2 特定健診・特定保健指導の分析 (1)特定健診の状況 受診勧奨判定値該当者数   特定健診の検査値が受診勧奨判定値に該当した方について、該当者数が最も多い項目は「脂質」で、次いで「血圧」となっています。 平成29年度からの推移を見ると、「脂質」及び「腎機能」を除き、該当者割合が上昇傾向にあります。 初回健診受診者における受診勧奨判定値等の基準該当状況   特定健診結果について区分分けを行い、横浜市国民健康保険で初めて特定健診を受診した40歳~45歳の方について該当状況をみると、いずれの年齢においても3割以上が「受診勧奨判定値あり」に該当しています。 受診勧奨判定値放置者の状況   特定健診で医療機関受診勧奨判定値に該当し、医療機関を受診していない受診勧奨判定値放置者数及び割合は、血圧が5,572人で24.2%、血糖が607人で7.7%、脂質が11,123人で36.7%となっています。 特定健診未受診者の生活習慣病受診状況   特定健診未受診者の61.5%が生活習慣病で医療機関を受診しています。 特定健診受診者の服薬状況   特定健診受診者の服薬状況をみると、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の治療に関わる薬剤の服薬者割合は、平成30年度から令和2年度にかけて上昇し、令和3年度に低下がみられたものの、令和4年度に再び上昇しています。 また、高血圧症、糖尿病の服薬者割合は女性に比べて男性で高く、脂質異常症の服薬者割合は男性に比べて女性で高くなっています。 過去3年間における受診回数別の特定健診受診者割合   令和元年度~令和3年度の3年間において、特定健診を1回でも受診したことがある方の割合は34.4%となっています。 年齢階層別にみると70歳~72歳が最も高く、45歳~49歳が最も低くなっています。 定期受診者の特定健診受診状況   医療機関への定期受診有無別に5年間の特定健診受診状況をみると、全ての年度において「定期受診なし」よりも「定期受診あり」の方で特定健診受診者の割合が高くなっています。   特定健診実施医療機関における受診者数   特定健診受診者数別の医療機関数をみると、年間受診者数が100人以下の医療機関が最も多く、その中でも10人以下の医療機関が最も多くなっています。 (2)特定保健指導の状況 特定保健指導の除外対象者   特定保健指導の判定基準に該当したものの、既に生活習慣病に関する治療が行われているため対象から除外となった方の割合は、令和4年度に22.3%となっており、平成30年度と比較して2.8ポイント上昇しています。 特定保健指導終了者における指導終了時の改善状況   令和元年度の特定保健指導終了者について、特定健診受診時と特定保健指導終了時の検査値を比較すると、収縮期血圧及び拡張期血圧では約7割~8割の方で数値が改善しています。 BMIにおいても6割以上の方で数値が減少しています。 特定保健指導利用者・未利用者における翌年度の特定健診の改善状況   令和元年度の特定保健指導利用者・未利用者について、令和元年度と翌年度の特定健診の状況を比較しました。 翌年度の特定健診の特定保健指導レベル該当状況をみると、利用者は未利用者に比べて、特定保健指導該当の割合が低く、情報提供(服薬なし)の割合が高くなっています。   翌年度の特定健診の検査値改善状況をみると、LDLコレステロールを除く全ての検査項目で利用者の改善者割合が高くなっています。 (3)「健康や特定健診(健康診断)等の調査」の実施結果 ア 調査概要   令和4年度に、令和3年4月1日時点で20歳~74歳の被保険者のうち、令和4年6月13日時点においても被保険者である方の中から、以下のとおり無作為に対象者(全数65,000人)を抽出し、調査を実施しました。   (ア) 20歳~39歳 20,000人(回答数1,214人、回答率6.1%)   (イ) 40歳~74歳 45,000人    40歳~74歳の45,000人を、令和3年度特定健診の受診者と未受診者に分類。     a 令和3年度特定健診受診者  15,115人(回答数9,640人、回答率63.8%)     b 令和3年度特定健診未受診者 29,885人(回答数9,903人、回答率33.1%) イ 特定健診未受診者の回答結果 令和3年度に特定健診を受診しなかった理由   未受診の理由について、回答者全体では「7 定期的に通院しているから」の回答の割合が36.6%で最も高く、次に「5 新型コロナウイルス感染症の感染が心配だから」が14.1%、「6 特定健診以外の健診(人間ドック・職場の定期健診)を受けたから」が13.4%となっています。   「6 特定健診以外の健診(人間ドック・職場の定期健診)を受けたから」の回答の割合は60代で高く、男女ともに17%程度となっています。   「7 定期的に通院しているから」の回答の割合は男女ともに60代以上で高くなっています。 