援情報の収集と共有等 ○依存症の本人等に対する包括的な支援を実施するため、行政や医療、福祉等を含めた関係機関が密接な連携を図るとともに、地域における依存症に関する情報や課題の共有を目的とした連携会議を定期的に開催します。 イ:行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などの幅広い支援者のネットワーク、顔の見える関係の構築 ○依存症の本人等に対する包括的な支援体制の構築や適切な回復支援へのつなぎの推進に向けて、連携会議なども含め、行政、相談対応や回復支援に関わる民間支援団体等、一般・専門的な医療機関、身近な支援者などによる幅広い支援者ネットワークと顔の見える関係づくりを進めていきます。 (コラムここから) コラム・横浜市依存症関連機関連携会議  本市では、依存症の本人や家族等に対し、幅広い分野の関係機関・民間支援団体等が支援を行っています。  こうした多様な支援者の横のつながりをつくり、支援者間の相互理解を深め、依存症の本人等に対する包括的な支援の実施に向けて関係機関が密接な連携を図ることができる環境を構築していくため、国の実施要綱に基づき、令和2年度より「横浜市依存症関連機関連携会議」(連携会議)を設置・開催しています。  連携会議の参加者は、依存症を取り巻く問題の多様性・複雑性に応じて行政、医療、福祉・保健、教育、司法など多岐にわたり、定期的な会議の開催を通じ、依存症の本人や家族等の支援に関する情報や課題の共有、支援に関する連携や調整、研修計画の検討などを行います。 (コラムここまで) ◆横浜市依存症関連機関連携会議のイメージ図 (図ここから) 横浜市依存症関連機関連携会議 依存症の本人や家族等に対する包括的な支援に向けた関係機関間の密接な連携 機関 医療機関/回復支援施設/自助グループ・家族会/行政/福祉・保健/教育/司法 ◆連携会議での協議事項 ●依存症の本人や家族等の支援に関する情報や課題の共有に関すること ●依存症の本人や家族等の支援に関する連携や調整、研修計画に関すること ●その他依存症の本人、家族等の支援に関して必要なこと 開催の企画・情報提供 横浜市 こころの健康相談センター (図ここまで) ウ:支援ガイドラインの作成及び支援者向け研修の実施 ○依存症の本人や依存症が疑われる人、その家族等と接点を持つことの多い区役所関係各課や身近な支援者から、専門的な支援者へ適切なつなぎを行うための初期チェックリストや連携フローなどを記載した、支援ガイドラインの作成を進めます。 ○身近な支援者における依存症理解の促進と支援の向上に寄与するため、研修等を実施します。 エ 身近な支援者から専門的な支援者へつなぐ取組 ○依存症の本人や依存症が疑われる人、その家族等からの相談に対して、関係機関と連携を図りながら、身近な支援者から専門的な支援者への適切なつなぎを行います。 オ:身近な支援者と連携した取組 ○身近な支援者において、依存症の理解を促進する研修をこころの健康相談センターと連携して開催するなど、依存症関連の取組を進めていきます。 カ:福祉サービス提供事業者等への情報提供や研修の実施 ○在宅の要介護者や障害者にとって最も身近な支援者の1つである介護事業者や障害福祉サービス事業者、相談支援事業者において、支援対象者やその家族等が依存症の問題を抱えていた場合に専門的な支援者へつなぐことができるよう、依存症に関する情報提供や研修等を行います。 ○保護者等が依存症の問題を抱えている子どもも少なくないと考えられることから、保育・教育機関の職員などを対象とした情報提供や研修などを実施します。 キ:市内の支援者情報をまとめた情報ツールの整備 ○身近な支援者が、対象者のニーズに合った支援者を検索できるよう、市内の支援者の情報をまとめた情報ツールを整備します。 ク:救急医療機関との連携 ○救急医療機関において、アルコールや薬物の多量摂取や事故等による外傷で運び込まれた人に依存症の疑いがある場合、容態が安定した入院者やその家族等が専門的な支援者につながることができるよう、依存症に関する基本知識や専門的な支援者の連絡先等を掲載したリーフレットを院内に配架・配布し、啓発を行います。 ケ:かかりつけ医研修 ○依存症の問題が起こった際にかかりつけ医に相談する人が一定数いると考えられることから、多くの市民が継続的な関係を構築している「かかりつけ医」を対象とした研修において依存症についても取り上げます。 コ:区役所の関係各課が連携した相談等への対応 ○依存症の本人や依存症が疑われる人、またその家族等から依存症及び関連する問題の相談を受ける可能性がある区役所の精神保健福祉相談及び関係各課(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課等)において、研修受講などを通じて、依存症への理解の向上と相談対応力の強化を進めていきます。 ○相談を受けた担当課だけでは対応が難しい場合には、関係各課や関係機関と横断的な状況共有や連携した対応を行っていきます。 サ:医療関係者による支援者向け研修 ○身近な支援者等における、特に医学的な見地からの依存症理解を深めることを目的として、専門の医師等による支援者向け研修を開催します。 (2)アルコール依存症に特化した取組 ア:内科等での気付きとつなぎ ○医療機関の内科等において依存症が疑われる事例をスクリーニングし、専門的な支援者へとつなぐための仕組みづくりを検討します。 ○依存症の本人や依存症が疑われる人がアルコールに起因する疾患により内科を受診した際に、医師やその他の医療従事者が依存症の可能性に気付き、専門的な医療機関や民間支援団体等へつなぐことができるよう、医療従事者等に向けて依存症にかかる情報提供や研修などを開催します。 (3)薬物依存症に特化した取組 ア:保護観察所との密な連携と情報共有 ○薬物等に関連する犯罪等により保護観察処分となっている人を再犯防止に向けた適切な支援へつなぐため、保護観察所と連携して、当事者への市内の相談支援機関に関する情報提供や研修の実施等を進めます。 ○薬物依存のある保護観察対象者等の支援に係る実務者検討会や地域支援連絡協議会に参画し、県内自治体や保護観察所との情報交換や連携などを緊密に行う体制を構築します。 ○国立精神・神経医療研究センターが実施する、薬物事犯による保護観察対象者を対象とするコホート調査に協力します。この調査は、対象者に定期的に電話による聞き取り調査をすることで、回復や再使用等に影響する要因を明らかにすることを目指すとともに、切れ目のない支援体制の構築に向け、行政や関係機関・団体が連携して治療や支援等を行う地域体制の構築を目指すものです。 (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 ア:消費生活総合センターから専門的な支援者へのつなぎ及び啓発 ○消費生活総合センターへ寄せられる多重債務等に関する相談の中には、ギャンブル等依存症がその背景にある場合があります。 