第3章 データ分析の結果に基づく健康課題 1 医療費の分析 (1)医療費の状況 医療費の推移  令和3年度の総医療費は約2,581億6千万円となっており、一人当たり医療費は385,162円です。 令和2年度からの伸び率をみると、総医療費は5.7%増、一人当たり医療費は7.8%増となっています。  横浜市の一人当たり医療費は、全国市町村より低いものの、神奈川県市町村と比較すると高くなっています。 年齢階層別医療費の状況  被保険者一人当たり医療費は出生後から徐々に減少し、20歳~24歳で最も低くなった後、年齢が上がるにつれて増加しています。 (2)疾病別医療費の状況 疾病大分類別の医療費  令和3年度における疾病大分類別の被保険者一人当たり医療費は「新生物<腫瘍>」が47,212円と最も高くなっており、次いで「循環器系の疾患」、「内分泌,栄養及び代謝疾患」の順に高額となっています。 疾病中分類別の医療費  令和3年度における疾病中分類別の医療費上位20疾病をみると、「その他の悪性新生物<腫瘍>」が約142億8,419万円と最も高く、次に「腎不全」、「その他の心疾患」、「その他の消化器系の疾患」、「糖尿病」と続いています。  令和3年度における疾病中分類別の患者一人当たり医療費上位20疾病をみると、「白血病」が973,080円と最も高く、「腎不全」については医療費、患者一人当たり医療費ともに2位となっています。 高額医療費の状況  令和3年度における高額レセプトの状況をみると、「腎不全」が30,920件と最も高額レセプト件数が多く、次に「その他の悪性新生物<腫瘍>」、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気管、気管支及び肺の悪性新生物<腫瘍>」、「その他の消化器系の疾患」と続いています。   (3)生活習慣病における医療費の状況 生活習慣病の医療費  生活習慣病疾病別の医療費は「がん」が最も高くなっており、患者一人当たり医療費は「脳出血」が最も高くなっています。 「がん」については、医療費、患者一人当たり医療費ともに高額となっています。  医療費全体に占める生活習慣病医療費の割合をみると、47.1%が生活習慣病医療費となっています。 生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症)の患者割合の推移  生活習慣病の患者割合をみると、糖尿病・高血圧症・脂質異常症ともに令和元年度から令和2年度にかけて低下がみられますが、令和3年度に上昇しています。 また、糖尿病及び高血圧症では女性より男性で、脂質異常症では男性より女性で患者割合が高くなっています。 (4)人工透析患者の状況 人工透析患者の状況  人工透析患者数、人工透析患者の医療費ともに、令和2年度に僅かに増加したものの、平成29年度から減少傾向にあります。  人工透析有無別に患者一人当たり医療費をみると、人工透析ありの患者の一人当たり医療費は、人工透析なしの患者の一人当たり医療費よりも500万円以上高くなっています。 新規人工透析患者の状況  令和3年度の新規人工透析患者242人のうち、77.3%の187人が糖尿病に罹患していました。 人工透析患者の生活習慣病罹患状況  人工透析患者の生活習慣病罹患状況をみると、約9割の患者が高血圧症に罹患しています。また、約5割の患者が糖尿病に罹患しています。 (5)循環器系疾患による緊急入院患者の状況 循環器系疾患による緊急入院患者の状況  虚血性心疾患・心不全・脳内出血・脳梗塞による入院数をみると、虚血性心疾患の入院数が最も多く、5年間で7,960件の入院が発生しています。 また、入院数のうち心不全では6割以上、脳梗塞では4割以上が緊急入院となっています。  上記4疾病の緊急入院患者について入院前の治療状況を確認すると、入院前半年間に治療している方と1年半以上治療がない方に二極化する傾向がみられました。 脳内出血では、1年半以上治療がない方が6割程度となっています。  上記4疾病の緊急入院患者について入院に至るまでの特定健診の受診歴をみると、いずれの疾患においても7割から8割の患者で受診歴がありませんでした。 また、入院前2年間に特定健診を受診した方について、受診勧奨判定値等該当状況をみると、虚血性心疾患及び脳梗塞の緊急入院患者では収縮期血圧、LDLコレステロールの受診勧奨判定値該当者割合が3割を超えていました。 (6)歯科の状況 年齢階層別歯科患者の状況  歯科患者数及び歯科患者数割合、被保険者一人当たりの歯科医療費は、20歳以上で年齢が上がるにつれて増加していく傾向にあります。 (7)糖尿病治療中の歯科未受診者 糖尿病治療中の歯科未受診者の状況  健診受診者数・糖尿病治療中者数・歯科未受診者数が最も多い年齢階層は男女ともに70代となっています。 糖尿病治療中者に占める歯科未受診者割合は男女ともに40代で最も高く、年齢があがるにつれて低下しています。  糖尿病治療中者に占める歯科未受診者割合はHbA1cが8.0%以上の方で最も高く51.5%、HbA1cが6.5%以上7.0%未満の方で最も低く46.2%となっています。