特定健診を受診しようと思う条件  回答の割合は「気になる症状があれば」(53.4%)、「今の健康状態を知ることができるなら」(44.8%)、「主治医から勧められたら」(34.8%)、「近くに受けられる医療機関があるなら」(30.3%)の順に高くなっています。 未受診者の特徴として、気になる症状がないため特定健診を受診していない方が多いと考えられます。  「主治医から勧められたら」受診すると回答した方は約3割となっており、主治医から直接受診勧奨することで受診につながる可能性が高いと考えられます。 特定健診を受診しようと思う条件(性・年齢別)   「2 気になる症状があれば」の回答の割合は男女ともに高くなっています。  「7 近くに受けられる医療機関があるなら」、「8 WEB予約できるなら」、「10 夜間・日曜・祝日に受けられるなら」の回答の割合は40代、50代で高く、アクセスが課題であることが推察されます。 特定健診を受診しようと思う条件と今後の受診意向に関する分析   受診意向のない未受診者は「3 主治医から勧められたら」の回答の割合が高いため、主治医からの働きかけが効果的であると考えられます。 過去3年間における健診等の受診回数と今後の受診意向に関する分析   「既に受診」と回答した方及び特定健診を「絶対に受ける」と回答した未受診者で、過去3年間における健診等の受診回数が多くなっています。 令和3年度に特定健診以外で検査・健診を受けていない方の分析  特定健診未受診者の42.9%は、特定健診以外の検査・健診も受けていませんでした。   「特定健診未受診」かつ「令和3年度に特定健診以外で検査・健診を受けていない」方のうち約40%が、1年に1回以上は定期的に歯科医院を受診しています。 歯科医院からの特定健診の周知が有用な可能性があります。   特定健診を受ける条件については、回答の件数の多い順に「気になる症状があれば」、「今の健康状態を知ることができるなら」、「近くに受けられる医療機関があるなら」、「主治医から勧められたら」となっています。 ウ 特定健診受診者の回答結果 特定健診を受診した理由   特定健診を受診した一番の理由は「受診券が届いたから」が42.2%と割合が最も高く、次いで「受けるのが当たり前だと思うから」が37.9%でした。   その医療機関で特定健診を受診した一番の理由は「健診以外でも具合の悪い時に診てもらっている医療機関だから」が49.9%と割合が最も高く、次いで「家の近くだから」が26.9%でした。 具合の悪い時に受診する医療機関で特定健診を受ける割合が高く、具合の悪い時に受診する医療機関がない場合は、家の近さで特定健診を受診していると思われます。 エ 特定健診受診者と特定健診未受診者の回答の比較 過去3年間に健診等を受診したことの有無及びいつも受診する医療機関等   特定健診受診者の98.6%は過去3年間に健診等を受けていますが、特定健診未受診者の49.2%は過去3年間に健診等を受けていませんでした。  「体調の悪い時や気になる症状がある時に、いつも受診する医療機関(以下、「いつも受診する医療機関」とする。)」があると回答した方の割合は、特定健診受診者は92.7%、特定健診未受診者は86.1%でした。  65歳未満(4,489人)をみると、特定健診受診者の84%(1,632人)、特定健診未受診者の75%(1,850人)がいつも受診する医療機関を持っています。   いつも受診する医療機関から特定健診を勧められたことの有無について「ある」と回答した方の割合は、特定健診受診者で45.4%、特定健診未受診者で21.5%でした。 特定健診受診者は、特定健診未受診者に比べ、いつも受診する医療機関から特定健診を勧められたことのある割合が高い傾向にあります。   上記のことから、いつも受診する医療機関からの特定健診受診勧奨が重要と考えられます。 特定健診未受診者の特性   特定健診未受診者に多い特性は以下のとおりです。   「就労あり」   「家族以外の人と直接会う機会が1か月に1回以下」   「家族以外の人と非対面で連絡を取る機会が1か月に1回以下」   「健康に関する情報を医療機関・薬局・ドラッグストアから得ている」   上記の結果より、医療機関のみでなく、薬局、家族など様々な情報源から特定健診についての情報を発信することは健診の周知に有用である可能性があります。 特に特定健診未受診者の中に家族以外の人と接する機会が少ない方が多く含まれている可能性もあり、医療機関・薬局・ドラッグストアでの情報提供が重要です。 オ 健康に関する情報源の回答結果 健康に関する情報源  20代~30代は「家族・友人・知人・同僚」「Webサイト」から情報を得ている割合が高い傾向にあります。 40歳~74歳は「テレビ・ラジオ」「家族・友人・知人・同僚」の割合が高く、それに比べて「Webサイト」の割合が低い傾向にあります。   特定健診未受診者の特徴として、「市役所・区役所等の行政機関」から情報を得ている割合が一番高く、また「講座や講義、研修会への参加」の割合が20代~30代、特定健診受診者に比べ高くなっていました。