依存症の本人や依存症が疑われる人から相談があった場合に、消費者庁のマニュアルに基づいて同センターから専門的な支援者へつなぐとともに、消費者庁のホームページ等に掲出される情報を紹介するなどの啓発を行います。 4 三次支援にかかる重点施策  三次支援については、「支援団体ごとの特色を生かし、多様なニーズに対応するための情報共有」、「支援者によるアセスメント力向上」、「専門的な支援者等が継続的に活動するための支援」、「様々な支援ニーズに取り組む民間支援団体等の運営面等の課題への対応」、「回復段階において新たに顕在化する課題への対応」といった課題に対応するため、2つの重点施策を設定しました。  施策の主な対象者は、依存症からの回復段階にある本人及びその家族等と、本人の回復を支援する専門的な支援者とします。 (囲みここから) 重点施策5 専門的な支援者による回復支援の取組  依存症からの回復を支援する専門的な支援者が、それぞれの強みを生かして支援を実施します。また、民間支援団体等が安定的な支援を継続できるよう、各施設における危機管理や人材育成等を支援する取組を推進します。 (囲みここまで) (1) 総合的な依存症対策の取組 ア:行政における相談支援 ○こころの健康相談センターにおいて、専門の相談員が依存症の本人や家族等からの相談を受けるとともに、回復プログラム等の案内や区役所との連携、専門的な支援者等へのつなぎを行います。 ○区役所の精神保健福祉相談において、身近な相談窓口として相談対応を行うとともに、福祉サービスの利用の決定や訪問・介入などの継続的な支援、地域の資源を活用した支援を実施します。また、依存症に起因すると考えられる福祉課題への取組については、区内の関係各課が連携して複合的な問題に対する支援を実施します。 イ:回復プログラム・家族教室の実施 ○回復へのきっかけづくりや本人のニーズに合った専門的な支援者へのつなぎを行うため、こころの健康相談センターにおいて、依存症のメカニズムや再発のサイン・対処法について本人と一緒に考える回復プログラムを実施します。 ○家族等が依存症について学び、対応方法や回復について考える家族教室をこころの健康相談センターや区役所で実施します。 ウ:民間支援団体等による依存症の本人や家族等への支援 ○多様性のある本市の民間支援団体等が、それぞれの特性を生かして、依存症の本人や家族等の回復に向けた取組を実施します。他の民間支援団体等や関係機関と情報共有を図りながら、本人や家族等のニーズに合った支援の提供を進めます。 エ:利用者のニーズに合った制度の検討 ○障害福祉サービス事業所や地域活動支援センターとして運営している民間支援団体等では、障害者総合支援法等の制度の中では対応しきれない利用者のニーズ等が一定程度存在しており、依存症特有の課題について各制度との調整を図ります。 オ:民間支援団体等への活動支援 ○民間支援団体等が継続して依存症の本人や家族等を支援できるよう、ミーティング・普及啓発・相談等の団体の活動を補助します。 ○男女共同参画センターにおいて、自助グループの活動場所の提供等の支援やセミナー開催の支援を実施します。 カ:施設の危機管理体制充実に向けた支援 ○自然災害や事件、新型コロナ等の感染症の流行等から施設の利用者や職員を守るため、施設運営に関する情報提供や緊急時対応マニュアルの作成を推進します。 ○防災・防犯・感染症予防に必要な物品の導入補助など、施設の危機管理体制の充実に向けた支援を行います。 キ:スタッフの人材育成・セルフケアのための取組 ○民間支援団体等のスタッフの継続的な人材育成を図り、スタッフの「燃え尽き症候群」(バーンアウト)や離職を防止することを目的として、支援スキルの向上やセルフケアのための研修の開催、施設を越えたスタッフ間のネットワーク形成を支援します。 ク:連携会議による情報共有 ○身近な支援者や専門的な支援者が参加する連携会議を定期的に開催します。行政、医療、福祉・保健、司法などの関係機関がお互いの理解を深め、依存症の問題で悩む人が必要な支援にアクセスしやすいネットワークの構築を目指します。 ケ:専門的な医療機関の充実に向けた研修等の実施 ○依存症の治療に対応できる医療機関の充実を図るため、精神科等の医療関係者に対する研修等を実施します。 (囲みここから) 重点施策6 地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組  依存症の本人が回復支援施設等から地域に生活の場を移した後に、孤立せず、様々な支援者とつながりながら、回復を続けていくことができるような取組を行います。 (囲みここまで) (1)総合的な依存症対策の取組 ア:連携会議によるサポート体制の構築 ○連携会議を通して、地域生活において関わることの多い身近な支援者が、専門的な支援者と支援情報の共有等の促進を図り、地域生活の中で回復し続けられる支援体制の構築を目指します。 イ:地域における依存症の支援 ○依存症と重複しやすい精神疾患(うつ病など)のある人は、依存症の回復だけではなく日常生活のサポートを必要とする場合があります。 地域生活の中で回復が続いていくよう、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」構築に向けた協議の場等でも関係する各主体(行政、福祉サービス事業者、医療機関等)と専門的な支援者が情報や技術を共有し、依存症の本人が孤立せず安心した地域生活を送れるような支援体制を築いていきます。 ウ:回復や支援に関する情報共有 ○地域で生活を送る依存症の本人に対する支援のあり方を関係機関全体で共有し、支援の質の向上と回復プロセスの周知につなげていくため、様々な回復プロセスを共有し、行政や民間支援団体等、一般市民に対して広く周知を図ります。 エ:更生保護と一体となったサポート ○薬物等に関連する犯罪を犯した人が、社会の中で孤立し、薬物使用を再び繰り返してしまうことを防ぐため、保護観察所等と連携し、当事者に対して民間支援団体等の情報提供や依存症以外の問題も含めた相談対応を進めていきます。 ○国立精神・神経医療研究センターが実施する、薬物事犯による保護観察対象者を対象とするコホート調査に協力し、対象者への継続的な支援を実施します。 オ:就労の支援 ○依存症の本人の就労の促進に向けて、行政と民間支援団体等が連携し、依存症からの回復者を雇用する企業や関係機関に対し、依存症からの回復と就労の両立のために必要な知識等(スティグマの防止、回復プロセスにおいて長期的な視点が求められることなどへの理解)の普及啓発を行います。 ○若者サポートステーションにおいて、就労に向けて様々な困難を抱える15〜49歳の人及びその家族等を対象として、総合相談や就労セミナー、就労訓練等を実施し、職業的自立に向けて支援します。 ○障害者就労支援センターにおいて、働くことを希望する障害児・者を対象として、就労に関する相談、職場実習等を通じた適性把握、求職活動支援や就労後の定着支援等を、企業や関係機関と連携しながら行います。 