第2章 第2期データヘルス計画及び第3期特定健診等実施計画の振り返り 1 実施状況及び評価  第2期データヘルス計画及び第3期特定健診等実施計画の振り返りにおけるアウトカム評価及びアウトプット評価については、実績値が目標値に達しているものを「達成」、達していないものはベースラインと比較し「ベースラインから改善」、「悪化またはその他」の判定区分で達成状況を評価しました。 アウトプット評価については、令和2年度に中間評価を実施したため、令和2年度以降について振り返りを行いました。 なお、ベースラインについては、アウトカム評価は平成30年度、アウトプット評価は令和2年度としました。 (1)特定健診受診率向上 目標・方向性  健康寿命の延伸・医療費の適正化に向けて、40歳~74歳の被保険者に対して特定健診を実施します。  個別の受診勧奨や横浜市医師会、横浜市歯科医師会、横浜市薬剤師会と連携した受診勧奨等を通じて、受診率の向上を図ります。 評価  特定健診は、その後の特定保健指導や保健事業の起点となることから、平成30年度から自己負担額を無料とし、ナッジ理論を活用した未受診者への個別勧奨、関係団体と連携した普及啓発等の受診率向上のための取組を進めてきました。  受診率は、令和元年度に過去最高の25.4%まで上昇しましたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染拡大による受診控えの影響により、受診率が一時低下しました。 その後、受診控えの影響が緩和され、令和4年度は過去最高の26.0%まで上昇しました。 今後の取組の方向性 特定健診受診率向上  特定健診の無料化や未受診者への個別勧奨、市のウェブサイト等の広報を継続し、受診率向上の取組を進めます。  医師からの受診勧奨や歯科医院での周知をはじめとした関係機関等との連携を継続します。 (2)特定保健指導実施率向上 目標・方向性  健康寿命の延伸・医療費の適正化に向けて、特定健診の結果、生活習慣病リスクがある方に対して特定保健指導を実施します。  特定保健指導の利用勧奨資材や勧奨通知、健診当日等に特定保健指導初回面接を実施する機関の拡大などで、特定保健指導終了率の向上を図ります。 評価  特定保健指導終了率(以下、「終了率」という。)は目標値に達しなかったものの、利用率向上の取組として、ナッジ理論を活用した利用案内の発送、保健師による電話や文書による勧奨やイベント型集団保健指導を行いました。 その後、中間評価を踏まえて、利用キャンペーンや利用勧奨事業の拡充に取り組みました。その結果、終了率は計画初年度に比べ上昇し、令和4年度は8.5%となりました。  また、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面による保健指導に加え、情報通信技術(以下、「ICT」という。)を活用した遠隔指導等を推進しました。 今後の取組の方向性 特定保健指導実施率向上  特定保健指導の利用勧奨・実施機関の増加・同日実施やICTによる特定保健指導の拡大等を継続しつつ、集団型保健指導の検討等を行い、利用率向上の取組を進めます。  また、国の「標準的な健診・保健指導プログラム」及び「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」等の見直しに併せ、質の担保に対する取組を検討します。   (3)生活習慣病重症化予防 目標・方向性  特定健診の結果、糖尿病性腎症のリスクがある方に、受診勧奨や保健指導を行います。  生活習慣病未治療者及び治療中断者に対して、受診を促す通知を発送します。 評価  血糖の受診勧奨者における翌年度の健診数値改善割合は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で令和2年度に特定健診を受診した方が少なかったため、令和元年度は低下しましたが、令和2年度及び令和3年度の受診勧奨者については目標値に近いところまで達しました。  また、中間評価を受け、令和3年度から「重症化リスク者適正受診勧奨事業」を開始したことにより、それまで電話・手紙で受診勧奨を行っていた血糖の受診勧奨者に加え、血圧の受診勧奨者にもはがきによる受診勧奨を行いました。  個別保健指導参加者の健診数値改善割合については、HbA1cは目標値に達しましたが、eGFRは目標値に達しませんでした。  各区で実施している疾病の重症化予防事業については、個別や集団教育等の相談機会を提供することから早期受診につながり、参加対象者の糖尿病に関する受診者割合の目標値に達しました。 今後の取組の方向性 生活習慣病重症化予防  糖尿病性腎症重症化予防事業や受診勧奨値該当者(高血糖、高血圧、脂質異常)・糖尿病治療中断者等への受診勧奨を継続します。  また、医療費に占める割合の高いがんへの対応として、がん検診の担当部署と連携したがん検診の普及啓発を検討します。 (4)受診行動適正化等 目標・方向性  ジェネリック差額通知、重複・頻回受診者への適正受診勧奨等を通じて、医療費を削減します。  データヘルス計画の振り返りを行い、目標達成に向けて、保健事業評価・向上委員会を開催します。 評価  ジェネリック差額通知の発送、重複・頻回受診者への介入により医療費の削減に寄与するとともに、医療費通知書を毎年遅滞なく全世帯に発送することができました。 今後の取組の方向性 受診行動適正化等  医療費の削減効果が大きく、削減可能額も多額であるジェネリック医薬品への切替の勧奨を継続します。  また、健康被害の防止及び医療費削減効果がある重複・頻回受診対策の適正受診勧奨についても継続して取り組みます。 2 実施結果 特定健診受診率   特定健診受診率は、平成30年度から令和元年度にかけて上昇し、令和2年度に落ち込みが見られたものの、それ以降は再び上昇して令和4年度は26.0%となっています。 また、横浜市の受診率は神奈川県、政令市、全国の受診率を下回っており、令和3年度は全国の36.4%と比較して11.7ポイント低くなっています。 メタボリックシンドロームの該当状況   メタボリックシンドローム基準該当及び予備群該当の該当者割合は平成30年度から令和2年度にかけて上昇しまし、令和3年度に低下がみられたものの、令和4年度は僅かに上昇しています。 また、女性に比べて男性で該当者割合が高くなっています。 メタボリックシンドロームの減少率   メタボリックシンドローム基準該当者及び予備群該当者のうち、翌年度も特定健診を受診した方の翌年度該当状況をみると、基準該当者では約3割から4割が翌年度に予備群該当または非該当となりました。 また、予備群該当者では約3割が翌年度に非該当となりました。 メタボリックシンドローム因子状況   メタボリックシンドローム予備軍該当者及び基準該当者のリスク別該当状況をみると、メタボリックシンドローム予備群該当者では高血圧症の該当者割合が高くなっています。 また高血圧症の該当者割合は年齢が上がるにつれて上昇しています。 メタボリックシンドローム基準該当者では「高血圧症+脂質異常症」の割合が高く、また高血糖・高血圧症・脂質異常症の「3リスク全て」に該当する方の割合は約3割となっています。 特定保健指導該当者の減少率   特定保健指導該当者のうち、翌年度も特定健診を受診した方の翌年度該当状況をみると、保健指導該当者の約3割から4割が翌年度に特定保健指導非該当となりました。 そのうち、特定保健指導利用者では約4割から5割が翌年度に特定保健指導非該当となりました。 特定保健指導終了率   特定保健指導実施状況をみると、特定保健指導全体の終了率は平成30年度から令和2年度にかけて年々上昇していたものの、令和3年度に低下し、令和4年度は8.5%となっています。 また、横浜市の終了率は神奈川県、政令市、全国の終了率を下回っており、令和3年度は全国の27.9%と比較して19.4ポイント低くなっています。