カ:自立後の住まいの確保 ○依存症からの回復過程にある人や、依存症に関連する犯罪により刑務所等から出所した人が、地域の中で自立した生活を続けられるよう、住まいの確保に向けて、依存症に関する正しい知識の周知を進めて、広く偏見の解消を図ります。 ○住宅に困窮する低額所得者で市内に在住または在勤の人に対しては、公募により、低廉な家賃で市営住宅を提供します。 ○低額所得者、障害者等が民間賃貸住宅への入居をしやすくする仕組みとして「住宅セーフティネット制度」を活用していきます。 ○住宅確保要配慮者の居住支援を充実させるため、横浜市居住支援協議会と不動産事業者や福祉支援団体、区局の連携を強化する制度の検討を進めます。 第5章 計画の推進体制 1 関係主体に期待される役割  本計画を推進するためには、身近な支援者、民間支援団体等、医療機関、行政などの多くの関係主体がそれぞれの役割を果たしながら、連携し、一体となって取り組むことが必要です。  また、個々の団体・機関等ごとに一次支援・二次支援・三次支援の各フェーズにおいて取り組めることがあり、それぞれの専門性を発揮して支援を行うとともに、自団体・機関が専門とする支援領域以外でも可能な支援・活動のあり方を模索していくことが重要になります。 (1)身近な支援者 ア:身近な支援者としての行政  身近な支援者としての行政については、依存症に関する情報収集・理解促進によって啓発の担い手となるとともに、所管する業務に関連して本人等が相談に訪れた際には、依存症問題に対して気付き、適切な専門的な支援者へのつなぎを行うことが求められます。  また、連携会議等により依存症の回復支援を行う専門的な支援者と連携を図りながら、各種福祉サービスの利用に向けた調整、生活困窮やDVからの保護など、本人が社会生活を送る上で必要な支援を提供する役割を担います。 イ:福祉  福祉団体・機関、福祉事業者などについては、依存に関する情報収集・理解促進により、啓発の担い手となるとともに、実施する福祉サービスに関連して対象者の依存症問題に対して気付き、適切な専門的な支援者へのつなぎを行うことが求められます。  また、連携会議等により依存症の回復支援を行う専門的な支援者と連携しながら、相談支援や福祉サービスの提供などを通じ、本人が社会生活を送る上で必要な支援を提供する役割を担うことが期待されます。 ウ:医療(一般医療機関)  一般医療機関については、依存症に関する情報収集・理解促進により、本人等が診療・相談に訪れた際には、依存症問題に対して気付き、適切な専門的な支援者へのつなぎを行うことが求められます。  また、依存症の回復支援を行う専門的な支援者と連携しながら、本人が抱えている障害や疾患などの治療を行う役割を担うことが期待されます。 エ:司法  司法関係の団体・機関については、依存症に関する情報収集・理解促進により、啓発の担い手となるとともに、本人等が相談に訪れた際には、依存症問題に対して気付き、適切な専門的な支援者へのつなぎを行うことが求められます。  また、依存症の回復支援を行う専門的な支援者と連携しながら、法律相談や多重債務問題への対応、再犯防止支援など、司法の観点から本人が社会生活を送る上で必要な支援を提供する役割を担うことが期待されます。 オ:教育  教育機関においては、教職員等が依存症について学ぶとともに、学びを踏まえて児童・生徒・学生に対して依存症の予防教育を実施することが求められます。  また、児童・生徒・学生やその保護者等に依存症の問題が見られた場合には、教員が異変に気付き、適切な相談支援機関へ情報共有などを行う役割が期待されます。 (2)民間支援団体等(回復支援施設、自助グループ・家族会) ア:回復支援施設  回復支援施設においては、依存症の本人や家族等に対し、専門性と各団体の特性を生かしながら、「その人に合った回復支援」を提供していくことが求められます。  また、市民や身近な支援者、一般医療機関等を対象として依存症に関する理解促進に向けた啓発活動を行うことや、連携会議等により他の民間支援団体等及び行政や身近な支援者との連携を通じた情報共有を行うことも重要な役割になります。 イ: 自助グループ、家族会  自助グループ・家族会においては、同じ問題や悩みなどを抱えた人たち同士が出会い、相互に援助し、分かち合うことで、その問題からの回復を目指します。  また、市民等に向けた啓発活動を行うことや、連携会議等により他の民間支援団体等及び行政や身近な支援者との連携を通じた情報共有を行う役割も期待されます。 (3)専門的な医療機関  専門的な医療機関においては、身近な支援者や民間支援団体等と連携をしながら、依存症の本人に対する治療に取り組むほか、民間支援団体等や身近な支援者、一般医療機関、市民などを対象とした、依存症問題に関する普及啓発や支援者のスキル向上などにも積極的に関与していく役割が期待されます。 (4)行政(依存症関連施策の実施者として) ア:こころの健康相談センター(依存症相談拠点)・健康福祉局精神保健福祉課  こころの健康相談センター(依存症相談拠点)や健康福祉局精神保健福祉課においては、専門的な医療機関や民間支援団体等と緊密な連携を図りながら、依存症に関する普及啓発、本人や家族等を対象とする相談対応や回復支援、民間支援団体等の職員や身近な支援者を対象とする人材育成、関係機関間の連携促進、支援団体の運営支援、事業者に対する協力の要請など、依存症問題の解決に向けた幅広い施策を立案し、実行する役割を担います。 イ:区役所 精神保健福祉相談  区役所の精神保健福祉相談において、本人やその家族等からの相談に対して、区役所内の関係各課や身近な支援者と連携して、回復に向けた支援、適切な専門的な医療機関や民間支援団体等へのつなぎを行うことが求められます。  また、区内における依存症に関する普及啓発を実施するとともに、民間支援団体等と連携して施策を実施する役割を担います。 ウ:依存症に関連した施策を実施する部署  本市の依存症に関連した施策を実施する各部署においては、担当する領域において依存症の予防等に向けた関連施策を展開することが求められます。  また、依存症への対応は、福祉・保健、医療、司法、教育などの幅広い領域における連携が重要であることから、庁内外の関係機関・団体と連携を図り、施策を展開していく役割を担います。 図表5-1:依存症の本人等の支援者と期待される役割 (表ここから) 主体 支持者としての期待される役割 一次支援(依存症の情報収集/支援施策の企画・立案/依存症啓発の担い手) 主体 支持者としての期待される役割 二次支援(依存症の情報収集/支援施策の企画・立案/依存症啓発の担い手/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ/依存症周辺問題への支援) 主体 支持者としての期待される役割 三次支援(依存症の情報収集/支援施策の企画・立案/依存症周辺問題への支援/治療・回復支援) 主体 役割 行政(依存症関連施策の実施者として) こころの健康相談センター(依存症相談拠点)、精神保健福祉課 依存症の情報収集(一位支援 依存症の情報収集◎/支援施策の企画・立案◎/依存症啓発の担い手◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ◎/依存症周辺問題への支援○/治療・回復支援○ 行政(依存症関連施策の実施者として) 区役所 精神保健福祉相談 依存症の情報収集◎/支援施策の企画・立案○/依存症啓発の担い手◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ◎/依存症周辺問題への支援○/治療・回復支援○ 行政(依存症関連施策の実施者として) 依存症に関連した施策を実施する部署 依存症の情報収集◎/支援施策の企画・立案○/依存症啓発の担い手○/依存症周辺問題への支援○ 身近な支援者 身近な支援者としての行政(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課など) 依存症の情報収集◎/依存症啓発の担い手○/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ◎/依存症周辺問題への支援◎/治療・回復支援○ 身近な支援者 福祉 依存症の情報収集◎/依存症啓発の担い手○/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ◎/依存症周辺問題への支援◎/治療・回復支援○ 身近な支援者 医療(一般医療機関) 依存症の情報収集◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ◎/依存症周辺問題への支援◎/治療・回復支援○ 身近な支援者 司法 依存症の情報収集◎/依存症啓発の担い手○/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ◎/依存症周辺問題への支援◎/治療・回復支援○ 身近な支援 教育 依存症の情報収集◎/支援施策の企画・立案○/依存症啓発の担い手◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ○/依存症周辺問題への支援○/治療・回復支援○ 民間支援団体 回復支援施設 依存症の情報収集○/依存症啓発の担い手◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ○/依存症周辺問題への支援○/治療・回復支援◎ 民間支援団体 自助グループ、家族会 依存症の情報収集○/依存症啓発の担い手◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ○/依存症周辺問題への支援○/治療・回復支援◎ 専門的な医療機関 依存症の情報収集○/依存症啓発の担い手◎/依存症問題の気付き・治療・回復支援等の専門的な支援へのつなぎ○/依存症周辺問題への支援○/治療・回復支援◎ (表ここまで) ※期待される役割のうち主要なものに◎、それ以外に一定の役割を担うことが期待されるものに○を記載 2 計画の進行管理 (1)PDCAサイクルの考え方に基づく進行管理  本計画では、計画に位置付けられている各施策の効果を検証し、定期的な見直しにつなげていくため、PDCAサイクルの手法を活用し、計画全体の進行管理を行います。  計画期間中の年度ごとに、重点施策に位置付けられている個々の施策の進捗状況を把握・確認するとともに、検討部会に報告し、そこでの議論を通じて事業の達成状況や計画の進捗状況などの点検や評価を行います。  また、点検や評価の結果を踏まえ、計画期間中であっても必要に応じて事業の見直しや改善、新規事業の追加などを実施していきます。 図表5-2:PDCAサイクルに基づく進行管理 (図表ここから) PLAN(計画の策定) ○目標の設定 ○目標の実現のための計画の設定 ↓ DO(計画の実行) ○計画に基づき各施策の事業を推進 ↓ CHECK(点検・評価) ○本計画の事業の実施状況を点検・評価 ↓ ACTION(見直し・改善) ○計画の点検・評価を踏まえ、計画の見直しや改善を実施 ↓ PLANへ (図表ここまで) (2)進行管理に向けたモニタリング指標の設定 本計画を評価するための目安として、重点施策ごとにモニタリング指標を設定し、施策の効果などの点検を実施します。 図表5-3:各重点施策におけるモニタリング指標 (表ここから) 重点施策 モニタリング指標 一次支援(予防・普及啓発)・重点施策1 予防に資する普及啓発 ●若年層へ向けた学校等での依存症の正しい理解や予防に資する取組や、区役所を始めとした様々な身近な支援者による依存症に関する普及啓発、情報提供が行われている。 一次支援(予防・普及啓発)・重点施策2 依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 ●メディアやインターネットを活用した依存症の正しい理解や誤解・偏見を解消する情報発信や、民間支援団体等による講演会・セミナー等が定期的に開催されている。 二次支援(早期発見・早期支援) 重点施策3 相談につながるための普及啓発 ●メディアやインターネットを活用した相談につながる情報発信や、Web上でのチェックリスト等による相談勧奨を行うことで、依存症の本人や依存症が疑われる人とその家族等が適切な相談支援機関へつながるための情報提供が行われている。 二次支援(早期発見・早期支援) 重点施策4 身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組 ●支援者間の情報や課題の共有を通したネットワーク構築や、依存症を抱える人の発見と重層的な支援体制構築に向けた連携会議が定期的に開催されている。 ●身近な支援者から専門的な支援者等へのつなぎを行うためのガイドラインが構築されている。 三次支援(回復支援) 重点施策5 専門的な支援者による回復支援の取組 ●回復へのきっかけづくりや本人や家族等のニーズに合った専門的な支援者へのつなぎを行う回復プログラムや家族教室が開催されている。 ●民間支援団体等が、団体間や関係機関と情報共有を図りながら、本人や家族等のニーズに合った支援が提供されている。 三次支援(回復支援) 重点施策6 地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 ●地域生活の中で回復し続けられる支援体制の構築のため、身近な支援者と専門的な支援者による回復支援の様々な事例の収集と共有が図られている。 (表ここまで) (3)指標の検証のための取組の方向性 指標の検証にあたっては、以下の施策ごとの取組の方向性を設定し、実績等の振り返りを定期的に行います。 図表5-4:重点施策1における取組の方向性 (表ここから) 重点施策1 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 ・依存症の正しい理解を促進する広報物の作成/・ゲーム障害の正しい理解を促進する、啓発資料の作成 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ア:若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 ・ホームページ等を活用し、依存症を含む、若年層向けの広報・啓発の実施/・教員や保護者、地域の大人や団体、区役所などの支援者が支援や指導に活用できる依存症に関する「子ども・若者どこでも講座」の実施 こども青少年局青少年育成課 ア:若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 ・子ども・若者支援に携わる支援者のスキルアップを図ることを目的とした研修の実施 こども青少年局青少年相談センター ア:若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 ・ゲーム障害も含めた依存症の正しい理解を促進する、小中学校での啓発資料の配布や理解に向けた授業等の実施 教育委員会事務局健康教育課 イ:それぞれの年齢に適した普及啓発・予防教育の実施 ・依存症に関する予防教育・普及啓発に向けて、様々な年齢の人を対象とする内容の啓発資料の作成・配布/・ホームページやSNSなど、様々な媒体を活用した普及啓発の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ウ:大学生への啓発 ・依存症の予防教育・普及啓発に関する広報物の作成 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ウ:大学生への啓発 ・横浜市立大学で、大学生の健康診断に合わせて、啓発資料の配布・掲示、保健指導の実施/・市内にキャンパスを置く国公私立大学・専門学校に対し、若年層向けの啓発資料の提供 政策局大学調整課 エ:身近な支援者等による啓発 ・依存症の予防教育・普及啓発に関する広報物の作成 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 エ:身近な支援者等による啓発 ・幅広い市民が訪れる身近な支援機関の窓口等での依存症に関する広報物の配架・配布 健康福祉局障害施策推進課(基幹相談支援センター・発達障害者支援センター)/健康福祉局障害施設サービス課(精神障害者生活支援センター)/健康福祉局地域支援課(地域ケアプラザ)/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課 (表ここまで) 図表5-5:重点施策1における取組の方向性(つづき) (表ここから) 重点施策1 (2)アルコール依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:多量飲酒等の防止(適量な飲酒)への取組 ・生活習慣病改善相談や健康づくり関連イベントにおいて、健康問題とともに適量な飲酒に関する知識を高める啓発の実施/・市内で働く人たちの多量飲酒防止に向けて、「よこはま企業健康マガジン」(メール配信)においてアルコール問題に関する記事の配信 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/健康福祉局保健事業課 イ:未成年飲酒防止・不適切な誘引防止の取組 ・小中・高等学校の保健教育において飲酒の問題に関する授業の実施 教育委員会事務局健康教育課 ウ:女性特有の課題に応じた飲酒の防止の取組 ・依存症の予防教育・普及啓発に関する広報物の作成・配布 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/政策局男女共同参画推進課 (3)薬物依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:教職員等向け研修 ・青少年の薬物乱用防止や薬物依存症の予防に向けて、市内小中・高等学校の教職員を対象とした薬物乱用による心身への影響や依存症に関する研修会の実施 健康福祉局医療安全課/教育委員会事務局健康教育課 イ:薬物乱用防止への取組 ・市民に対する薬物乱用防止を目的とした、薬物に関する正しい知識や危険性の普及啓発の実施/・薬物乱用防止庁内連絡会を通じた関係機関との連携・情報共有の実施 健康福祉局医療安全課 (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:高等学校の保健体育におけるギャンブル等依存症の教育 ・高等学校で行われる保健体育の授業において、ギャンブル等依存症の予防や正しい付き合い方に関する授業の実施 教育委員会事務局高校教育課 イ:場外券売り場などでの普及啓発 ・公営競技の場外券売り場において、依存症の予防教育・普及啓発に関する広報物の配架・配布 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (表ここまで) 図表5-6:重点施策2における取組の方向性 (表ここから) 重点施策2 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:依存症について関心を持ち正しい理解を促進する普及啓発 ・電車の交通広告やインターネット・SNSなどを活用した、依存症の正しい理解を促進する普及啓発の実施/・直接依存症についての話を聞くことができる、市民向け講座の開催 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 イ:依存症の正しい知識の普及啓発 ・依存症の正しい理解を促進する広報物の作成・配布、講演会等の開催/・直接依存症についての話を聞くことができる民間支援団体等による講演会等について、周知協力などの開催支援の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/区高齢・障害支援課(精神保健福祉相談) (表ここまで) 図表5-7:重点施策3における取組の方向性 (表ここから) 重点施策3 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:依存症の本人や家族等が相談につながる普及啓発 ・電車の交通広告やインターネット・SNSなどを活用した、相談につながる普及啓発の実施/・厚生労働省が定める依存対象ごとの啓発週間に合わせた、相談勧奨や市民向けセミナーの開催 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 イ:幅広く身近な場所での普及啓発 ・依存症の本人や依存症が疑われる人が相談につながる広報物の作成・配布 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 イ:幅広く身近な場所での普及啓発 ・依存症の本人や依存症が疑われる人が訪れやすい区役所の関係各課(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課等)の窓口などで、依存症の相談につながる相談支援機関の広報物の配架・配布 健康福祉局生活支援課/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課 イ:幅広く身近な場所での普及啓発 ・精神障害者生活支援センターや基幹相談支援センター、地域ケアプラザ、発達障害者支援センターなど、依存症の本人や依存症が疑われる人が訪れる可能性のある身近な支援者の窓口などで、依存症の相談につながる相談支援機関の広報物の配架・配布 健康福祉局障害施策推進課(基幹相談支援センター・発達障害者支援センター)/健康福祉局障害施設サービス課(精神障害者生活支援センター)/健康福祉局地域支援課(地域ケアプラザ) ウ:家族等向けの啓発 ・依存症の本人や依存症が疑われる人の家族等に対し、相談につながる広報物の作成・配布/・家族等からの相談にも対応する専門的な医療機関に関する情報について、家族等や身近な支援者へ周知の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ウ:家族等向けの啓発 ・依存症の本人や依存症が疑われる人の家族等が訪れる可能性のある区役所の関係各課(高齢・障害支援課、生活支援課、こども家庭支援課、福祉保健課等)の窓口などで、依存症の相談につながる相談支援機関の広報物の配架・配布/・家族等からの相談にも対応する専門的な医療機関に関する情報について、家族等への周知の実施 区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課 エ:民間支援団体等による講演会等の開催 ・民間支援団体等による、直接依存症についての話を聞くことができる講演会等の開催 民間支援団体等 エ:民間支援団体等による講演会等の開催 ・民間支援団体等が開催する講演会等の周知支援の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/区高齢・障害支援課(精神保健福祉相談) オ:インターネットを活用した情報提供 ・こころの健康相談センターのホームページでの依存症に関する情報の拡充/・依存症のセルフチェックや自身のニーズに合った相談・支援・医療機関の検索ができるWebサイトの作成 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (表ここまで) 図表5-8:重点施策3における取組の方向性(つづき) (表ここから) 重点施策3 (2)アルコール依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:産業保健分野による普及啓発 ・市内企業等の人事・労務担当者が、従業員をアルコール依存症の相談につなげるための情報提供の実施 神奈川県産業保健総合支援センター ア:産業保健分野による普及啓発 ・市内企業等の従業員のアルコール依存症の相談につながる広報物の作成・配布 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/健康福祉局保健事業課 ア:産業保健分野による普及啓発 ・市職員に向けて、職位に応じて健康管理医・保健師等から飲酒による健康問題に関する講義、アルコール依存症に関する相談対応等の実施 総務局職員健康課 (3)薬物依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:重複処方の人へのお知らせ ・医療機関への重複受診及び重複・多剤処方が見られる人に対し、薬物依存に関する注意喚起や適正受診に関する指導及び相談支援機関に関する情報提供の実施 健康福祉局保険年金課 (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:ギャンブル等依存症の本人等が相談につながる普及啓発 ・場外券売り場や借金・多重債務問題の相談、法律相談など、依存症の本人等の目に触れる機会や場において相談につながるリーフレット等の配架・配布 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ア:ギャンブル等依存症の本人等が相談につながる普及啓発 ・消費生活総合センターにおいて、ギャンブル等依存症の相談につながる広報物の配架・配布 経済局消費経済課 (表ここまで) 図表5-9:重点施策4における取組の方向性 (表ここから) 重点施策4 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:連携会議による支援情報の収集と共有等 ・関係機関の連携と地域における依存症に関する情報や課題の共有を目的とした連携会議の開催/・関係機関との情報や課題の共有 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ア:連携会議による支援情報の収集と共有等 ・連携会議への参加及び関係機関との情報や課題の共有 こども青少年局中央児童相談所/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課 イ:行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などの幅広い支援者のネットワーク、顔の見える関係の構築 ・連携会議の開催をはじめとした行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などによる幅広いネットワークと顔の見える関係の構築 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 イ:行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などの幅広い支援者のネットワーク、顔の見える関係の構築 ・連携会議への参加をはじめとした行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などによる幅広いネットワークと顔の見える関係の構築 こども青少年局中央児童相談所/健康福祉局障害施策推進課(基幹相談支援センター・発達障害者支援センター)/健康福祉局障害施設サービス課(精神障害者生活支援センター)/健康福祉局地域支援課(地域ケアプラザ)/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課 ウ:支援ガイドラインの作成及び支援者向け研修の実施 ・身近な支援者から専門的な支援者へのつなぎを行うための初期チェックリストや連携フローなどを記載した、支援ガイドラインの作成/・身近な支援者の依存症理解の促進と支援の向上を目指す、研修等の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 ウ:支援ガイドラインの作成及び支援者向け研修の実施 ・身近な支援者から専門的な支援者へのつなぎを行うための初期チェックリストや連携フローなどを記載した、支援ガイドライン作成にあたっての検討・情報共有/・身近な支援者の依存症理解の促進と支援の向上を目指す、研修等の参加 こども青少年局中央児童相談所/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課/健康福祉局障害施策推進課(基幹相談支援センター・発達障害者支援センター)/健康福祉局障害施設サービス課(精神障害者生活支援センター)/健康福祉局地域支援課(地域ケアプラザ) エ:身近な支援者から専門的な支援者へつなぐ取組 ・関係機関と連携を図りながら身近な支援者から専門的な支援者への適切なつなぎの実施 健康福祉局生活支援課/こども青少年局中央児童相談所/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課 (表ここまで) 図表5-10:重点施策4における取組の方向性(つづき) (表ここから) 重点施策4 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 オ:身近な支援者と連携した取組 ・身近な支援者が依存症の理解を促進する研修等における技術支援・連携 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 オ:身近な支援者と連携した取組 ・依存症の理解を促進する研修等の開催・参加 健康福祉局生活支援課/こども青少年局中央児童相談所/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課 カ:福祉サービス提供事業者等への情報提供や研修の実施 ・介護事業者や障害福祉サービス事業者を対象とした依存症に関する情報提供や研修等の実施/・子どもの保護者等が依存症の問題を抱えている場合に、早期発見・早期支援につなげられるよう、保育・教育機関の職員などを対象とした情報提供や研修等の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 カ:福祉サービス提供事業者等への情報提供や研修の実施 ・介護事業者や障害福祉サービス事業者、相談支援事業者を対象とした依存症に関する研修等の参加 健康福祉局障害施策推進課/健康福祉局障害施設サービス課/健康福祉局障害自立支援課/健康福祉局介護事業指導課/健康福祉局高齢在宅支援課 カ:福祉サービス提供事業者等への情報提供や研修の実施 ・教育機関の職員などを対象とした研修等の参加 教育委員会事務局健康教育課 キ:市内の支援者情報をまとめた情報ツールの整備 ・身近な支援者が対象者のニーズに合った支援者を検索できるよう、市内の支援者情報をまとめた情報ツールの整備 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/医療局医療政策課 ケ:かかりつけ医研修 ・かかりつけ医から専門的な支援者へのつなぎの促進に向けて、かかりつけ医を対象に依存症の理解促進を図る研修等の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (表ここまで) 図表5-11:重点施策4における取組の方向性(つづき) (表ここまで) 重点施策4 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 コ:区役所の関係各課が連携した相談等への対応 ・区役所の精神保健福祉相談及び関係各課における依存症への理解の向上と相談対応力の強化に向けた依存症に関する研修等への参加/・各課や関係機関との横断的な情報共有や連携した対応の実施 区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課/区福祉保健課 サ:医療関係者による支援者向け研修 ・身近な支援者に向けて、専門の医師等による研修の開催 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (2)アルコール依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:内科等での気付きとつなぎ ・内科等において依存症が疑われる事例をスクリーニングし、専門的な支援者へとつなぐための仕組みづくりの検討/・依存症の本人等がアルコールに起因する疾患により内科を受診した際に、適切に専門医療機関や民間支援団体等へつなぐことができるよう、医療関係者への情報提供や研修等の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/医療局医療政策課 (3)薬物依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:保護観察所との密な連携と情報共有 ・保護観察所と連携し、保護観察処分となっている人に対する支援機関に関する情報提供や研修等の実施/・情報交換や密に連携を行う体制づくりに向けて、薬物依存のある保護観察対象者等の支援に係る実務者検討会や地域支援連絡協議会への参加/・保護観察の対象となった薬物依存症者のコホート調査へ協力し、保護観察の対象となった人への継続的な支援の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (4)ギャンブル等依存症に特化した取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:消費生活総合センターから専門的な支援者へのつなぎ及び啓発 ・消費生活総合センターにおいて、依存症が疑われる人やその家族等に対して専門的な支援者へのつなぎの実施 経済局消費経済課 (表ここまで) 図表5-12:重点施策5における取組の方向性 (表ここから) 重点施策5 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:行政における相談支援 ・専門相談を受けるとともに、プログラム等の案内や専門的な支援者等との連携など、回復に向けたつなぎの実施 健康福祉局こころの健康相談センター ア:行政における相談支援 ・区役所の精神保健福祉相談において、相談対応を行うとともに、地域の身近な窓口として継続的な支援の実施 区高齢・障害支援課(精神保健福祉相談) イ:回復プログラム・家族教室の実施 ・依存症のメカニズムや再発のサイン・対処法について一緒に考える回復プログラムの実施/・家族等が依存症について学び、対応方法・回復について考える家族教室の実施 健康福祉局こころの健康相談センター イ:回復プログラム・家族教室の実施 ・地域資源を活用した家族教室の実施 区高齢・障害支援課(精神保健福祉相談) ウ:民間支援団体等による依存症の本人や家族等への支援 ・民間支援団体等それぞれの特性を生かした、依存症の本人や家族等の回復に向けた取組の実施/・他の民間支援団体等や関係機関と情報共有を図りながら、本人や家族等のニーズに合った支援の提供 民間支援団体等 エ:利用者のニーズに合った制度の検討 ・障害者総合支援法等の制度内で対応しきれない依存症特有の支援ニーズに対して、利用者の回復につながる利用制度に向けた調整の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/健康福祉局障害施設サービス課 オ:民間支援団体等への活動支援 ・民間支援団体等が継続して依存症の本人や家族等を支援できるよう、団体が行うミーティング・普及啓発・相談等の活動へ補助の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 オ:民間支援団体等への活動支援 ・男女共同参画センターの会議室等を自助グループの活動場所として提供/・自助グループが開催するセミナーの支援の実施 政策局男女共同参画推進課 カ:施設の危機管理体制充実に向けた支援 ・感染症予防に必要な物品を含めた活動補助の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 カ:施設の危機管理体制充実に向けた支援 ・障害福祉サービス事業所や地域活動支援センターを対象として、災害時等における施設運営に有益な情報の提供や福祉避難所としての備蓄品購入の補助の実施/・緊急時対応マニュアルの作成に向けた情報提供や作成支援の実施/・感染症予防に必要な物品の導入補助の実施 健康福祉局障害施設サービス課 キ:スタッフの人材育成・セルフケアのための取組 ・民間支援団体等の職員の人材育成や離職防止に向けて、支援スキル向上やセルフケアのための研修会の開催 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (表ここまで) 図表5-13:重点施策5における取組の方向性(つづき) (表ここから) 重点施策5 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ク:連携会議による情報共有 ・行政、医療、福祉・保健、司法などの関係機関がお互いの理解を深め、依存症の問題に本人等が必要な支援にアクセスしやすいネットワークの構築を目指した連携会議の開催・参加 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/こども青少年局中央児童相談所/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課 ケ:専門的な医療機関の充実に向けた研修等の実施 ・依存症の治療に対応できる医療機関の充実を図るため、精神科等の医療関係者に対する研修等の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 (表ここまで) 図表5-14:重点施策6における取組の方向性 (表ここから) 重点施策6 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 ア:連携会議によるサポート体制の構築 ・身近な支援者が専門的な支援者と支援情報の共有等の促進を図り、地域生活の中で回復し続けられる支援体制の構築を目指すため、連携会議の開催 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課/こども青少年局中央児童相談所/区高齢・障害支援課/区生活支援課/区こども家庭支援課 イ:地域における依存症の支援 ・地域生活の中での回復の継続のために、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」構築に向けた協議の場等において、関係する各主体と専門的な支援者が情報や技術を共有し、孤立せず安心した地域生活を送れるような支援体制の構築 健康福祉局精神保健福祉課 ウ:回復や支援に関する情報共有 ・依存症の様々な支援のあり方や回復プロセスの共有及び関係機関への周知 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 エ:更生保護と一体となったサポート ・保護観察所等と連携して、民間支援団体等に関する情報提供や依存症以外の問題に関する相談対応の実施/・回復後も切れ目ない支援を継続するため、薬物事犯による保護観察対象者を対象とするコホート調査への協力 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 オ:就労の支援 ・行政と民間支援団体等が連携し、依存症からの回復者を雇用する企業や関係機関に対し、依存症からの回復と就労の両立のために必要な知識等の普及啓発 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 オ:就労の支援 ・若者サポートステーションにおいて、就労に向けて様々な困難を抱える15〜49歳の人及びその家族等を対象として、総合相談や就労セミナー、就労訓練等の実施 こども青少年局青少年育成課 オ:就労の支援 ・障害者就労支援センターにおいて、働くことを希望する障害児・者を対象として、就労に関する相談、職場実習等を通じた適性把握、求職活動支援や就労後の定着支援等の実施 健康福祉局障害自立支援課 (表ここまで) 図表5-15:重点施策6における取組の方向性(つづき) 重点施策6 (1)総合的な依存症対策の取組 施策 取組の方向性 担当課 カ:自立後の住まいの確保 ・依存症からの回復を続ける人や、依存症に関連する犯罪により刑務所等から出所した人が地域の中で住み続けられるよう、依存症に関する正しい知識の普及啓発の実施 健康福祉局こころの健康相談センター健康福祉局精神保健福祉課 カ:自立後の住まいの確保 ・住宅に困窮する低額所得者で市内に在住または在勤の人に対して、公募により市営住宅の提供 建築局市営住宅課 カ:自立後の住まいの確保 住宅確保要配慮者の居住支援を充実させるため、横浜市居住支援協議会と不動産事業者や福祉支援団体、区局の連携を強化する制度の検討 建築局住宅政策課 (4)継続的な現状把握  依存症の本人を取り巻く環境や本人が置かれた状況は、目まぐるしく変化することが予想されます。また、それに伴い、国や県における政策なども見直しが行われるものと考えられます。  本市においては、国や県における最新の政策動向や研究動向を常に把握するとともに、依存症問題に関する調査研究を継続的に行い、必要に応じて計画内容の見直し等に活用していきます。 横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)素案 令和3年3月 発行:横浜市健康福祉局精神保健福祉課 〒231-0005 横浜市中区本町2-22 京阪横浜ビル10階 電話:045-662-3554 FAX:045-662-3525 E-mail:kf-izon-kekaku@city.yokohama.jp